「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2012/11/30

「高慢と偏見」の所得格差

夜の間に雨が降ったようだ。 曇り空の朝。出社して、今日も心静かにお仕事。 いつの間にやら、もう明日からは師走。

昼休憩に新刊書店で 「不平等について 経済学と統計が語る26の話」(B.ミラノヴィッチ著/村上彩訳/みすず書房) を買った。 夕方、オフィスを出て、近所の欧風カレー屋さんにて夕食。 じゃが芋とチーズを肴にギネスを飲みつつ、「不平等について」を読む。 「高慢と偏見」の登場人物、エリザベスとダーシー卿の所得格差は、 もし現在のイギリスだったらどれくらいか、とか。

食後、オフィスに戻り、 P 社の社長から改訂版の謎デバイスを受け取って、退社。

2012/11/29

バリィさん

天気予報では例年の一月なみの寒さなどと言っているが、 気持ちが追い付いていないせいだろうか、 特に寒いとは思えない。 ホットカーペットを一畳分使えば十分な感じ。 いつもの朝食をとり、お弁当を詰めて、出勤。

同僚が愛媛土産に、「坊ちゃん団子」と「バリィふぃーゆ」 を買ってきてくれた。 「バリィさん」は愛媛県今治(いまばり)市のキャラクタで、 2012年「ゆるキャラグランプリ」優勝者だそうだ。 うーん、どう見ても、 グランプリっていう気がしないのだが。

晩酌にはもちろん、牛筋と大根の煮込みに冷や酒を一合ほど。 昼のお弁当のおかずにも使ったけれども、やはり牛筋は酒肴だなあ。

2012/11/28

夢の中のジョーク

今日も寒い朝。 夢の中で、登場人物が洒落たジョークを言っていた。 私自身はそのジョークは初耳で、オチも知らなかったのだが、 彼はどうやってそのジョークを思いついたのだろうか。 そして私はどうしてそれに驚き、笑うことができたのか。謎だ。

もう無理が効く歳ではないので、 週の中日の水曜日はお弁当作りも休み、 仕事も力を抜き気味に働くことにしている。 一週間でたまった小さな雑用をちまちまと順に片付け、夕方退社。

実家から送られてきた野菜で何とかしのいできたが、 給料日を目前に冷蔵庫が寂しくなってきた。 帰り道で、思い切って牛筋を買う。 大根が丸ごと一本残っているので、 大根と牛筋の煮込みを作ろうという計画。 夜は夕食の支度の傍ら、牛筋煮込み作り。 煮込み時間は下茹でを別にして三時間くらい。 鍋はル・クルーゼを使ったのだが、 まさかル・クルーゼ様も牛筋を煮込む境遇に落ち込むとは思っていなかっただろう。 申し訳ない。

2012/11/27

注釈を読む

今日はさらに一段と気温が下がった。

夕食の支度に、三杯酢を煮切ったりしながら、 「細雪」(谷崎潤一郎著/新潮文庫)を読む。 注釈(注解)が面白くて、もう注釈を読むために小説を読んでいるようなものだ。 「もんぺ」の注釈で、もんぺは鐘紡が開発して売り出したものだと知り、 ほほう……と感心しつつ、読み進めていくと、 「蜆汁」の注釈には 「シジミは脂肪が少なく、良質のタンパク質・ミネラル・ビタミンを含み、 肝臓によいので、黄疸などによく効く。」と書いてある。 親切だなあ。ほとんど「新解さん」みたいだぞ。

2012/11/26

雨の月曜日

曇り空。午後から夜にかけて激しい雨になるとの予想。 低気圧のせいで調子が悪い。 若者は信じてくれないのだが、 本当に、気圧の変化は体調に影響を与えるのだよなあ。 それに、私が第二次アフガン戦争に従軍したとき、 マイワインドの激戦で肩と脚に受けたジーザイル弾の古傷が、 こういう冬の雨の日には疼くということもある。特に、月曜日には。

いつものように朝食をとり、お弁当を詰めて出勤。 午前、午後と低調にお仕事。 社内で風邪が流行っている模様。喉風邪のタイプらしい。 昼休憩に新刊書店で 「暮しの手帖」の最新号を買った。 ニットはさておき、ちょっと早いお雑煮の記事に季節を感じる。 うーむ、私の実家のような白味噌精進のお雑煮レシピがない。 当たり前過ぎるのだろうか。 夕方、退社して雨の中を帰宅。

2012/11/25

筑前煮と切り餅

晴天。気温がまた、ぐんと下がったようだ。 終日、家事をしたり、 お風呂に入ったり、 「細雪」(谷崎潤一郎著/新潮文庫) を読んだり、と何事もなく静かに暮す。 実家から送られてきた野菜類は、 常温で保存できる玉葱とじゃが芋以外は全て、 端から端まで余さず調理し、保存したので、 小さな冷蔵庫がタッパウェアで一杯。

いよいよ、11 月最後の週かあ。手帳も来年用に切り替え。 夕餉の常夜鍋のあと、母上の手製の筑前煮を肴にペールエールを飲みながら 「細雪」を読んでいると、なんだかもう年末年始気分。 さらに切り餅なんて焼いてみる(チーズをのせて海苔で巻く)。 おお、ますます気分が盛り上がる。

2012/11/24

「細雪」新潮文庫版

いくらでも眠れるよ。もう来年まで冬眠したい。 いつもの朝食を済ませて、東京駅に向かう。 デリバティブ研究会自主セミナに参加。 セミナ後のいつもの「ランチセッション」のあと、 今回はさらに、丸の内ホテルのフレンチレストランでお茶をいただき、 うーん、丸の内OLのような午後。 帰宅して、昼寝しようにも、もう夕方が近いので、 何とはなしに「細雪」(谷崎潤一郎著/新潮文庫) を読み始める。

文庫本の「細雪」には中公文庫版と新潮文庫版があり、 一巻にまとまっていて便利で安いのと、雰囲気の良い挿絵が入っていることから、 中公文庫の方が人気があるみたい。 でも、私は三分冊の新潮文庫版の方が好きだ。 今の新潮文庫は字が大きくなって老眼に優しいこともあるが、 無駄に詳しい注釈が面白い。

「無駄に」と言ったのは、 「長襦袢:和服の下着。」とか、 「警句:着想が奇抜で、辛辣に真理を言い表した簡潔な表現の文句。」 などと言う、 読者を侮っているのかと思わざるを得ないような項目にまで注釈があるからだが、 おおむね、どの注釈もなかなか面白い。 例えば、当時にピアノがどれくらい贅沢品だったか(項目「ピアノ」)、とか、 関東大震災のあとに東京の女学生の間で人形の作成が流行した(項目「人形」)、 などの注釈は、ちょっとした風俗史として楽しめる。 また、 「職業婦人:当時、良家の女性は家事・育児に専念するのが当然とされ、 職業を持つのは、貧乏なためにやむを得ずする恥かしい事と考えられていた。」 なんて項目も楽しい。

昔の関西には、東京から見て、ちょっとしたエキゾチズムとともに、 憧れるに値する独特の文化と豊かさがあったわけだが、 今はどうなのかなあ、としみじみ思ったりする夜。

2012/11/23

稲荷鮨

9 時頃まで寝てしまった。曇天。 昨夜は食べ過ぎたので、朝食は珈琲、ヨーグルト、林檎を一つ。 早めの昼食に、 玉葱のオムレツ、金時豆のサラダ、えのき茸のアーリオオーリオ。

実家から大量の野菜と食材が届く。ありがたし。 午前、午後と、ホットカーペットに猫と寝転んで、ひっそりと読書をする静かな祝日。 合間に、だしを引いたあとの昆布を煮染めにし、 蕪を梅肉と和えて三杯酢に漬け、土鍋で大豆を煮た。

お風呂に入ってから、夕食の支度。 豚肉と水菜の常夜鍋で、冷酒を五勺ほど。 のち、母上の手製の稲荷鮨と紅生姜。

良い一日であった。毎日がかくありたいものだが。

2012/11/22

モネの食卓

いくらでも眠れるなあ。 でも、心地良い寝床から身体をひきはがすようにして起床。 いつもの朝食ののち、お弁当を詰めて出勤。

午前、午後とお仕事。 昼休憩に古書店で 「モネの食卓」(C.ジョイス&J-B.ノーダン著/吉野健監訳/日本テレビ) を買う。序文はロブション。写真も綺麗だし、レシピも意外に親しみ易そう。

夕方退社して、近所のベルギービール屋で一杯だけビールを飲みつつ、 今週の一人反省会。 もう来週は、11 月最後の週かあ……

帰宅して、P 社から預かった謎のデバイスと自分の iPhone で再テスト。 おお、動いたよ。ラッダイティストの私の家にも、未来がやって来た!

2012/11/21

デバグ

朝食後、いよいよ冬支度をする。 コートなど冬物を出したりしているうちに、 出勤がかなり遅くなってしまった。 それでもオフィスに一番乗りだったけれども。

今日も粛々と仕事に没頭したり、新聞を読んだりして、夕方退社。 弊社の関連会社 P 社の取締役兼デバグ要員 S さんを連れて、帰宅。 P 社が開発中の謎のデバイスを拙宅でもテストしているのだが、 その不具合の問題解決のため。 謎の装置とコンピュータを繋いだ瞬間に「分かりました。」 と、問題点が突き止められたらしく、 滞在時間 5 分ほどで S 取締役はお帰りになった。 事前の解析で原因の可能性がかなり絞り込まれていて、 その想定の一つがヒットしたようだ。

その後、御飯を炊いて、夕食の支度。 今日のメインはパセリ入りの卵焼き。 夜の読書は 「使える!確率的思考」(小島寛之著/ちくま新書)など。 この前、読んだ「使える!経済学の考え方」 が予想以上に面白かったので。

2012/11/20

テスタ

急に気温が下がったからだろうか、寝起き悪し。 確か、「古楽の楽しみ」を聞いていたはずなのだが、気付いたら 8 時過ぎ。 慌てて、朝食をとり、お弁当を詰めて出勤。 昼食は持参のお弁当。 午後は定例のミーティング。 夕方、退社。

帰宅して、関連会社 P 社の G 社長に頼まれた、謎デバイスのテスト。 メイルの指示を受けて、報告をあれこれ。並行して夕食の支度。 風呂吹き大根で、冷酒を少々。そのあと、メインの時鮭を焼く。

社内デザイナに作っていただいた usaggr(うさがー)宣伝用アイコン。 確かにギークより「女子」層に向いているような。

2012/11/19

月曜日の朝

月曜日は不調。なかなか寝台から出られないし、 腰は痛いし、目は霞むし、寝室から出るときに壁に足の小指をぶつけるし、 足にからみついてきた猫(名前はクロ)を踏むし、 踏んでよろめいたら鉢植えのポトス(名前はポト吉)に手をつっこむし、 こんな瞬間を無限回繰り返す価値があるのか、 とニーチェを偲ぶ月曜日の朝。 時よ止まれお前は美しい。

いつもの朝食をとり、お弁当を作り、出勤。 昨日までに比べて、急激に気温が下がっている。 そろそろコートが必要だなあ、と思うのだが、 まだコートなど冬物を出していなかった。 やむをえずジャケットに襟巻。

仕事を終えて、木枯らしの中を帰宅。 ポン酢に一味を効かせて、湯豆腐で冷酒を五勺ほど。 そうしているうちに御飯が炊けたので、 鶏笹身の塩麹漬けを蒸し焼きにし、菠薐草のおひたし、大根の味噌汁など。

最近、新党の名前を聞く度に、 現実は 虚構新聞 より奇なり、と思う。

2012/11/18

静かな日曜日

9 事過ぎまで寝てしまった。 快晴。いつもの朝食のあと、洗濯ものを干して、 朝風呂に入り、湯船で 「ヨオロッパの人間」(吉田健一著/講談社文芸文庫) を読む。 散歩がてら近所に食材の買い出しに行く。 帰宅して昼食の支度。 いただきものの金時豆を茹でておいたものをパセリ、玉葱、ドレッシングで和えて適当豆サラダ。 さらにアーリオオーリオを作り、簡素な昼食にする。

食後に昼寝。また二時間以上寝てしまった。まだまだいくらでも眠れる。 もう身体が冬眠しようとしているに違いない。 午後はいつものように掃除など家事をあれこれ。 夕食の支度。 メインの時鮭を常温に戻し、冷奴をざるに上げ、 その間に、切干し大根のじゃこ炒め煮(味付けはポン酢)を作っておく。

夕食後、夜も静かに読書。 「青銅の悲劇」(笠井潔著/講談社文庫)など。 学生運動がよほどのトラウマなのだろう、 この著者は一貫して変わらないなあ。

2012/11/17

雨の土曜日

曇り空。午後から雨。 昼食後にまた二時間近く昼寝してしまった。 世はこともなし、午前、午後と主に褥中にありて読書す。 夜になりて、風雨強し。

「使える!経済学の考え方」(小島寛之著/ちくま新書)、読了。 勉強になった。タイトルで損をしているんじゃないだろうか。 他に、「摘録 断腸亭日乗」(永井荷風著/磯田光一編/岩波文庫)、 「ヨオロッパの人間」(吉田健一著/講談社文芸文庫)など。

2012/11/16

明治時代

今日は良い天気だ。 神保町散歩の足取りも軽い。 五冊一気に復刊中の講談社文芸文庫の吉田健一ものより、 「ヨオロッパの人間」を買う。 あれ、この対の「ヨオロッパの世紀末」は?と思ったら、 そうそう、あちらは岩波文庫だった。

それはさておき、なぜ急に吉田健一ブームなのかなあ、 と思っていたら、何と「生誕百年」なのだった。本の帯の宣伝を見て、初めて気付いた。 生誕は 1912 年、明治時代の最後の年である。明治は遠くなりにけり。 私が子供の頃には、周りに明治生まれの人が沢山いたので、 明治時代は「一昔前」くらいの感じなのだが。

夕方退社して、夜は神保町の某ビストロにて会食。

2012/11/15

ダ・ヴィンチの手稿

いつものように昼休みに神保町を散歩していると、 某古書店の前の道路に出された本棚の一番下、 地面のあたりから私を呼ぶ声が。 レオナルド・ダ・ヴィンチの「マドリード手稿」だ。 もちろんオリジナルではなく、40年ほど前に岩波書店が出したもので、 ファクシミリが二巻、解説が一巻、手稿の文字部分の翻訳が二巻で、全五巻のセット。 ちなみに、今までに発見されているダ・ヴィンチの手稿のオリジナルは、 唯一の例外を除いて美術館や図書館に人類の宝として保存されている (例外とは、ビル・ゲイツ三世が私有する「レスター手稿」)。

しばらく、古書店の前で悩む。 五巻そろいで一万円。安い。確か、出版時は十万円くらいだったはずだ。 しかし、函が欠けているし、一冊は背が少し壊れている。 ビニールでパックされていて、中身は見られないが、 おそらく状態が良くないのだろう。 うーん、これは安いのか、高いのか。 かなり迷ったのだが、一応は見送って、社に戻った。 すると、それを知った弊社の CEO が、 やはり買っておきたいと言うので、再度、古書店に行く。

やや「黒魔術の手帖」的なファッションをした店番の女の子に、 ビニールを剥して中身を確認させてくれ、と要求し、 全巻を一通りぱらぱらと眺めて、CEO 勘定で購入。 そんなわけで、今弊社に来ると「マドリード手稿」が見られますよ。

2012/11/14

女子神アプリ

今朝はわりと早起きだった上に、週の中日でお弁当作りは休みなので、 かなり早い出勤。 しかし、関連会社の G 社長が先に来ていた。 一体何時くらいに来ているのか、と尋ねたら、「7時とか、7時半とか」 という答に驚く。そんな早起きな若者がいるとは。

昼食に近所の欧風カレー屋さんに行ったら既に長い行列。 行列してまで食べるものでもないので、近所の洋食屋さんにてランチ。 新刊書店で「世界の経営学者はいま何を考えているのか」(入山章栄著/英治出版)と、 「使える!経済学の考え方」(小島寛之著/ちくま新書)を買う。 「使える!経済学……」のタイトルは知っていたのだが、そのタイトルが故に、 これまで手にすら取っていなかった。 でも、なかなか面白そうで、読まず嫌いだったみたい。 夕方退社して帰宅。 明日の朝からは冷え込みそうなので、 猫専用のミニホットカーペットを出してやる。

usaggr(うさがー)の Ver.1.3 が出たところで、 そろそろ真面目に宣伝活動しようよ、という機運が社内で高まる中、 AppBank 様が usaggr を 「最強の女子向け神(定番)アプリ」 (略称:女子神アプリ) に選んで下さっていたことを知る。 AppStore の統計情報などからすると、 usaggr は(おそらくアイコンの可愛さからか) ユーザのおよそ半分が女性らしい。 これは iPhone アプリでも相当、珍しいと思う。 大変に嬉しく、ありがたいことでもあるのだが、 スマートフォン上で SNS を沢山使っているユーザは多くが男性のはずで、 潜在的男性ユーザをかなり逃しているのではないか、という気も。

2012/11/13

猫とホットカーペット

良い天気だ。朝からわりと温かい。 出勤してお仕事。 今朝は、弊社オフィスに間借りしている G 社長が朝からミーティングをしていたので、 二番手。 昼食は持参のお弁当。午後はミーティングなど。 区役所に所用があり、夕方早い時間に退社。

帰宅して、米を炊きながら 「摘録 断腸亭日乗」(永井荷風著/磯田光一編/岩波文庫) を読む。 私も老境に至り、断腸亭日乗が非常に面白くなってきた。 若い頃は、どこが良いのかさっぱり分からなかったものだが。 摘録でなくて、岩波の荷風全集で「断腸亭日乗」を全部読もうかな……。 六巻に渡って三千ページくらいあるらしいけれど。

冬用に居間に絨毯を出したら、 猫が私の椅子の側を定位置にするようになり、 絨毯の上とは言え床では冷えるのではないかと心配で、 ホットカーペットのスイッチを入れてやる。 ちょっと気が早いのだが、 同じ老体の身だから少しは労ってやっても罰はあたるまい。 猫と言えば「こたつ」だが、拙宅にこたつはない。 しかし、猫とホットカーペットも非常な相性らしく、 ここまで伸びるかと思うくらい平たく溶けて伸びている。

2012/11/12

日乗

糠雨の降る朝。傘を差さずに出勤。 今朝もオフィスに一番乗り。 とは言え、大抵の場合、帰るのも一番(しかも圧倒的に)早い。 最近の私は、明るくなると目が覚めるし、暗くなると眠くなるので、 自然にこうなってしまう。

昼食は持参のお弁当。 古書店の岩波文庫割引セールにて、 「摘録 断腸亭日乗」(永井荷風著/磯田光一編/岩波文庫) の上下巻をあわせて 472 円で買い、 珈琲屋にて珈琲豆を買うついでに、「断腸亭日乗」を読みながら一服。 雨も止み、昼頃には日差しが眩しいほどの好天。 スーパーでベルギーのチョコレートを買ってオフィスに戻る。 夕方、退社して帰宅。

あっと言う間に冷え込んできて、冬支度をしなければならない。 「衣類のこと男の身一つにては不自由かぎりなく、 季節の変目ごとに衣を更るたびたび腹立ただしくなりて人を怨むことあり。 されど平常気随気儘の身を思返して聊か慰めとなす。」 (「断腸亭日乗」より)

2012/11/11

小鍋仕立ての叙情

ああ、良く寝た。 カフェオレで目を覚ましてから、朝食の支度。 朝食のあとは朝風呂。 今日の午後から天気が崩れそうなので、 朝のうちに、食材の買い出しを済ませておく。 昼食は、豆腐と鶏肉と長葱の小鍋仕立て。 休日なので昼間からペールエールを一本つけた。 あとは饂飩。

「小鍋仕立て」は池波正太郎がずいぶんと宣伝したのだが、 その要点とするところは、 料理屋の二階だか何だかで火鉢を挟んで美人と差向い、 蛤を一つ小鍋に入れては差しつ差されつ、 という叙情であろう。 私のように一人で食べていては、 どちらかと言えば、永井荷風的な情景かも知れない。 「朝十一時頃に起出で飯を炊きて食し終れば一時過なり。 室内の塵を払ひ町の洗湯に行きかへり来りて茶など喫すれば日はいつか傾きまた晩飯の支度すべき頃とはなるなり」 的な?

食後、しばらく昼寝。 午後は掃除や、料理の仕込みなど、家事のあれこれ。 夕方近くなって、予報通りに雨が降り出した。 夕食の支度。いつもと変わらぬ日曜日。

夜の読書は「青銅の悲劇(上・下)」(笠井潔著/講談社文庫)など。

2012/11/10

ヴァージョンアップ!

また十時間睡眠。 カフェオレとヨーグルトの朝食ののち、東京駅方面へ。 午前は数理ファイナンス関係の自主セミナに参加。 今日から excursion 理論を Revuz-Yor の教科書 で勉強する、 と言うことで、今日のところはポワソン点過程のおさらい。 久しぶりにこの本を開いて、 見返しに Yor 先生のメッセージ入りサインが書かれているのに気付く。 「あれ、いつの間にこんなものが」と思ってしまった失敬なわたくし。 終了後はいつものように、参加者で昼食。今日は焼肉屋。

帰宅して、昼寝。いくらでも眠れる。 夕方、お風呂に入ってから夕食の支度。 今日のメインは親子丼。

SNS を駆け抜ける一匹の白うさぎこと usaggr(うさがー) の Ver.1.3 リリース。 しばらく Ver.1.2.x のマイナ・アップデートが続いていたが、 今回はまさしく、ヴァージョンアップ。 「いいね!」「リツイート」などの個数が表示されたり、 リプライがあった投稿には分かり易く "Re" スタンプがついたり、 mixi 日記が見られるようになったり、色々と機能が追加されています。 さらに、バグのあれこれが fix されているはず。 既に愛用して下さっている方も、これが初めての方も、 一度は使ってやめてしまっていた方も、 是非、お試しあれ。usaggr はいまだに無料です。 弊社の若き俊英たちが、(ときどき)夜も寝ないで、がんばってます。

使用感、要望、バグ報告、お叱り、なんでもフィードバックは貴重で有り難いもの、 @usaggrjp にメンションしていただくか、 ハッシュタグ #usaggr でつぶやいていただければ、大感謝。 是非よろしくお願いします。

2012/11/09

健診結果

健康診断の結果が返ってきた。 身長体重の項目が痩せ過ぎで要注意・要経過観察だったものの、それ以外は全優。 しかし、元気なときは良いけれど、 ちょっとお腹を壊したりしたら生命の危険があるレベル、 とか、知り合いが脅かすので、少しは太ろうかな、と。 実際は、ちょっと痩せ気味という程度で、 そんなたいしたことではないと思うのだが……。 ま、これから冬だし、気をつけて良く食べるようにしよう。 そのためには鍋料理だな。

仕事が終わったあと、近所の中華料理屋で夕食を済ませて、 その足で東京駅方面へ。 夜は、数理ファイナンス関係のセミナに参加。

2012/11/08

猫は勘定に入れません

ゆっくり休んだので、かなり復調。 年寄は無理をしちゃいけないよ、ってことだね。 いつものように朝食をとり、お弁当を適当に詰めて出勤。 就職列車に揺られて着いた遠いあの夜を思い出しつつ、 さて、今日もがんばろう。 お店の仕事は辛いけど、胸にゃでっかい夢がある。 井沢八郎の「ああ上野駅」を台詞付きで口遊みながら出勤。

昼休憩に新刊書店で、ル・カレの新刊が出ているのを発見。 なんと出版社は岩波だ。ちょっと驚き。時代かなあ。 「われらが背きし者」(J.ル・カレ著/上岡伸雄・上杉隼人訳/岩波書店)。

夕方退社して、デフレスーパーで食材など買い物して帰宅。 夕食のメインは、鶏肉と根菜の煮物。 大根の葉は刻んでじゃこと炒め、 大根と人参の皮は膾にし、と、素敵な奥さんぶりを発揮するも、 誰にも見せる相手がいない。猫は膾を食べないし。

それで思い出したが、この前ネットワークハッカーの N さんが、 IT系の起業の鉄則を教えてくれた。 「ルールその1、一人で起業してはいけない。ルールその2、猫をその勘定に入れない」 だそうだ。確か、ジョエルのエッセイからの引用。 N さん本人はルールを破ったようだけれども。 ちなみに、弊社の近辺では、三人で起業するのが流行ってるみたい。 もちろん、猫は勘定に入れないで。

2012/11/07

不調な水曜日

宿酔だろうか、体調が良くない。 昨夜は麻布十番の人気のない居酒屋で、 どうせ一日中「日経新聞」とか「アサヒグラフ」とか読みながら、 優秀な若者たちにおんぶにだっこで寄生して、 悠々窓際ライフを満喫しているんでしょう、 なんて言い掛かりをつけられながら、 いやまあ、あながち言い掛かりでもないような気もするが、 そんな調子で飲んでいたので、悪酔いしたのかも知れない。

出社してお仕事。 昼食は近所のインドカレー屋さんにて。 やはり体調が悪い。血の巡りが悪くなっているような感じで、 何をしても長続きしないので、流し打ち気味の一日。 私も老境に至り、こういう日がしばしばある。 自分で身体の様子を見ながら、だましだまし、やっていくのが肝要だ。 そういうわけで、夕方、かなり早めに退社。

帰宅して、お風呂に入ってから、夕食の支度。 メインは鰤。最近、天然鰤の値が安い。 他に蒟蒻を手綱に結んできんぴらにしたりしながら、 久保田万太郎の煮大根的な叙情を味わう。 夜の読書は、 「ケヴィン・ケリー著作選集1」(K.ケリー著/堺屋七左衛門訳/ポット出版) など。

2012/11/06

未来

いつにも増して良く眠れると思ったら、朝から雨。 歳をとると身体が環境に鋭敏になってくると言うか、 平たく言えば、夜になれば眠いし、雨が降ると眠い。 朝食をとり、お弁当を作ったあと、 少し雨が引いてきたら出ようと見計らっていたら、土砂降りに。 やむをえず最悪のタイミングで出勤。

同僚の若いメンバが、 眼鏡の片方のレンズに超小型のディスプレイを装着しているのを見て、 衝撃を受ける。 "google glass" とか、 眼鏡型のヘッドマウント・ディプレイ(ウェアラブル・ディスプレイ)の噂は色々と聞いていたが、 ここまで来ていたとは。 「未来は既にある、ただ偏在しているだけだ」、 という言葉は真実なんだなあ。 昼休憩に新刊書店で 「ケヴィン・ケリー著作選集1」(K.ケリー著/堺屋七左衛門訳/ポット出版) を買う。 午後はミーティングなど。 超零細企業の弊社にも未来は来ているのだが、 世の中にお届けするまでには、まだかなり時間がかかりそう。

夕方退社して、麻布十番の居酒屋へ。 ネットワークハッカー N さんとほぼ月例の会食。

2012/11/05

安全劇場

朝から鯖の棒寿司と溶き卵のお吸い物で、ちょっと豪華な気分。 酢飯の残りと茄子の糠漬で清貧なちらし寿司がメインのお弁当を作って、出勤。

休憩時間に "This Will Make You Smarter"(J.Brockman 編/ Harper Perennial) より、 R.Anderson の "Science Versus Theatre" を読む。 私が "Security Theatre" という言葉を知ったのは、 暗号関係の仕事をしていたときだから随分前なのだが、 今こそ重要な概念なんじゃないかなあ、と思う。 日本語に訳せば「安全劇場」にでもなるのだろうか、 実際にリスクを下げることではなくて、 「安心する」「安心させる」ことが目的の「対策」、 そして実際には全く危険度は下がっていない、つまり見せかけに過ぎない「対策」のことである。

例えば、近所で通り魔が捕まった。 不安だ。当面の間、皆で毎朝毎夕子供を学校に送り迎えをしよう、と町内会で決める。 そして二週間ほどで日常が戻ってきて、送り迎えも止めてしまう。 なぜ、犯人が捕まった直後の、最も安全な二週間に、送り迎えをするのか。 そしてなぜ、その後、それ以外の何の対策も行なわれないのか。 一言で言えば、「不安だから」だろう。 何もしないでは不安だ。それに、「もし」また事件があったら、 「もし」自分の子供が巻き込まれたら、 何もしなかった自分を許せるだろうか。 それに、送り迎えをしてはいけないことはないだろう。 決して悪くはない。念のためだ。少なくとも、その間は「安心」だ。 二週間して、自然に不安は忘れられる。 もう何の対策をする必要も感じない。

実際、広い意味でセキュリティに関係するあらゆる問題、 例えば、テロ、犯罪、気候変動、異常気象、犯罪、エネルギー問題、 ありとあらゆるところで、 これは「安全劇場」なのではないか、と考えることは重要だと思う。 安全劇場は必ずしも悪ではない。実際、人間の弱き心を慰めるために、 ある程度は必要だろう。 しかし、それは対策ではない、という事実を見過してはいけない。 セキュリティの問題に対する科学の仕事は、 リスクを正しく理解し認識できるよう、 対象を研究し、理論的、実証的な情報を丹念に蓄積して行く、 地味で長期的な作業なのだが、 多くの場合で、「安全劇場」がそれにとって代わられる。 誰が悪いのだろうか。誰かの責任なのだろうか。

2012/11/04

明治時代のベストセラー

今日は一日、アパートの狭い住居より一歩も出ず、 家事と昼寝と読書で静かに暮らす。 やや手間のかかる料理として、 鯖の棒寿司を再び巻き、大豆を煮て五目豆を作った。 鯖鮨は前回よりかなり進歩したような。 五目豆は何かを入れ忘れて四目豆になっている気がするのだが、 大豆も入れて「五目」ということにしておく。

どこか涼しいところで毎日こういう暮らしをしたいものだが、 平凡なサラリーマンに楽隠居の夢は蜃気楼のように遠い。

「食道楽 (上・下)」(村井弦斎著/岩波文庫) が面白い。
これが明治時代の新聞の連載記事だということも、 書籍化されて当時の大ベストセラーになった、 ということも知っていたのだが、 お恥ずかしながら今まで未読で、 これが小説だとは知らなかった。 新聞連載なので一章が一日分だから文庫で 3 ページ程度と大層短く、 毎回、ほとんど強引なくらい無理矢理に食や料理に関する話題を盛り込みながら、 分かり易い物語が展開されてゆく。

私が今読んでいるところでは、 人は良いのだが大食いだけが珠に傷の大原満(どうやら主人公)が、 友人の妹で料理上手のお登和(おそらくヒロイン)を妻に迎えようと奮闘中。 友人たちの熱心な協力でとんとん拍子にまとまりそうだが、 これから田舎の親戚たちの承諾を得なければならない、 ところが向こうは向こうで嫁の候補を用意しているようだ、 と怪しげな雲行き。

2012/11/03

謎のドイツ風カレー

目が覚めるともう 9 時近く。 ああ、また 10 時間ほども寝てしまった。 もう遅いので朝食は珈琲、ヨーグルト、林檎、焼き芋で簡単に。 朝風呂に入って、湯船で 「わたしの献立日記」(沢村貞子著/中公文庫) を読む。 「今日(こんにち)さま」という言葉が出て来て、 一瞬なんのことかな、と思ったが、 どうやら「お天道さま」のことらしい。

昼食はありあわせのもので適当に済ませ、 午後は料理の仕込みなどの家事と、読書。 沢山送っていただいた酢橘が使い切れない内に古くなりそうなので、 残りの 10 個ほどをポン酢にする。 他には瓢箪南瓜を茹でたり、鯖を〆たり。 読書は「相田家のグッドバイ」(森博嗣著/幻冬舎)。読了。 私もそろそろ親が亡くなってもおかしくない歳なので、しんみり。 相田家の主人公や父上のような人が千人に一人ではなくて、 せめて百人に一人でもいてくれれば、 世間は随分と住み易くなるのだが。

夕食のメインは、ソーセージと酢キャベツの煮込みの残りで作ったカレー。 どうなることやらと思ったが、意外と美味しい。 確かにカレーライスではあるのだが、 酸味が効いてさっぱりとしていて、今までに食べたことのない謎めいた味わい。 ドイツ風カレー? これは新たな料理を発明してしまったかも知れない。 神保町でカレー屋を始めるかな……

2012/11/02

湯豆腐

朝はかなり冷えるようになってきた。 昨日の夜は会食だったので、今朝は珈琲と林檎だけの朝食。 お弁当を適当に詰めて出勤。 仕事柄か、職場に早速 iPad mini が複数台、登場。 持ち主に見せてもらって、 (私自身も含め)「意外にいいなあ」と感想をもらすメンバが多かったが、 「意外に」というところが味噌か。

昼休憩に新刊書店で 「食道楽 (上・下)」(村井弦斎著/岩波文庫) を買う。 夕方退社。外は朝よりもさらに、冷え込んでいる。 襟巻が欲しいくらいの感じ。 そろそろ冬だなあ。何せ、もう年賀状だって売ってるし。

帰り道に宮城の秋刀魚を一匹 98 円で買って帰宅。 米を炊いている間に、湯豆腐で一杯。 湯豆腐はいいねえ、としみじみ思う。 そろそろ御飯が炊けてきたので、次は秋刀魚を焼く。 豆腐に秋刀魚に大根おろしに、好物が安いものばかりで良かった。

2012/11/01

ソースカツの思い出

毎日、急激に気温が下がって行っているようで、大変好ましい。 朝、部屋の空気を入れ替えるのが爽やかだ。

出勤して、朝は静かなオフィスでお仕事。 昼食は持参のお弁当。ソースカツ丼。 池波正太郎が書いていた、子供の頃の思い出に触発されて。 お母上の給料日にはカツが食卓に登るのだが、 それを半分残してソースに漬けておき、 翌朝、その冷たいのをあつあつの御飯に乗せて食べることの方が楽しみだった、とか。 私も昨日が給料日だったので、 近所の肉屋でえいやっとロースカツに大枚330円をはりこみ、 今日の昼、そのソースカツ丼にありついたのである。旨い。

夕方退社して、夜は香港から来日中の P 君と会食。