「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2013/01/31

どうやら確からしい

昔、学生時代に家庭教師のアルバイトで高校生に数学を教えていたのだが、 彼女が高校生の確率の問題によくでてくる言葉「同様に確からしい」 を常に「どうやら確からしい」と言い間違えるのは、 仕方ないかも知れないなあ、と当時から思っていたことである。

以下は、 Futility Closet で知った問題。 太郎君はビー玉を一つ、次郎君は二つ持っていて、 これから自分の持っているビー玉を目標に向かってはじき、 目標物に近い方が勝ち、というゲームをする。 二人のスキルに全く差がないものとすると、 次郎君が勝つ確率はいくらか。

第一の答: 太郎君のビー玉と次郎君の二つのビー玉(AとBとしよう)は、 以下の場合に分けられる。 目標物に一番近いビー玉は太郎君のビー玉であるか、 次郎君のビー玉Aであるか、次郎君のビー玉Bである。 明らかに、この三つの場合は同様に確からしい。 このうち二つが次郎君の勝ちだから、次郎君が勝つ確率は 3 分の 2。

第二の答: 以下の場合が考えられる。 太郎君のビー玉は次郎君のビー玉のどちらよりも目標に近いか、 次郎君のビー玉Aよりは目標に近いがBよりは遠いか、 次郎君のビー玉Bよりは目標に近いがAよりは遠いか、 次郎君のビー玉のどちらよりも目標から遠いか。 明らかに、この四つの場合は同様に確からしい。 このうち三つが次郎君の勝ちだから、次郎君が勝つ確率は 4 分の 3。

さて、正しい議論はどちらでしょう? そして、間違っている方の議論を訂正してください。 簡単な問題なので、答は特に紹介しません。 なお、この問題の出典は、Futility Closet によれば、 "Calcul des Probabilités"(J. Bertrand, 1889) だそうです。 有名な数学者ベルトラン(J.L.F.Bertrand, 1822--1900) による、確率論の古典ですね。

2013/01/30

鰊蕎麦

早めに退社して、髪を切りに行く。 ついでに近所の ATM で住民税を支払い、帰宅。 懐も寒いが、頭も寒い。 今週は体調ももう一つだが、 普通の日が元気一杯やる気充実している歳でもなく、 これが普通の状態なのだろう。あるいは、 これが更年期障害というものかも知れない。 と思うと、何やら寒い心持ちにもなってきた。

帰宅すると、注文していた "Memoirs of Hadrian"(M.Yourcenar 著/G.Frick 訳/Penguin) が届いていた。わあい。 気を取り直して、夕食の支度。 手羽中のケイジャン・スパイス焼きを温め直し、 大豆と玉葱の三杯酢和え、白菜の塩麹漬けで、冷や酒を五勺ほど。 のち、蕎麦を茹でて、出来合いの鰊の甘露煮を使い、 菠薐草、半熟茹で卵などを添えて、鰊蕎麦。 鰊蕎麦、うまい。 今日も良い一日だったなあ。

2013/01/29

カリブ海の復讐

帰宅して、今日の夕食は湯豆腐からと決めていた。 お風呂に入ってのち、 湯豆腐。冷やで酒を五勺ほど。 鶏もも肉と長葱の漬け焼き丼、白菜浅漬け、チキンスープ。

夕べの読書。 「天使の復讐」(P.シェルビー著/和泉晶子訳/ハヤカワ文庫)。 予想以上に面白い。 宿敵の陰謀によって大富豪の父を殺され、資産も会社も結婚したての夫も国籍も全てを奪われた主人公は、十九歳の少女。 そのどん底から這い上がって、復讐を遂げようとする主人公と、 そうはさせじと陰謀を張り巡らせる敵との戦いを、カリブ海を舞台に華麗に描くという、 粗筋だけ聞くと馬鹿馬鹿しさ満点の物語。 でも、良く出来ている。

全然知らなかった小説家だが、ラドラムと共著も書いているらしいので、 かなり力量のある作家のようだ。

2013/01/28

ドーナツの食べ方

どうやら雪は降らなかったか、 降っても積もらなかったようだ。 しかし、良く冷える朝。 いつも通りに朝食の支度をして、お弁当を作る。 いつも通りに出勤。

昼休憩に新刊書店で 「暮しの手帖」の最新号を買う。 「ドーナツの食べ方」という面白い特集記事が。 クリスピー・クリーム・ドーナツとポテトサラダとか、 フレンチクルーラーとクラムチャウダーとか、 本当にあうのかなあ(笑)。 でもドーナツには、駄目でも許せる愛嬌がある。 試してみたいが、 ふと考えてみると、神保町にはドーナツ屋がないような。 ちょっと前まで、ミスタードーナツの高級店みたいなのがあったのだが、 消えてしまった。どこかにあったかなあ。

夕方退社。朝と同じく寒い。 帰宅して、お風呂に入ってから、夕食の支度。 実家の畑から送ってもらったキャベツが余っているので、 豚バラ肉とキャベツの塩麹鍋にしてみた。 いただきものの柚子胡椒で。 あとは、長葱をたっぷり追加して、饂飩に。 饂飩はうまい。

2013/01/27

今日も冬籠り

もっと早く目が覚めていたのだが、起床は 8 時。 水の冷たさで冬日を知る。 いつものように珈琲とヨーグルトのあと、 朝食の支度。人参と蕪の糠漬、鱈子、御飯、豚汁。 朝風呂に入って、湯船で 「天使の復讐」(P.シェルビー著/和泉晶子訳/ハヤカワ文庫) を読む。 ハーレクイン・ロマンスと「モンテ・クリスト伯」をあわせた感じだろうか。

昼食の支度。メインは手羽中のスパイス焼き。 今回はケイジャン・スパイスを使ってみた。 辛いけど、美味しい。 これはビールなしではありえないな、と思い、 偽ビールを一本だけ。昼酒はうまい。 そのあとは、夕方まで料理の仕込みと、合間の読書。 「天使の復讐」、意外に面白いな。

夕食は鶏の水炊き鍋。あとは雑炊。 鍋のあとの雑炊は美味しいなあ。 夜は 「クルーグマン マクロ経済学」(P.クルーグマン&R.ウェルス著/東洋経済新報社) を読んだり。 今日も静かで良い一日だった。

夜になってから背筋がぞくぞくしてきて、 これはいよいよ風邪かな、と思っていたら、 単に気温が下がって来ているせいみたい。 再び低気圧襲来、明日の朝にかけて雪だとか。

2013/01/26

冬籠り

良い天気だ。今朝の東京は氷点下らしい。 朝食を簡単に済ませ、朝風呂。 寝床で猫と並んで 「人生談義」(エピクテートス著/鹿野治助訳/岩波文庫) より第四巻第一章「自由について」を読んだり、 ざっと確定申告の概算をしたりしているうちに昼。

昼食の支度。御飯を炊いて、若布としめじの味噌汁を作り、 昨日買ってきた出来合いの蒸し餃子を温め、 他に蒸しブロッコリ、白菜の漬物、卵かけ御飯。 食後にしばらく昼寝。 午後も家事と、読書など。 くず野菜でスープストックをとったり。 「凡庸な芸術家の肖像」(蓮實重彦著/青土社) を読んだり。 かなり大部な本なのでいつ読み終れるか分からないのだが、 雑誌に連載されていたこともあり、 短いサイズに切り分けられていて、読み易い。 ちょっとした合間に楽しく読める。

夕方になり、ピェンローの支度をしておいてから、 お風呂。湯船の読書は「昭和史(上)」(中村隆英著/東洋経済新報社)。 今、斎藤実内閣、岡田啓介内閣あたり。 湯上がりに一本百円くらいの偽ビールを飲み始めつつ、 ピェンロー開始。 鍋のあとは雑炊にした。 蕪と梅肉の三杯酢和えと冷や酒五勺を添える。

静かで良い一日だったなあ。

2013/01/25

第七書簡

今日は天気も良く比較的暖かいが、 週末にかけてかなり冷えるとか。 いつものように出勤。 昼休憩にセネカの書簡集より、 何よりも避けるべきは群集であると説く第七書簡を読む。 夕方、退社。 確かに、急激に気温が下がっている。 土日は冬日だそうだ。自宅で冬籠りしよう。

金曜日の夜は夕食の支度を休むことにしているので、 帰路で軽食をとる。 さらにスーパーに立ち寄って、週末に外に出なくてもよいよう食材を補充。 帰宅して、お風呂に入り、 湯上がりにギネスを一杯だけ。 肴はいただきもののオリーヴの実とチーズと大蒜のオイル漬け。 NHK FM を聞き流しつつ、 猫の背中を踏みながら、 「王者のゲーム」(N.デミル著/白石朗訳/講談社文庫) を読む。馬鹿馬鹿しくてよい。 喩えて言えば、 映画「ダイ・ハード」を柔らかくした感じ。

今日も平穏無事で良い一日だったなあ。

2013/01/24

古書店のお婆さん

どうやら雪は積もらなかったようだ。 出勤して今日も pymongo な一日。

昼休憩の神保町散歩中に、 通りに面した百円均一棚に文庫本を見つけ、 初めての店に入ったら中は骨董の専門古書店で、 上品なお婆さんが非常に丁寧かつ親切に対応して下さった。 しょうもないサスペンス本二冊を買ったのが申し訳ない感じ。 持ち合わせがあればその二十万円の蕎麦猪口をいただくのだが今日はたまたま手元不如意で、 という顔を作って二百円を払う。

帰宅したら、税務署様から確定申告書用紙が届いていた。 週末は書類書きだ。 夕食の支度。今夜のメインディッシュは、 実家産の白菜でタイ風の炒めもの。 適当に作ったわりには美味しかったため、 明日のお弁当は今日の残りものでタイ風炒めものかけ御飯に決定。

2013/01/23

書簡集

昼休憩に "Letters from a Stoic"(Seneca 著/R.Campbell 訳/Penguin Classics) より書簡を一つ読む。長さが数ページなので丁度良い。 東海大学出版局の全書簡訳も持っているのだが、 あまりに大部なので、この英語抄訳版が気に入っている。

オフィスで風邪が流行中。次々とメンバが倒れている。 そんな私も今週は体調がもう一つなので、 気をつけないと流行に乗ってしまいそうだ。 そう思うと、何だか背筋がぞくぞくしてきたような。 夕方、退社して徒歩で帰宅。 今夜あたりまた、降雪の可能性があるらしく、 確かに冷える。

帰宅して夕食の支度。 出来合いの餃子を焼いて、 自作のスープストックで葱と生姜のスープを作り、 作り置きの惣菜をあと二品。

2013/01/22

読書家の懐

起床。外を見るに、東京は雪をまぬがれたようだ。 冷たい小雨の降る中を出勤。 朝もはよから弁当箱下げて家を出ていくおやじの辛さ。 いつも通りの時間に出社。 昼食に持参のお弁当を食べて、 セネカの書簡を一つ読み、神保町を散歩する、いつもの昼休憩。

いつも通りに夕方退社して、徒歩で帰宅。 今日のメインは鯖の塩焼き。鯖はうまいなあ。 他に作り置きの惣菜などとあわせて、冷やで一合ほど飲んでから、かけ蕎麦。 寒い日には、熱い蕎麦に敵うご馳走はそれほどない。

今週は始まりから、もう一つ調子が上がらず、 火曜日の夜に既に、 肩のこらない面白本でパスタイムしたい、という感じ。 そんなわけで、故・児玉清氏が絶賛していた 「王者のゲーム(上・下)」(N.デミル著/白石朗訳/講談社文庫) を読み始める。 ううむ、児玉清さんて懐の深い読書家だったのだなあ。 けして悪い意味でなく。 ローマの古典を推奨するような気取った人間はいくらでもいるが、 自他ともに認める読書家で、 こういう本を自信を持って絶賛できる人はそういないものだ。

2013/01/21

孫さんの炒り卵

夕食のメインに 「孫さんの炒り卵」という料理を作ってみる。 「ワンダーレシピ」(添田浩著/工作社)に紹介されている謎の料理。 材料は基本的に卵と生姜だけで、 卵を黄身と白身に分けて、また、それを合わせなおす、 という「再構成料理」の一例。 蟹味噌を調理したかのような、絶妙な味がするとか。

卵 3 個を白身と黄身に分け、 溶いた白身の方には針生姜を加え、 溶いた黄身の方に醤油と酢と砂糖を加える (分量は卵 3 つに対し、砂糖と酢を小匙 1、醤油を小匙 2弱)、 少量の油をひいたフライパンに白身の方を入れて、 周りから中央に寄せるように柔らかく混ぜ、 白身がかたまり出したところに、かけ回すように黄身を注ぐ。 今度はぐるぐるっとかき混ぜ、 全体にかたまり切らないくらいの内に皿に移して、出来上がり。らしい。

この焼き方がポイントらしいのだが、 こればかりはレシピからちゃんと伝わってこない。 ここは「モデラート・カンタービレ」とか言われても、何が何だか。 しかも、イラストや写真が漠然としていて、出来上がりがイメージできない、 という、ないない尽し。 実演してもらわなければ、あるいは、 せめて実物を見ない限りは、本物の「孫さんの炒り卵」はできないのではないか。 と思いつつ、兎に角、やってみた。

結果、残念ながら、ただの「美味しい炒り卵」が出来てしまったのだが、 一度作ってみると、「ああ、そういうことか」と納得できた。 おそらく、ふわふわとした白身の上に、濃厚な赤い黄身のとろとろが、 ソースのようにかかり、一体とならずに混じりあった感じが正しい姿なのだ。 確かに、タイミングと火の入れ方と木べらの使い方が全ての料理と言えよう。 今すぐにでも再チャレンジしたかったのだが、 一日に卵 6 個を食べるのは過酷過ぎるし、 猫に与えるわけにもいかないので、次の機会をうかがいたい。

2013/01/20

いつもの日曜日

寝床で "Letters from a Stoic" (Seneca 著/ Penguin Classics) などを読む。

8 時起床。 猫にキャットフードを与え、自分の朝食をとり、朝風呂に入る。 洗濯に、浴槽の掃除。 昼食の支度。昼食ののち、しばらく昼寝。 そのあと近所のスーパーで買い物、 帰宅して掃除機がけ、トイレの掃除、 洗濯物を畳み……などしていると、もう夕方。 夕食の支度。 今日のメインは鯖の柚子味噌煮。 ついでに白菜を漬けたり、明日以降の料理の仕込みも。

夜の読書は、 「ケンブリッジ・シックス」(C.カミング著/熊谷千寿訳/ハヤカワ文庫)、 「凡庸な芸術家の肖像」(蓮實重彦著/青土社) など。 まな板と布巾を消毒液に漬け、包丁を研ぐ。

2013/01/19

土鍋で鶏手羽を焼く

土曜日だけれども、 いつもと同じ時間に起き、朝食の支度をして、 同じような時間に出動。東京駅へ。 デリバティヴ部会の自主ゼミ。

今日は Revuz-Yor の教科書より、 ブラウン運動の excursion 過程について。 そもそも Levy 過程をあまり良く知らないことに気付き、反省。 そのあと、いつものようにゼミの参加者でランチ。 飲みながら、業界の裏話などを聞く。 最近、ゼミそのものよりも、 そのあとのランチ(と、お酒)が目的になってきている自分に反省。

帰宅して、お風呂に入ってから、夕方まで昼寝。 夕食の支度。 今日のメインは、鶏手羽中の土鍋焼き、オットマン・スパイスなのでトルコ風味のはず。 塩胡椒とスパイスを揉み込んだ手羽肉を、 少し油を引いた土鍋で、一つずつ焼きつけては並べ、 手羽自体から出た脂でぱりぱりに揚げた感じに仕上げていく。 作っているうちから、これが美味しくないはずがない、という香りと色合い。 実際に、劇的に美味しかった。 昼間も飲んだのだが、これで飲まないなんてありえない。 ビールをつけてしまった。 次はケイジャン・スパイスでもやってみよう。

2013/01/18

受験生殺しの問題

かつてモスクワ大学の数学科では、 ユダヤ人など、望まない受験生を口頭試問で確実に落とすための、 極秘の問題セットがあったそうだ。 その問題は、試験する側がけちをつけられないよう非常に簡単な答を持ち、 かつ、その答を見つけるのがほぼ不可能なくらい難しい、 という特徴を持つ。 その問題セットの 21 問の問題とヒントと解答を含む文献が、 arXiv に投稿されていたのがこれ。 "Jewish Problems" (T.Khovanova and A.Radul, arXiv:1110.1556).

以下に、そのうちから比較的に易しい 3 問を選んでみた。

第 3 問:「与えられた三角形 ABC に対し、 定規とコンパスだけで、辺 AB 上に点 K, 辺 BC 上に点 M をとり、 AK と KM と MC の長さが等しくなるようにせよ」

第 11 問:「sin 10° が無理数であることを証明せよ」

第 18 問:「125 の 100 乗は何桁か?」
(もちろん受験生は具体的な対数の値など覚えていない。 対数を使わずに、うまい計算をするのである)。

21 問全部にチャレンジして人生を棒に振る前に、 この 3 問で力試ししてみることをお勧めする。

2013/01/17

トルコのミックス・スパイス

出勤して、今日は粛々と mongoDB と pymongo な日。 夕方退社。

帰宅して夕食の支度。 メインは、 イスタンブール土産にいただいた三種類のミックス・スパイスのうち、 「アナトリア・スパイス」とか言う白いものを使って、 蛸とブロッコリと芽キャベツの炒めもの。 スパイスをお裾分けしてもらっている時に、 このスパイスを「アメリカのスーパーマーケットの匂い」と酷評する人もいたので、 どうなることやらと思っていたが、意外に美味しかった。 と言うか、アメリカのスーパーの匂いって何。 普段は和食の家庭料理中心の我が家に、エキゾチックな香りが充満する夜。

それはさておき、「アナトリア」という名前からして、 おそらくアナトリア半島あたりの地方料理のフレイバーなのだろう。 他の二種類は、「オットマン・スパイス」と「ケイジャン・スパイス」らしい。 「オットマン」はオスマン帝国の「オスマン」のことだろうから、 きっと無難なトルコ風のスパイスだろうし、 「ケイジャン」はルイジアナ料理を想像すれば良いはずなので、 敵は組み易しと見ている。

2013/01/16

古典的な朝

6 時に目が覚めた。 NHK-FM で「古楽の楽しみ」を聞きながら、 「ハドリアヌス帝の回想」(ユルスナール著/多田智満子訳/白水社) を読む。 清らかな気持ちで 7 時起床。 朝食を済ませて、今日は徒歩で出勤。

朝は粛々と仕事。 水曜日なのでお弁当はなしで、昼食は近所のスープカレー屋にて。 午後は定例のミーティング。 同僚がまた風邪を引いたみたいだと言っている。 うつらないか心配しながら、夕方退社。徒歩で帰る。

帰宅して、風呂に入ったあと、 大豆の大根おろし和えを肴に酒を冷やで五勺ほど飲みながら、 一日の一人反省会。 その後、適当にあるものを前菜に食べてのち、豚汁、蓬餅など。 冬は豚汁だねえ。

2013/01/15

落魄の美学

朝起きると、足腰が痛い。 どうやら昨夜、雪の上を歩くのに普段使わない筋肉を使ったらしく、筋肉痛。 歳はとりたくないものじゃのう……と老猫に話しかけつつ、朝食の支度。 お弁当を詰めて、出勤。 今朝は流石に地下鉄を使った。

新年会疲れで、低調。 昼休憩に新刊書店で 「ケンブリッジ・シックス」(C.カミング著/熊谷千寿訳/ハヤカワ文庫) を買った。夕方退社。 既に道路から雪がかなり消えていたが、 老体を労る意味で地下鉄で帰る。 やはり冷える。今夜は豚汁にするぞ、と思いつつ帰宅。

昨日の会食で某大学の経済系の先生が、 小料理屋の女将のヒモになって、 この人も昔は論文を書いたりちょっとしたもんだったんですけどねえ、 とか言われながら、カウンタの隅で女将に酒を注がれたい、 と語っていらした。落魄の美学だろうか。 少なくとも、マスコミに出て、売れっ子評論家になって、政府の参与になって、 という路線よりは、経済学者として格好良い老後である気はする。

2013/01/14

トルコ料理

宝塚にて会食。 年末、イスタンブールにパーティの料理の手伝いに行っていた Y さんが、 トルコから持ち帰ったスパイス類と食材を使った料理で新年会を用意してくれると言うので。

往復の車中での読書は、 「六人目の少女」(D.カッリージ著/清水由貴子訳/ハヤカワミステリ 1867)。

2013/01/13

ロシアンルーレットの部屋

心静かに家事、料理の仕込み、読書の平和な一日。 大豆を煮て、白菜を漬けて、いただいた檸檬でポン酢を作った。 「マネー・マーヴェリック」(L.クロイヤー著/斉藤裕一訳/ピアソン)、読了。 他に、「凡庸な芸術家の肖像」(蓮實重彦著/青土社)、 「昭和史 (上)」(中村隆英著/東洋経済新報社) を少しずつ。

あなたは、以下のようなゲームに参加登録しようとしている。 まず一人が部屋に入り、二個サイコロを振る。 もし、六のゾロ目が出れば、命を失う。 それ以外の目ならば大金を受け取って部屋を去り、 新しく 9 人が部屋に入る。 その 9 人の内の代表者一人が二個のサイコロを振り、 もし、六のゾロ目が出れば、その 9 人全員が命を失う。 それ以外の目ならば 9 人全員が大金を受取って部屋を去り、 新しく 90 人が部屋に入る。 その 90 人の内の代表者一人が二個のサイコロを振り、 もし、六のゾロ目が出れば、その 90 人全員が命を失う。 それ以外の目ならば 90 人全員が大金を受け取って部屋を去り、 新しく 900 人が部屋に入る……と、 いつか六のゾロ目が出るまでこれを続けていく。 (部屋はいくらでも広く、参加希望者もいくらでもいるとする。)

これはとても良い賭けだと、あなたは思っている。 何故なら、自分が部屋に入ったときを想像すると、 死ぬ確率はわずか 36 分の 1 に過ぎない。 しかし、母親に相談すると、 「でも参加者の 90 パーセントは死ぬのよ?」 と指摘された。確かに、六のゾロ目が出てゲームが終了した時点で、 それ以前に部屋に入った人たちの 9 割が死ぬ。 あなたは、参加登録すべきかどうか、分からなくなってしまった。 どちらの意見が正しいのだろう。

このパラドクスは以下の文献で議論されたもの: Paul Bartha and Christopher Hitchcock, "The Shooting Room Paradox and Conditionalizing on Measurably Challenged Sets" (Synthese, March 1999). 私自身は blog "Futility Closet" で知った。 実際、数学的には確率論としてパラドクスはどこにもないのだが、 奇妙な印象が拭えない、面白い設定だと思う。

2013/01/12

今日も新年会

湯船の読書は 「ハドリアヌス帝の回想」(ユルスナール著/多田智満子訳/白水社)。 ふと値段に消費税がついていないことに気付き、 奥付を見ると 1987 年の二刷。 新刊で買った記憶があるので、 どうやら私が大学に入った頃、つまり、 四分の一世紀以上前に購入したらしい。

昼食は、野菜くずでとったスープストックを使って、 具はじゃが芋と玉葱と人参のカレーライスを作る。 他に、芽キャベツのサラダ、白菜とハムの炒めもの。 食後しばらく昼寝。

昼寝のあと、東京駅に向かう。デリバティヴ部会の自主ゼミ。 今日も私がスピーカー。原論文をベースにラフパス理論入門を二時間ほどで話す。 前回、ピンチヒッターとしてやむなく、 今日話すはずだったことをかなり話してしまったので、 今日はわりと具体的に。

そのあと、参加者と人形町に移動して、イタリア料理屋にて新年会。

2013/01/11

愛宕神社

今日もやや遅い出勤。まだペースがつかめず。 夜は弊社の新年会なので、 昼休みにお土産を買い求める。 愛宕神社の参道みたい変な所にあるチーズ屋にて、 適当に詰め合せを選んでもらう。 30 分くらいで帰ってこられると思っていたら、 意外と最寄り駅から遠かったので一時間くらいかかってしまった。

午後も粛々と python プログラミングをして、 夕方、会場に移動。

2013/01/10

ユルスナール

何とか三日坊主にならずに済んだ、 ネクタイと徒歩通勤の四日目。 昼休みに 「六人目の少女」(D.カッリージ著/清水由貴子訳/ハヤカワミステリ 1867) を買った。 これは期待できそうだ。三連休に読もう。

良く冷えるなあ…… 帰宅して、長葱を入れた湯豆腐で、酒を冷やで五勺ほど。 湯豆腐はいいね。そのあと、鍋焼饂飩。

やはり長い休みの後の週の木曜日は辛い。 いただいた蕪をいくつか梅肉と三杯酢の和え物にしたり、 料理の仕込みのあと、 静かに 「ハドリアヌス帝の回想」(ユルスナール著/多田智満子訳/白水社) を読んで、心身を休める夜。

2013/01/09

マーヴェリック

相変わらず良く眠れ過ぎて、出社が遅れた。 ネクタイを締める手間と、徒歩通勤の時間が追加されたこともあるのだが、 主原因は寝坊。 週の中日の水曜日は、 お弁当作りも休みだし、仕事も軽めに小さな雑用中心。

今日の読書。 「マネー・マーヴェリック」(L.クロイヤー著/斉藤裕一訳/ピアソン)。 著者が独立と成功を夢見て 2002 年に三十歳でヘッジファンドを立ち上げ、 六年後の 2008 年に全資金を償還してクローズするまでのドキュメンタリ。 巨大投資銀行とか強力な有名ヘッジファンドや超有名人たちの物語とは違って、 「ごく普通の」ヘッジファンドの姿がなまなましくて面白い。

ちなみに、「マーヴェリック」(maverick) は日本語で言えば「一匹狼」くらいの意味。

2013/01/08

新たな習慣

折角、大量にネクタイをもらったことだし、 今年からは少なくとも仕事中はシャツにネクタイにしようかな、 と思い、二日続いている。三日坊主の可能性もあり。 やはり慣れていないものだら、肩が凝るんですよね……

さらに、できるだけ徒歩通勤をしよう、とも決めた。 今までは地下鉄を使うことが多かったのだが、 駅がわりと遠い上に乗車時間が短いので、 実は歩いても通勤時間は大差ない。 でも散歩には遠い距離であることは間違いなく、 つい地下鉄を使ってしまっていた。 徒歩通勤も二日続いている。三日坊主の可能性もあり。

2013/01/07

チェックリスト

冬休みの課題図書が順調に消化されたので、もう一冊おまけ。 「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?」。 邦題のせいで、つまらない自己啓発本だろう、と見過しかけたのだが、 「ガワンデ」という変わった著者名に見覚えがあった。 検索して、名著 「コード・ブルー」 を書いた外科医だったことに気付き、読んでみた。 結果、思わぬ拾い物だった。 もうちょっと真面目な翻訳タイトルはつけられなかったのだろうか。

主題は、「コード・ブルー」でも大きなテーマの一つだった、 医療事故としての手術ミス。 手術の安全性についてのエキスパートである著者は、 手術ミスを減らす対策の探求をWHOから依頼される。 この地球上で手術ミスで失われていく命の数は、 マラリアや結核に迫るほどで、 WHOが真剣に取り組むべき課題になっていたのである。 しかし、予算はほとんどつけられないと言う。 著者の唯一の手がかりは「チェックリスト」。 ある種の外科手術においては、簡単なチェックリストがミスを減らすことは、 既にある程度は実証されていた。 著者は、高層ビル建築、旅客機操縦、高級レストランのシェフ、機関投資家など、 非常に複雑なのにミスが許されない、しかしミスが起こりうる、 プロたちの現場にインタヴュを重ね、チェックリストの意味と使い方を学んで行く。 著者に許されたわずかなリソースで、 世界中の手術ミスを激減させるという奇跡を起こすことができるのか……というお話。

第八章の投資の話は若干、眉唾だと思うのだが、 全体に非常に面白かったし、チェックリストに対する考え方が変わった。 もし私が何かの手術を受けることになったら、 是非、その手術チームにはチェックリストを使っていて欲しいものだ。

2013/01/06

ネクタイ

もう平常モードで 6 時に目が覚めた。 でも二度寝。 このまま隠居したいなあ……と、 うとうとしていると 8 時起床。 老いてなりたや巷なる妻子泣かせの放蕩児。

家事をしたり、 「ファスト&スロー」(D.カーネマン著/村井章子訳/早川書房) を読んだり、いつもの日曜日。 「ファスト&スロー」読了。

実家からネクタイを沢山送ってもらった。 父が長年の間に蓄えたネクタイを処分するというので、 それなら少々もらっておこうと思って。 とは言え、私はネクタイを締める習慣がないので、どうしたものかなあ、と。 今年は職場でネクタイをしてみようか。 公私けじめなく、だらだらと過しているので、 減り張りがついて良いかも知れない。

ただ、デザインがどれもこれも、 どうにも「昭和」と言うか、 「高度成長期」と言うか、「もはや戦後ではない」と言うか、 時代を感じさせるのが、やや問題。

2013/01/05

普通の土曜日

今朝も良く冷える。 今日はもう普通の土曜日なのだよね、 と覚悟するため、 朝食は「いつもの」納豆定食を用意する。 でも、朝から、筑前煮の残りで、いただきもののシャンパーニュなど飲んでしまう。 朝風呂に入ってのち、 ホットカーペットに猫と並んで寝転がって読書。 「ファスト&スロー」(D.カーネマン著/村井章子訳/早川書房)。

小腹が空いてきたので昼食の支度。 レタスとブロッコリと芽キャベツと茹で卵のサラダ、 酢キャベツとロースハムのスパゲティ・アーリオオーリオ。 食後に、ベリー類のケーキとシャンパーニュを一杯。 これで、いただいたシャンパーニュは終了。ありがとうございました。 久しぶりに飲むと美味しいものだなあ。

午後も同じ調子で過して、 「ファスト&スロー」の上巻を読了。下巻に入る。 「生成文法の企て」(N.チョムスキー著/福井直樹・辻子美保子訳/岩波現代文庫) も読了。

夕食の支度。 この寒さでは、やはり鍋。 立派な良い白菜を送っていただたいところなので、 ここはピェンローしかあるまい。 このぎっちりと巻きが強く、ずっしりと重い巨大な白菜を前にして、 ピェンロー以外にはありえない。 冬休みも終わりに近付いているので、思い切ってヱビスビールもつけた。 そして、あとはもちろん雑炊。

2013/01/04

野菜をトスする

今朝はよく冷えるなあ。 いただきものの蓬餅を焼き、 おせちや煮染めの残りで、いただきもののシャンパーニュ。 親切な方々のおかげで朝から贅沢。 朝風呂に入って湯船で 「生成文法の企て」(N.チョムスキー著/福井直樹・辻子美保子訳/岩波現代文庫) を読む。

昼食には玉葱、人参、絹莢、ハムを炒め、 インスタントラーメンとあわせてタンメン風のものを作る。 食後に紅茶と、ベリー類のケーキを一切れ。 午後は野菜くずを煮てスープストックをとったり、 「ファスト&スロー」(D.カーネマン著/村井章子訳/早川書房) を読んだり。

夕食時が近付き、いただいた大量の野菜を前に策を練る。 根菜類は日持ちするので、 まずはレタス、ブロッコリ、芽キャベツあたりの食べ方を考えねば。 とりあえず今日のところは、レタスは生のまま、他のものは蒸し野菜にして、 これまたいただきもののレモンをベースにしたドレッシングで。 そのあと、また煮染めやおせちの残りで、御飯、金時人参と若布の味噌汁。

普通、ドレッシングは油と他の材料、例えば酢や塩胡椒とを混ぜて作るものだが、 一説によれば、まず野菜に少量の油だけをかけ、「トス」をして野菜に油の膜を作り、 そこに油抜きで作ったドレッシングを使う方が美味しいのだそうだ。 塩分で野菜から水が抜けないよう油膜がガードする、とか、まあそんな理屈で。 (科学的に正しいかは疑問。) それを思い出して、時々やってみるのだが、 私の味覚では、どっちもどっちという感じ。

2013/01/03

ファスト&スロー

昨夜は 20 時頃に寝てしまったのだが、 今朝は 8 時に起きたので、12 時間睡眠。 今日も良い天気だが、かなり冷える。 珈琲とヨーグルトのあと、 煮染めの残りと鱒寿司の朝食。 猫には、猫用にといただいた焼き笹身を与える。

朝の内に「ローマの歴史」(I.モンタネッリ著/藤沢道郎訳/中公文庫) を読了。 朝風呂に入って、湯船で 「ファスト&スロー」(D.カーネマン著/村井章子訳/早川書房) の上巻を読み始める。 昼食の支度。 キャベツの酢漬け、大根の浅漬け、レトルトのカレーライス。 食後にベリー類のケーキと紅茶。 そうこうしている内に、 知り合いの方から大量の野菜などが届く。 ありがたし。野菜の使い方や保存方法の策を練っている内に夕方。

夕食の支度。 いただきものの蓬餅を焼いて、煮染め、おせち、黒豆の五目豆などの残り。 これまたいただきもののシャンパーニュを少々。

2013/01/01

モンタネッリ

「ローマの歴史」(I.モンタネッリ著/藤沢道郎訳/中公文庫) が面白い。 読者サーヴィス満点。 著者は特に歴史の専門家ではないので、 細かいことを気にすれば色々あるのかも知れないが、 楽しくすらすらと読めて、 これ一冊で古代ローマ史が一通り分かる、大変お得な本。

夕食は稲荷寿司と巻き寿司でギネスビールなど。