「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2016/04/29

連休初日

いつもの時間に起床。休日用の簡易版の朝食。いつものやうに "Wheelock's Latin" でラテン語の勉強をし、数独を一題解く。風呂に入つて、湯船で「スピノザの世界」(上野修著/講談社現代新書)を読み、午前中はその続き。スピノザは趣味に合ふのか、すいすい頭に入つて来る。単に連休始まりで高揚してゐるだけかも知れないが。

昼食は蕪とちりめんじやこのアーリオオーリオ。少し昼寝をしてから、午後は原稿書き。こちらもすらすらと捗る。休みの日は仕事が進んでいい。

夕方になつて風呂に入り、湯船で「麻雀放浪記 3激闘篇」(阿佐田哲也著/文春文庫)を読む。夕食の支度。冷奴(葱、鰹節)、茹で蚕豆、ひらまさの刺身で冷酒を五勺。のち、御飯と小松菜の味噌汁。夜も「麻雀放浪記」など。

2016/04/28

一日早い週末

明日金曜日が祝日のため、一日早い週末。何とか今週もサヴァイヴして、週末に辿り着いた。

帰宅して風呂に入つてから、冷奴でビール。普段は土曜日の昼にしかビールを飲まないことにしてゐるのだが、ゴールデンウィーク前だし、今週は色々忙しかつたから許されるだらう。のち、大根おろし、鯵の開き、小松菜の味噌汁、御飯。

ゴールデンウィークは全くカレンダー通りに休んで出社するが、概ね、依頼された原稿や AMS review を書くことと、スピノザと麻雀放浪記で過す予定。

2016/04/27

担々麺

水曜日は弁当作りを休むので、昼は外に食べに出かける。毎週毎週、学食のかき揚げ蕎麦かカレーライスSと言ふのも芸がないので、少し歩いて担々麺屋まで。汁なし麻辣担々麺と水餃子。

いつものやうに夕方退社。帰宅して風呂に入つてから夕食の支度。冷奴、鰹のたたき、「中華飲酒詩選」(青木正児著/東洋文庫)で、冷酒を五勺。のち、葱の味噌汁、御飯。

2016/04/26

かき揚げ蕎麦

もうすぐゴールデンウィークだと思ふと、あの仕事もこの仕事も静かな連休にまとめてしようか、と思つてしまつて、むしろ仕事がたまつて行くやうな。毎日が休みならもつと仕事ができるのになあ、残念だ。

今日は夕方以降に社内の勉強会みたいなものがあつたので、夕食はその前に学生食堂のかき揚げ蕎麦。

帰宅して、風呂に入り湯船で「スピノザの世界 神あるいは自然」(上野修著/講談社現代新書)を読む。

2016/04/25

スピノザ

また一週間の始まり。でも今週は平日が四日間なので少し気楽。

夕方退社。帰り道でオランダ菊(シルキーガール)を買つて帰宅。また AMS から math. review の依頼が届いてゐた。メイルでも郵送でも次々に依頼が来るのはカモ、いや、熱心なコントリビュータだと思はれてゐるのかも知れない……風呂に入つてから夕食の支度。小松菜と豚肉の常夜鍋。のち、饂飩。

夜は「スピノザの世界 神あるいは自然」(上野修著/講談社現代新書)を読みながら、スピノザ研究の方針などを考へる。やはりラテン語で原典研究をするところまで行きたいなあ……と夢ふくらむ。

2016/04/24

読書いろいろ

「暇と退屈の倫理学」(國分功一郎著/太田出版)、読了。ハイデガーに対する偏見が緩和されて、なかなか面白い人だつたのだな、と思へたのは収穫。他に、パスカルの「パンセ」を読み返さねば、と思つたのと、スピノザに興味が湧いたのも。なほ、「退屈」についての議論なのに、ショーペンハウアーが無視されてゐるのはちよつと不満。

「麻雀放浪記 2風雲篇」(阿佐田哲也著/文春文庫)、読了。私は関西人なのだがブウ麻雀の面白さがどうも理解できないので、全体に乗り切れなかつた。文春文庫版のあとがきは1の先崎学に続いて、2は立川談志。味のある文章である。

2016/04/22

週末

今週も色々あつたけど、兎に角、無事に週末に辿り着けて良かつた。帰宅して風呂に入つてから夕食の支度。冷奴(葱と鰹節)で冷酒を五勺。のち、いただきものの鰻の蒲焼で御飯を一膳、落とし卵の澄まし汁。

「麻雀放浪記 2風雲篇」(阿佐田哲也著/文春文庫)など。

2016/04/21

指を咬む女

往きの車中の源氏物語。「帚木」の帖より、「指を咬む嫉妬深い女」の条り。嫉妬深いことだけが玉に瑕だが妻にするには良い女だつたのにね、と言ふだけの話なのだが、嫉妬のあまり思はず男の指を咬んだ(「指一つを引き寄せてくひて侍りしを」)の一文が妙にリアルで効いてゐる。

夕方から別の部署との勉強会のやうなもので発表したりしてゐたので、帰りがいつもより随分遅くなつた。帰宅して、冷凍饂飩を茹でて、刻み葱と生卵と生醤油で、釜揚げ饂飩の夕食。そしてこれからお風呂。

湯船の読書は、「麻雀放浪記 2風雲篇」(阿佐田哲也著/文春文庫)の予定。

2016/04/20

帚木

随分とあたたかくなつた。桜は散り、八重も既に葉桜。年年歳歳花相似タリ、歳々年々人同ジカラズ。車中の読書は「源氏物語」(玉上琢彌訳注/角川ソフィア文庫)の第一巻。今、「帚木」の帖、有名な「雨夜の品定め」のところ。

帰宅して風呂に入つてから夕食の支度。蒸し鶏と胡瓜の山葵マヨネーズ和へ、冷奴(葱と鰹節)、冷酒を五勺。のち鮭茶漬。夜は DVD で「コックと泥棒、その妻と愛人」を観る。

2016/04/19

会食その六

今月は会食月間。夜は神保町の中国料理屋にて同僚の H さんと会食。一年本当にお疲れ様でした、これからもよろしくお願ひします、と言ふ。私は皮蛋が好物なので、久しぶりに食べられて良かつた。

2016/04/18

プロジェクトZ

精進日。肉食と五葷を断ち、心静かに一日を過すべく努力する。

初夏のやうな陽気の一日だつたのだが、帰りには雨に降られてしまつた。これは確かに春雨の温かさであつた。帰宅して風呂に入つてから夕食の支度。大根おろし、梅おむすび、切干し大根の味噌汁(昆布だし)。

夜は「麻雀放浪記1 青春篇」(阿佐田哲也著/文春文庫)を読んだり、DVD で映画を観たり。

2016/04/15

会食その五

今月は会食月間。夜は神保町のおでん屋にて同僚の M さんと会食。栃木のソウルフード、「しもつかれ」について語り合ふ。見かけに若干の問題はあるが、きつと美味しいに違ひないと思ふので、いつか何かの機会に差し入れてほしい、とお願ひしておく。

2016/04/14

会食その四

今月は会食月間。夜は、以前は渋谷にあつたが今は銀座に移転したロシア料理屋にて、同僚の Y さんと会食。型についてなど議論し、私は英国の "moor" の危険性を教へてさしあげた。

そろそろ夜も暖かくなつてきたやうだ。春、なわけだが夏が近いと思ふと、暑いのが苦手な私はちよつと憂鬱。

2016/04/13

酒とバッハとスノッブとボサノヴァ

朝は寝床で「古楽の楽しみ」を聴いて、起き出したらバッハの音楽を流すようにしてゐるのだが、やはりそこにはスノッブ心があるのだらう、と言ふのも、仕事から帰つて来て、やれやれだよ酒でも飲まなきややつてられないよ、と思ふやうな時には、脱力系のボサノヴァなんて聞いてしまふのであり、しかし、疲れ切つた時には「二声のインヴェンションと三声のシンフォニア」が身体と精神に沁み渡るやうだね、なんて言つてみたくもあり、その理想と現実の間にゐる凡夫のあさましさであることよ。

2016/04/12

会食その三

今月は会食月間。夜は水道橋のインド料理屋で同僚の T さんと会食。今日は生憎、私の精進日にあたつてゐたので、ヴェジタリアン向けの料理がある店で。インド料理では肉食は簡単に避けられても、五葷を遠ざけることが難しいのだが止むを得ない。私の精進は柔軟なのである。

この一年はライトニングに過ぎました、とのことであつた。次の一年も振り返つて見れば光陰矢の如しなのだらう。年年歳歳花相似タリ、歳歳年年人同ジカラズ、と吟じながら水道橋より歩いて帰る。やはりまた食べ過ぎた。今月はかなり太つてしまふかも知れないなあ。

2016/04/11

私の娘へのアドバイス

昼間は温かいけれども、朝も夜も寒かつた。特に夜は風が冷たくて、家に帰ると暖房もかけてゐないのにその暖かさに、ほつとした。

週末、色川武大の「喰いたい放題」(光文社文庫)を読んでゐて(この本も腹を抱へて笑ふほど面白い)、「九勝六敗理論」を思ひ出し、今日は「うらおもて人生録」(新潮文庫)を湯船で読んでみた。かう言ふ子供向けとも思へる本に、人生の叡智がぎつしり詰まつてゐるのは流石である。例へば、最後の方にある野良猫の兄弟の話なんて、さらつとしてゐるのだが、深い。なるほどさうかも知れないなあ、と小一時間、考へてしまふくらゐ。

この野良猫の話で何故か思ひ出したのは、確か森茉莉が「聡明な男はいつも機嫌が良いものだ」と言ふやうなことを書いてゐたことだ(無論、オーガイが念頭にあつてのことだらう)。若いお嬢さん方には、そしてもし私に娘がゐたならば、「いつも上機嫌な男を選べ」とアドバイスしたい。

2016/04/09

会食その二

猫舌と言へども小籠包は一口で食べたい。


2016/04/08

会食その一

今月は会食月間。夜は溜池山王の焼き鳥屋で同僚の K さんと会食。一年お疲れ様でした、と言ふ。やはり食べ過ぎて飲み過ぎた。もう歳も歳なので、それに夜はことさら、もつと節制しなければならないのだが。

隠居したらやはり楽器を習ふのがいいのではないか、美人の師匠に長唄でも習ふかなあ…とか言ふと、まあ日々あれこれと降つて来て、あれこれと心煩はせるのが、幸せなのではないか、本当に一人きりの自由な生活になつてしまつたらそれはそれで退屈で寂しいのではないか、などとまあ、さう言ふ話で酒を飲む。

今、帰宅して、これから風呂。

2016/04/07

雨の木曜日

朝から雨。ずつと降り続いてゐたやうだが、夕方私が帰る頃は傘をささずに済んだ。

帰宅して風呂に入つてのち夕食の支度。若布のいためもの、鶏肝と茹で卵のウスターソース漬けで赤ワインを少々。のち、キャベツと人参のサラダ、豚肉とジャガ芋だけのカレーライス。明日の弁当のために、豚肉の生姜焼きを作つてから、台湾茶で一服。

夜の読書は「反復」(キルケゴール著/桝田啓三郎訳/岩波文庫)など。

2016/04/06

「カワハギの肝」

湯船の読書は「カワハギの肝」(杉浦明平著/光文社文庫)。「一度もうまいと感じたことのない京都の料理さえ……」なんてさらりと書けるのは随分正直な人なのだな、と思ふ。勿論、杉浦明平は、うまい沢庵を食べたければ畑を二畝ほど耕して青首宮重大根の種を撒くところから、と言ふ人なので、京料理とは正反対の立場にゐるのかも知れない。本当にうまいものとはさうしたものだ、と言ふスノッブではなくて、自分の境遇ではさうするしかない、と言ふ意味なのだが、この二つの間には差があるやうであまりない。

この本に収められた「食いもの談義」の中で、吉田健一の「私の食物誌」について書いた、「この人が賞味する食物の半分は…(略)…その産地の知人から送り届けられたものであることに気がついた」の箇所に、思はず(湯船で)膝を打つた。曰く、吉田健一は生産にも製造にも一切無関心で、出来上がって奉献されたものを一二〇%享受するのであり、それは日本の芸術の伝統ではないか、と。また、それは王朝貴族のやりかたでもあり、最近の文芸評論も王朝文化に回帰してるよ、とまで書く。さすが、筋金入りの共産主義者だな、と言ふ気もするが、なかなか鋭い指摘ではある。


2016/04/05

再び桐壺

今日から往きの車中の読書は「源氏物語 付 現代語訳」(紫式部著/玉上琢彌訳注/角川ソフィア文庫)。第一巻「桐壺〜若紫」より「桐壺」の帖。文庫本の前半分に注釈付きの原文、後半分に現代語訳が別れてまとめられてゐるので、どう読むべきなのか悩ましい。取り敢へず、段落毎にまづ原文を読んで、訳註だけでは納得がいかなかつたら現代語訳も参照する、と言ふ方式で読むことに決めてみた。

帰宅して風呂に入つてから夕食の支度。えのき茸の辛煮、昆布の炒めもの、牛蒡と人参のきんぴらで冷酒を五勺。のち、茄子と蓮根の天麩羅で天麩羅蕎麦。

夜の読書は「文語訳 新約聖書 詩篇付」(岩波文庫)より「ルカ伝福音書」など。




2016/04/04

源氏物語と吉本隆明

往きの車中に少しづつ読んでゐた谷崎潤一郎訳「源氏物語」(中公文庫)を読了。昨年六月に読み始めたので、およそ十ヶ月かかつたことになる。最初はこれを読み終へるのが早いか、私が隠居するのが早いか、と思つてゐたのだが、毎日面白くすらすらと読み進めることができた。おそらく、登場人物が皆、この世は憂き世だ、出家したい、出家したい、と口癖のやうに言つてゐるところが私の人生観にぴつたりと来たのだらう。

それにしても源氏物語は素晴しい。丁度、「文語訳 新約聖書 詩篇付」(岩波文庫)を読んでゐるからでもあるが、吉本隆明が聖書について言つてゐたことを思ひ出した。記憶が薄れてゐるので曖昧だが、「千年経つても古びない言葉と言ふものはなかなか発することができなくて、さう言ふ言葉を吐く人間と言ふものも、人類はなかなか生み出すことができないのですよ」とか、「人間が言ふべきこと、人間について言ふことができることは、千年二千年前に言ひ尽されてゐるのですよ」とか、さう言つた感じのことである。

さう言へば、吉本隆明は源氏物語についての評論も書いてゐて、確か、源氏物語の現代語訳の与謝野訳、谷崎訳、円地訳の中では与謝野晶子訳が一番良い、とも言つてゐた。もちろん、谷崎訳らの方が研究が進んでゐる分、正確なのだが、源氏物語のムードと言ふか、メロディと言ふか、雰囲気を一番良く掴んでゐると言ふのである。なぜかと言ふと、与謝野晶子が子供の頃、関西の良家の娘と言ふものは、意味はきちんと分からなくても源氏物語を原文で何度も読み返すことが教養だつたものだから、深いところで源氏物語を理解してゐたのである、と、さう言ふ主旨だつたと思ふ。それに比して末世人である我々は教養のないこと甚しいのであるが、それはまた別のお話である。

閑話休題、谷崎訳を読了したので、明日から通勤の往きの車中では、「源氏物語」(玉上琢彌訳註/角川ソフィア文庫)で原文に挑戦する予定である。今度こそ、全十巻を読み終へるのが早いか、私が隠居するのが早いか、どちらであらうか。

2016/04/01

四月馬鹿

四月一日なので、朝食を食べ、弁当を作り、身支度をした後、朝一で嘘ブログを書いてから、出勤。

今日も自動の空調が冷房になるくらゐ暖い一日だつたが、夕方帰る時には花冷えと言ふものだらうか、襟巻を鞄に入れておいて良かつたと思ふ風の冷たさだつた。帰り道で焼き餃子を買つて帰宅。

風呂に入つてから夕食。出来合いの焼き餃子で黒ビール。今週も取り敢へず無事に終わつた。明日のことは思ひ煩ふな、明日は明日みづから思ひ煩はん。一日の苦労は一日にて足れり。まづは黒ビールがうまい。