大晦日に和歌山の実家に帰って、年越し蕎麦。一夜明けて元旦にお屠蘇と御節と雑煮を食べ、早い昼食に海苔巻、稲荷寿司、茶碗蒸しを食べて、実家を出る。夕方、小石川に着。
短かい帰省の間に、「エマ」(オースティン著/阿部知二訳/中公文庫)を読了。ちょっと好きになれそうにないタイプの主人公像と、微妙に意地悪で皮肉な描写がいい。BBC Radio4 の "In Our Time" の "Emma" の回で話題になっていた、「スミス嬢?」のくだりや、「サリーはイングランドの庭園ですものね」など、なるほどこのことかと楽しめた。どちらかと言えば「高慢と偏見」の方が、小説として締まっている感じがして好みだが、これも傑作。
他に「顎十郎捕物帳」(久生十蘭著/朝日文芸文庫)。十蘭はどれもいいが、顎十郎は何度読み返してもいい。凝りに凝り抜いた感じと同時に、とぼけた風情もあって、十蘭の短編小説の中でも独特の味わいがある。