今日は一日、アパートの狭い住居より一歩も出ず、 家事と昼寝と読書で静かに暮らす。 やや手間のかかる料理として、 鯖の棒寿司を再び巻き、大豆を煮て五目豆を作った。 鯖鮨は前回よりかなり進歩したような。 五目豆は何かを入れ忘れて四目豆になっている気がするのだが、 大豆も入れて「五目」ということにしておく。
どこか涼しいところで毎日こういう暮らしをしたいものだが、 平凡なサラリーマンに楽隠居の夢は蜃気楼のように遠い。
「食道楽 (上・下)」(村井弦斎著/岩波文庫)
が面白い。
これが明治時代の新聞の連載記事だということも、
書籍化されて当時の大ベストセラーになった、
ということも知っていたのだが、
お恥ずかしながら今まで未読で、
これが小説だとは知らなかった。
新聞連載なので一章が一日分だから文庫で 3 ページ程度と大層短く、
毎回、ほとんど強引なくらい無理矢理に食や料理に関する話題を盛り込みながら、
分かり易い物語が展開されてゆく。
私が今読んでいるところでは、 人は良いのだが大食いだけが珠に傷の大原満(どうやら主人公)が、 友人の妹で料理上手のお登和(おそらくヒロイン)を妻に迎えようと奮闘中。 友人たちの熱心な協力でとんとん拍子にまとまりそうだが、 これから田舎の親戚たちの承諾を得なければならない、 ところが向こうは向こうで嫁の候補を用意しているようだ、 と怪しげな雲行き。