「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2016/02/29

歴史の間

今日は四月上旬なみに気温が上がるという天気予報を真に受けて、コートを着ずに外に出たら寒い。朝はまだましだったが、夜には冷たい北風が強く吹きつけて、激しく後悔。春はまだ遠いらしい。

朝の通勤電車では相変わらず谷崎源氏だが、帰りの読書は「ベウラの頂」(R.ヒル著/秋津知子訳/ハヤカワ・ミステリ 1690)を先週読み終えて、今日から「秘められた感情」(R.ヒル著/松下祥子訳/ハヤカワ文庫)に。ダルジール警視シリーズは一種の年代記なので、ちゃんと時代順に読んでいたのだが、文庫化された「秘められた感情」と「四月の屍衣」だけ飛ばしていたので、このあたりで遡って歴史を埋めることにした。

2016/02/28

「敵手」

家事とディック・フランシスと数独の幸福な一日。

「敵手」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ文庫)、読了。片腕義手の探偵シッド・ハレー、三度目の登場。やはりシッド・ハレーのシリーズはディック・フランシス性の典型例。典型的な主人公像に、典型的な苦難が次々と襲いかかり、主人公は典型的に耐え忍びながら戦い抜き、そして最後には、失ったものをある意味で取り戻す。黄金パターンである。

この「敵手」では、ほとんど 1 ページ目から「意外な犯人」が分かっていて、倒叙型ミステリの趣きもある。しかし、どのように犯人が暴かれるのかよりも、そのことでどのように主人公が苦しみ、どのように闘うかが主眼であるところにフランシス性がある。

2016/02/27

フォーチュンクッキー

結局、当日の朝に朝食を食べながらゼミ発表の準備。話す順序とストーリーを組み立てる。

ゼミ発表はまあ穏便、かつ好評のうちに終了した。どこも証明をせずにあらすじ紹介に徹したのが良かったのかも。参加メンバによるその後のランチは四川料理。食後のフォーチュンクッキーに書かれていたことがとても正しいと思えない。むしろ正反対じゃないだろうか。

そのあと、東京駅のギャラリーで開催されているモランディの展覧会を観る。予想以上に広々として、沢山の絵が展示されていることに驚いた。それはさておき、モランディは下手な壜の絵をやたら描き続けた人という感じで、今のところ私にはその凄さが分かっていない。

帰宅して風呂に入り、まだ陽の残っているうちに、おからでビール。さらに烏賊の一夜干しの炙り。その間に御飯を炊いて、卵かけ御飯、焼き海苔、沢庵、豚汁。夜は「敵手」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ文庫)と数独など。

2016/02/26

ゼミの準備

「古楽の楽しみ」がリクエスト特集ということは金曜日。今日はいい天気だ。寒さのせいか、いつになく猫がなついてくる。猫にキャットフードと水、自分に納豆定食。昼食の弁当を適当に作って出勤。

いつもより早く退社し、本郷で用事を一つ片付けて、徒歩にて帰宅。ゼミ発表は明日の朝なのだが、まだろくに準備をしていない。社長は忙しいんですよ、と言えば、普段の私の仕事ぶりを知らないゼミのメンバには勘弁してもらえる……ことはないだろうなあ。

2016/02/25

証明と計算

寒い日が続いている。夕食は豚肉、白菜、豆腐、しめじ、えのきの水炊き鍋。自家製のポン酢で。あとは雑炊にして卵と刻み葱。

夜はゼミ発表の準備など。一時間半程度で論文紹介をするつもりなので、あらすじ紹介と言ったところだが、補題一つくらい証明するか何か計算をしないと、数学のゼミらしくないかなあ。

2016/02/24

文体の進化

山里はものの寂しきことこそあれ世のうきよりは住みよかりけり、か……と谷崎源氏に思いながら出勤。いずれ古今集も研究してみなければなるまい。

それはさておき、今日の主な仕事は、集中して特許関係の調べもの。どうして特許の文書はこんなおかしな文体で表現されているのだろうか。間違った進化の道を歩んで袋小路に入ってしまったようにしか思えない。

帰宅して、まず風呂。湯船で精進料理の本を読む。湯上がりにおからと烏賊の一夜干しの網焼きでワインを少々。のち、鯵の味醂干し、沢庵、黒米入り御飯、豚汁。

夜はゼミ発表の準備など。少しずつとは言え着実に認知症が進んでいるので、なかなか論文の主旨が追えない。


2016/02/23

春遠からじ

夕方から発表会的なものに参加したので、普段よりも遅い帰宅。春の気配は遠いまだ真冬の気候だが、オフィスや通勤電車の様子では、どうやら花粉症の季節は訪れつつあるようだ。

帰宅して、今から風呂。湯船で読む本を選んで(池田弥三郎の「私の食物誌」にしよう)、おからに酢をかけて、風呂場に行く。

2016/02/22

やどりぎ

往きの車中の谷崎源氏は「早蕨」を終えて「寄生」の帖に入った。源氏物語の登場人物は何かにつけては、浮世の無常とか、隠居したいとか、出家したいとか思うので、私にぴったりだ。とは言え、彼等がそう言いながら、したい放題なのとは対照的に、私の贅沢と言ったらおからと安酒で晩酌することが全てなので、私の方が悟りに近いはずだ。それとも、この世の栄華を極めた上でなお、この世の無常に思いを馳せるのが悟りというものなのだろうか。

帰りの車中の読書は「ベウラの頂」(R.ヒル著/秋津知子訳/ハヤカワ・ミステリ 1690)。夜になって冷たい雨になった。少し濡れて帰宅。風呂に入って冷えた身体を温めて、さらに、夕食は餃子鍋。あたたまる。

2016/02/21

「密輸」

読書と一週間分の家事の一日。読書は「密輸」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ文庫)、「怒りについて 他二篇」(セネカ著/兼利琢也訳/岩波文庫)。

少し前に思い立ち、本や雑誌を少しずつ処分し続けている。その減少の仕方はおおよそ線型なはずだが、なかなか減っている気がしない。しかし今日になって、「おや、いつの間にか随分と減ったな」と感じた。感じ方の方は非線型なのだろう。

「密輸」読了。いつもほど高潔な主人公像ではないし、全体に地味ではあるのだが、うまくまとまった佳作で、特にミステリとして出来がいい。伏線が巧妙に張られているし、EC 法規下でヨーロッパからイギリスに「密輸」されたものは何なのか、という謎の設定が独創的で、答にも意外性がある。

2016/02/20

ランダムネス

いつも通り 6 時前には目が覚めた。老人は早起き。ヨーグルト、パンとチーズ、珈琲の休日用簡易版の朝食。朝風呂の湯船で読書。なんとなく「まぐれ」(N.N.タレブ著/望月衛訳/ダイヤモンド社)を読み返してみる。たまに、ほとんど全ての出来事の要因は偶然に過ぎないし、ほとんど全ての情報(らしく見えるもの)はノイズに過ぎない、という悟りを求めることは精神衛生に良い。

土曜日の昼食はお好み焼き(烏賊玉)とビール。少し昼寝をしてから、午後はゼミ発表の準備と読書。「まぐれ」の続き。

夕方再び風呂に入ってから、夕食の支度。湯豆腐。湯豆腐はいいね。のち、干しかます、おから、沢庵、えのきの味噌汁。食後に台湾茶。夜も「まぐれ」など。久しぶりに数学の勉強もしたし、充実したいい一日だったなあ。

2016/02/19

精進明け

精進明け。やはり鰹節を使っただしはうまい。往きの車中の読書は「源氏物語 巻五」(谷崎潤一郎訳/中公文庫)より「早蕨」の帖。

夕方退社。ようやく一週間が終わった。帰り道で黄色のチューリップ(ゴールデンイエロー)を買い、さらに豆腐屋で木綿豆腐と一ヶ月分のおからを仕入れて帰宅。風呂に入ってのち、朝から楽しみにしていた精進明け企画、焼き餃子でビール。焼いて飲む。ビールと焼き餃子、最高。

2016/02/18

第二精進日

今日は月に二度のお精進。味噌汁も昆布だし。弁当のおかずも高野豆腐など。通勤電車の中で、世俗の人間は魚臭くていかん、とか、肉食するものの目玉はどうもケモノに似た光を放っておる、従って心もじゃ。などと、子母澤寛に話を聞かせた偉い坊主のようなことを思ってみる。

往きの車中の読書は谷崎源氏。「総角」の帖を読み終えて、「源氏物語 巻四」(谷崎潤一郎訳/中公文庫)を読了。あと巻五を残すのみとなった。記録によれば巻四を読み始めたのは昨年の 12 月 14 日なので、およそ二ヶ月かかったことになる。谷崎源氏全五巻を読み終えるのは、次の 4 月の下旬あたりになりそうだ。

帰宅して風呂に入り、湯船で「ヨブ記」(関根正雄訳/岩波文庫)より「第一回討論」を読む。夕食の支度。いつものおからは、だしに鰹節が含まれているため、残念ながら食べられない。油揚げを焙って生姜醤油、高野豆腐、キャベツの炒めもの、海苔、しめじと油揚げの味噌汁、黒米入り御飯。私の精進日は酒を禁じていないので、ワインを少々。

夜も精進日の主旨にのっとり、心静かに「ヨブ記」を読む。

2016/02/17

昆布だし

昼間はあたたかく、学食にかき揚げ蕎麦(360円)を食べに行く足も軽やかだったのだが、帰宅時には冷たい風が吹いて、やはりまだまだ冬なのだなと思う。

明日は月に二度の精進日の一日なので、夜のうちに昆布だしを用意する。普段は味噌汁にだって、おからにだって、切干し大根にだって、鰹節などの入っただしを使っているので、特別に誂えなければならないのである。だしの他にも精進料理をいくつか作っておいて明日に備える。

今日の夕食は、おから、烏賊の一夜干しの炙りに山葵でワイン少々ののち、鯵の味醂干し、小松菜のひたし、黒米入りの御飯、油揚げと葱の味噌汁。

2016/02/16

酢とおから

急にまた冬に戻った。節気は立春とは言え、二月だものね。夕方のミーティング二つの隙間に、近所の学生食堂でカレーライスS(240 円)の夕食。

帰宅して風呂のち、おからでワイン少々の晩酌。百鬼園先生が書くには、酢が一番あう料理はおからだそうである。そして、酢が馴れるということが大事で、先生は風呂に入る前に、小皿に取り分けたおからに酢をかけておいて、湯上がりに食す。風呂にいる内に、酢とおからの肌との間に調和が成り立つのだそうだ。本当かどうか怪しいものだが、私もその真似をしている。

2016/02/15

納豆とおから

さて、また一週間の始まりである。朝の空を見上げて今日という一日が笑っていられるようにそっとお願いした。朝食はいつもの納豆定食。バイオなプロジェクトとして納豆を手作りしようと二週間がんばったのだが、残念ながら結局、既製品の方が安くて美味しい、という結論に達した。

夕方退社、帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。おからと烏賊の一夜干しの炙りでワインを少々。のち、鯵の味醂干し、沢庵、黒米入り御飯、若布スープ。

百鬼園先生が、毎日同じものを食べるのがうまいのだ、籠の鳥だって毎日同じ餌で気の毒にと思うのは人間の勝手な思い込みかも知れない、というようなことを書いていたが、毎日おからを食べていると確かにうまくなってきた。毎日、家に帰って、同じおからを食べることが楽しみになってきたのである。何だか夕方あたりから、もうすぐおからだぞ、と嬉しくなってくる。嘘じゃない。たまに夜に会食の予定でもあると、今日はおからを食べられないのかと大事なものでも逃したように悔しくなる。本当です。

2016/02/14

日曜日

昨日から急激に気温が上がった。しかし、このまま春にはならないらしい。終日、自宅で読書の他は家事あれこれ。掃除、洗濯、料理の仕込みなど。小松菜の胡麻油とポン酢の和えもの、人参と葱のおから、切干し大根の五目煮、卵焼きを作った。

身軽になろうと思って、長く懸案だった本や雑誌の整理を始めた。捨てても捨てても減った気がしないのだが、日々進めていけばいつか目に見えて進捗している時も来るだろう。

2016/02/13

そりゃァあんまり袖なかろうぜ

午前中は定例のデリバティブ研究部会自主ゼミ。S さんによる楠岡近似の話の続き。Romberg 法など外挿法との関係。

月に一回だけの贅沢をしに、夕方から歌舞伎座へ。二月大歌舞伎の夜の部を観劇。お弁当は寿司岩のばら散らし。「ひらかな盛衰記」より「源太勘當」、「籠釣瓶花街酔醒」、舞踊の「浜松風恋歌」。吉右衛門が佐野次郎左衛門、菊之助が八ツ橋の「籠釣瓶花街酔醒」が目当て。

菊之助は若手有名役者の中では一番歌舞伎らしいような気がするし、顔が高橋葉介の漫画みたいなので好きなのだが、なかなか良かった。吉右衛門も予想以上に良かった。ずっと前、確か先代の勘九郎の次郎左衛門で観たことがあるのだが、陰惨な結末まで考えると今の吉右衛門の方がこの役に向いているような。

2016/02/12

お精進

今日は私的に定めた「お精進」の日。百鬼園先生に影響されたという以外に深い理由はないが、毎月 12 日と 18 日をお精進と決めた。肉魚など動物性の食材と五葷を断ち、十善戒を心掛け、無常なる浮世を過す。朝食のあと、朝風呂で身を清めて、出勤。

夕方退社して、帰宅。おからでワインを少々。のち、高野豆腐、沢庵、黒米入り御飯、切干し大根と小松菜と揚げ麩の味噌汁。

別に大層な精進料理を作るわけでなし単に肉を断つだけだから、簡単だと思っていたのだが、やってみると難しい。何が難しいかと言うと、だしと葱だ。昆布だけだと、どうにもだしが弱い。それに、葱の類がないと色々と難しい。

2016/02/11

神保町に散歩

祝日で休みだが、いつも通り 6 時に起きて、寝台で「古楽の楽しみ」を聴く。朝にヘンデルは悪くない。休日用の簡易版朝食を済ませて、朝風呂。朝の読書は「老子」(小川環樹訳註/中公文庫)など。昼食は鯖の味醂干し、納豆、人参の糠漬、豚汁。

昼食後、天気も良いので神保町まで散歩。古本屋で R.ヒル、D.フランシスの未読本を二冊ずつと Rex Stout のペイパーバックを買って、まだ気温が高いうちに帰宅する。

夕食。いつものようにおからでワインを少々。のち、豚肉と小松菜の常夜鍋。あとは饂飩にした。


2016/02/10

税務署

いつもより早く家を出て、出社前に最寄りの税務署に行く。かなりの距離の歩きだが、「孫子」に曰く、彼レヲ知リテ己レヲ知レバ百戦シテ殆フカラズ、ぢゃ。機会ある毎に税務署には通って視察せねば。続けて曰く、彼レヲ知ラズシテ己レヲ知レバ一勝一負ス、彼レヲ知ラズ己レヲ知ラザレバ戦フ毎ニ必ラズ殆フシ、と。

夕方退社。帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。おからでワインを少々。のち、豚肉の生姜焼き、キャベツの千切り、黒米入りの御飯、切干し大根の味噌汁。


2016/02/09

「間抜けの実在に関する文献」

昼間は温かかったらしくオフィスの暖房も停止しているほどだったが、日が沈むと風が冷たい。

帰宅して夕食の支度。おからでワインを少々。のち、豚肉と小松菜の常夜鍋。あとは雑炊にした。落とし卵に散らし葱。

風呂に入って湯船で、「百鬼園随筆」(内田百閒著/福武文庫)より「間抜けの実在に関する文献」。

2016/02/08

月曜日

一時間も寝坊して七時まで寝てしまった。幸せな人の最も幸せな瞬間は寝入る時、不幸な人の最も不幸な瞬間は目覚める時、と言ったのは誰だったかなあ……と思いつつ、寝床から起き出して、老猫に水とキャットフードをやり、自分には納豆定食と弁当を用意する。

今日も色々ありまして、夕方退社。帰り道で確定申告書を入手。帰宅して風呂に入ってから、夕食の支度。おからでワインを少々。さらに烏賊の一夜干しを焙って、山葵を添える。のち、鯵の味醂干し、黒米入りの御飯、豚汁。

2016/02/07

「消されかけた男」

昨日はディック・フランシスを読んだのだが、今日はある意味で対照的なヒーロー像として「消されかけた男」(フリーマントル著/稲葉明雄訳/新潮文庫)を読む。読了。再読だが内容をすっかり忘れていて、結末に驚いた。ミステリの古典的傑作を何度でも新鮮に楽しめることは、記憶力の衰えた老人の特権かも知れない。さすがに「アクロイド殺し」や「Yの悲劇」はまだ覚えているが、それもあと数年くらいで綺麗さっぱりタブララーサ状態になるかも知れず、今から楽しみだ。

昔は凄腕だったのだが、前線勤務二十五年、今は冴えない中年諜報部員チャーリー・マフィン。新時代の組織では邪魔もの扱いで、上からは疎まれ、若者からは馬鹿にされ、常に降格やクビ寸前どころか、同僚たちの罠で殺されかける始末。そんな徹底的に冴えない窓際族の主人公が、敵も味方も全部敵という状況の中を狡猾に立ち回って、とにかく最後は生き残る。やはり傑作。名作「別れを告げに来た男」に鼻の差で次点くらいか。

ディック・フランシスの主人公のような高潔さ、「紳士たるものは」や「スポーツマンシップ」はチャーリー・マフィンとは無縁である。チャーリーはこの小説の冒頭で、罠をかいくぐって生き残るために、保険の「退路」として気の良い青年を罠にかけ、その青年は無惨に死ぬ。ディック・フランシスの主人公なら絶対にこういう真似はしない。それは卑怯だから。しかし、チャーリーの世界では卑怯よりも、愚かさこそが罪なのである。

とは言え、二つの世界それぞれの主人公は明暗と言ってもいいほど対照的なのに、読後の爽快感に共通するものがある。おそらくそれは階層の差はあれ、俗物たちに打ち勝って自分を守り抜く、という点にあるような気がする。

2016/02/06

「連闘」

8 時過ぎまで寝てしまった。いつもの休日用の簡易的な朝食。朝風呂に入って、「連闘」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ文庫)を読み始める。「侵入」の続編。毎回、設定を変えるディック・フランシスには珍しい。

昼食は土曜日の決まりで、お好み焼きとビール。午後も「連闘」の他は家事。納豆を仕込んだり、里芋を煮たり。夕食は鯖の白味醂干しを焼いて、おから、里芋の煮物、大根千切りの味噌汁。

夜の湯船で、「連闘」読了。珍しく続編を書いただけあって、設定が気に入っているのだろう。主人公はいつも通りなので、おそらくカシリア王女の造形か。「侵入」、「連闘」とも軽い作品だが、読んで良かったと思える佳作。人生に必要なものは、そして苦難の時こそ守らねばならないのは、礼儀とユーモアと自分の楽しみであるなあ。

2016/02/05

洋杖

帰宅して風呂に入り、「百鬼園随筆」(内田百閒著/福武文庫)。先生が帽子と外套を錬金術で手に入れて、さらに洋杖(ステッキ)も新しくしたいな、と思う「百鬼園新装」。そう言えば、私もそろそろステッキを使う年頃ではないかな。

湯上がりに、赤豆入りのおからでワインを少々。やれやれ今週も何とか週末に辿り着いた。今週の労苦は今週で足れり、来週は来週みづからが思ひ煩はん。

2016/02/04

あげまき

往きの車中の谷崎源氏。「椎本」から「総角」へ。第四巻の最後の帖なので、読了まで一冊とちょっとということになる。どうやら通勤時間で読み終えることになりそうだ。

確認やら、相談やら、対処やら、しているうちに夕方。何故か、今週はこんな感じの日が多い。

帰りの車中の読書は「ベウラの頂」(R.ヒル著/秋津知子訳/ハヤカワ・ミステリ 1690)。久しぶりにレジナルド・ヒル。ちょっとしたブロックのような(文字通りの)重厚さに閉口してきたのだが、こうなれば意地で。私がレジナルド・ヒルのダルジール・シリーズを通勤電車で読破するのが先か、隠居するのが先か……流石に隠居の方が先だろう。ちなみに、残っているのは初期の作品二作と「ベウラの頂」以降の八冊を合わせて十冊。

2016/02/03

肴は焙った烏賊でいい

珍しく南北線が事故で不通、三田線にも影響を及ぼしてダイヤ乱れ。いつもより三十分ほど遅く出勤。今日はミーティングなどの予定がないので、後回しにしていた Todo をあれこれ片付ける。

帰宅して風呂。湯船の読書は「百鬼園随筆」(内田百閒著/福武文庫)。湯上がりにいつものおからと、焙った烏賊に山葵でワインを少し。のち、鯵の味醂干し、豚汁、黒米入りの御飯。

2016/02/02

「出世をしない秘訣」

今日も何だか、あれこれ、次々、雑用を片付けていたら過ぎていた。こういうことではいかん、と反省。

帰宅して、おからと焙った烏賊でワインを一杯だけ。のち、豚肉の重ね焼きとキャベツの炒めもの、里芋と葱の味噌汁。

風呂に入ってから、夜は「出世をしない秘訣」(J-P.ラクロワ著/椎名其二訳/こぶし書房)を読んだり。アンリ・モニエの挿絵入りの気楽な本で、題名通り、出世しないためにはどうすればよいか、ユーモアをこめて皮肉な筆致で書いた面白本に過ぎない。しかし、この翻訳本は数奇な運命とでも言うべきか、まずは翻訳原稿がかの「理論社」に持ち込まれた経緯から、破産前、破産後の「理論社」創業者の長々しい前書きがついていたり、この新装版は革マル派系の出版社から出ていたり、スパイシィなフレイバーがしないでもないところが、これまた味わいか。

2016/02/01

鯵の味醂干し

月曜日は低調なのだが、何だか色々することがあって、ばたばたしている内に夕方になった。

帰宅して、まず風呂。湯船で「百鬼園随筆」(内田百閒著/福武文庫)を読む。湯上がりに、おからで熱燗を五勺ほど。さらに、烏賊の足を焙って肴にする。実を言うと、私は烏賊があまり好きではないのだが、烏賊の一夜干しを何杯ももらったので、冷凍しておいてちょこちょこと酒の肴にする作戦なのである。食べ始めてみると悪くない。

その間に御飯を炊いて、鯵の味醂干し、沢庵、豚汁。寒い日には豚汁だなあ。それに鯵の味醂干しがうまい。半世紀近くも生きていると、美味しい、ということが、懐しい、ということとほとんど同じになってくるのだなあ、と思う。私が子供の頃にはしばしば、味醂に漬けた鯵の開きがベランダなどに干してあったものである。