また少し寢坊。居間のカーテンを開けると、雪が降り、屋根屋根に積もつてゐる。「霜月の帝都に雪か……大蔵省あたりの首塚が騒ぎ出したやうである」、「にゃあ(御意)」、「お上は御無事であらうな、侍従長の入江に一応問ひ合はせよ」、「にゃあ(御意)」と言つた小芝居を窓辺で猫と交はして、朝食の支度。
ラテン語の勉強は Martial "Epig." 12.10 の解釈、「キューネン 基礎論講義」は "Reductio ad Absurdum" など。思ひがけなくこちらもラテン語だ。基礎論の根の一つは中世のスコラ哲学なので、不思議ではないが。雪の中へと出勤。いつも通りに、定時から定時まで。夕方には既に雪は消えてゐたが、昨日までに比べてぐんと寒い。
歸宅して、風呂に入つてから夕食の支度。豚肉の水炊きとそのあとの卵雑炊。カルカソンヌの白ワインを一杯だけ。夜は「窓際のスパイ」(M.ヘロン著/田村義道訳/ハヤカワ文庫)の讀み残しを終へる。