「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2015/03/31

満開

春を通り越して初夏の陽気。昼休憩に神保町を歩いたら、街の桜も既に満開。

帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。焼き餃子でカヴァを少々。のち、白菜と油揚げの煮物、焼き鮭。葡萄を少し。

夜の読書は「ナンバーセンス」(K.ファング著/矢羽野薫訳/CCCメディアハウス)、「悔恨の日」(C.デクスター著/大庭忠男訳/ハヤカワ・ミステリ 1694)など。


2015/03/30

春の気分

急に温かくなった。なんと明日は夏日寸前まで気温が上がるらしい。寝不足のような、体調不良のような、単なるやる気不足のような、春らしい気分で駅までの道を歩く。

出社。段々と雑用が増えてきた。Todo 項目を粛々と処理。と言うより、どんどん人に任せているだけだが。

夕方退社。帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。板わさでスパークリングワインを一杯だけ。意外にあう。のち、白菜と油揚げの煮物、胡瓜の三杯酢漬け、時鮭、御飯。食後に葡萄を少々。

夜の読書は、「罰金」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1095)、「生き方と哲学」(鬼界彰夫著/講談社)など。

2015/03/29

日曜日

ああ良く寝た。朝食は珈琲、ヨーグルト、ピンクグレープフルーツを一つ。朝風呂に入ってから、食材の買い出しに行く。

昼食は人参の炒めものと焼き餃子でカヴァを一杯だけ。午後は昼寝をしたり、読書をしたり。夕食の支度。鶏砂肝の大蒜煮込み、胡瓜の三杯酢漬け、卵かけ御飯、三つ葉の味噌汁。食後に葡萄を少し。

夜は読書など。「哲学入門」(戸田山和久著/ちくま新書)、読了。他に「罰金」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1095)など。

2015/03/28

早起き

今日も5時前に起きてしまった。老人モード。「邦楽ジョッキー」とか聞いてしまった。朝食はヨーグルト、珈琲、ピンクグレープフルーツ一つだけ。随分と時間があるので、本を読んだり、朝風呂に入ったりしてから、身支度をして外出。

午前中は定例のデリバティブ研究部会自主ゼミ。N 証券の O さんによるプレーン・ヴァニラ型オプションの最近の話題、つづき。参加者によるゼミ後のランチはタイ料理のビュッフェ。美味しいタイ料理とビールの組合わせは鉄板なので、つい食べ過ぎてしまった。

帰宅して一時間半ほど昼寝。夕方、また風呂に入ってから夕食の支度。板わさで冷酒を五勺ののち、卵かけ御飯と焼き海苔、白菜の味噌汁。

夜は読書など。「罰金」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1095)、「哲学入門」(戸田山和久著/ちくま新書)。

2015/03/27

一人花見

早く寝過ぎて朝 5 時に目が覚めたので、寝床で小一時間ほど "Quantum Computing since Democritus" (S. Aaronson 著/ Cambridge)を読む。「古楽の楽しみ」が終わったところで起き出して、朝食。身支度をして出勤。朝から温かい。

昼には初夏のような陽気になった。夕方退社して、帰り道で焼き餃子を買い、さらに花屋で桜を買って帰宅。焼き餃子とペールエールで一人花見をしながら今週の反省。

夜は「罰金」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1095)を読んだり。

2015/03/26

マンネリズム

今日も午前中は寒かったが、午後になると日差しが春らしく、明日から一気に春めくという予報がもっともらしい。

午前、午後と短い打ち合わせとか、メイルベースでの折衝や連絡をあれこれ。夕方退社。帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。胡瓜の三杯酢漬けで冷酒を五勺ののち、アボカドとベーコンと焼き海苔の丼、大根と麩の味噌汁。

「度胸」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1055)、読了。おもしろかった。フランシスの「競馬スリラー」のシリーズを七冊読んだが、ある意味、どれも同じ内容。主人公はそれぞれ違えど、性格はほぼ同じ。プロフェッショナルで、冷静で、不屈の精神を持ち、次々に襲ってくる非常かつ非情な困難に立ち向かい、最後には切り抜ける。続けて二冊読むと混乱するくらい似通っている。しかし、面白い。偉大なるマンネリズムと言えようか。いや、違う発音でマニエリスムと呼ぶべきかも知れない。

2015/03/25

浅鍋と丼もの

今日も寒い。今週から東京の桜は開き始めたようだが、驚いているのではないか。午後は外でミーティング。オフィスに戻って、少し雑用をしてから帰る。

帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。アボカドとオニオンのサラダで白ワインを一杯だけ。のち、カツ丼と三つ葉の味噌汁。蜜柑を一つ。調理用の浅鍋を購入してから、喜んで丼ものばかり作っているのだが、なかなか上手に出来ないものだ。道具を買えばいいと言うものでもないらしい。

夜は「度胸」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1055)を読んだり。

2015/03/24

火曜日

また気温が下がって冬に戻りつつあるようだ。午後に定例のミーティング。その他の時間は事務的雑用など。昼休憩に古本屋で、ポケミス版のディック・フランシスでまだ持っていないものを一冊三百円でまとめ買いする。

夕方退社。帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。また板わさで冷酒を五勺。のち、ベーコンエッグ、厚揚げと白菜の煮物、御飯、大根の味噌汁。蜜柑を一つ。

夜は「度胸」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1055)を読んだり。

2015/03/23

Todoリスト

月曜日から Todo リストが積み上がり、粛々と一つずつ処理する一日。こういうのって何だか、すごく仕事をしている気になるのだが、おそらく勘違いだろう。リーマン予想を解決する 10 ステップとして、1 から 9 まで数えて 10 で解決する、というジョークがあるが、世の中の Todo リストの多くはこのステップ 1 から 9 で構成されているのではないか。

昼休憩に古本屋で「度胸」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1055)を買った。夕方退社。帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。板わさ、厚揚げと白菜の煮物で冷酒を一合ののち、鍋焼き饂飩(鶏肉、大根、長葱、三つ葉、卵)。蜜柑を一つ。明日の弁当用に鶏肉の照り焼きも作る。

夜は日々の演習として「文章読本」(丸谷才一著/中公文庫)から名文を筆写したり、フランシス「度胸」を読んだり。

2015/03/22

親子丼

昨夜は神田で遅くまで飲んでしまったのだが、けっこう早く目が覚めた。珈琲、ヨーグルト、蜜柑を一つ。洗濯などの家事を片付けてから朝風呂に入る。

昼食は焼きうどん、白ワインを一杯だけ。午後も家事と読書など。「ナンバーセンス」(K.ファング著/CCCメディアハウス)。合間に珈琲とシナモンロール。

夕食は伊丹流の親子丼。丼もの用の浅鍋を購入したので、早速使ってみたかったという理由。

2015/03/21

春分

ああ良く寝た。朝食は軽くヨーグルト、蜜柑、珈琲のみ。午前中は風呂に入ってから、一週間のレヴューをしたり、本を読んだり。昼食はキャベツとアンチョビのスパゲティーニ。午後もカーペットに猫と並んでごろごろして過す。

夕方から神田に出る。N 研究所の O さんや、私と同門の H さん、S 君と会食。この週末から明治大学で数学会の春季大会が開かれているので、その界隈の数学者密度が異常に高い。

2015/03/20

カンバーバッチ

今日も温かい一日。

昼休憩に一時間ほどオフィスを抜け出して、本郷三丁目へ。改修された安田講堂の内部を見学できる機会があったので。良く考えたら、今まで一度も講堂としての安田講堂に入ったことがなかったような。

夜は日比谷で映画「イミテーション・ゲーム」を見る。アラン・チューリングのエニグマ暗号との闘いを主に描く作品。チューリング役のカンバーバッチがなかなかの名演。ひょっとしたらチューリングってこんな感じだったのかも、と思った。ただの変な名前で変な顔の俳優じゃなかったのだな。

2015/03/19

オッズ・アゲインスト

気温は低くないが、雨で地面が濡れているせいか、ひんやりとする朝。

午前、午後とミーティング一つずつ。合間に雑用をして夕方退社。帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。厚揚げ、春菊、卵入りの鍋焼うどん。白ワインを一杯だけ。蜜柑を一つ。

夜は「大穴」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1010)を読む。読了。元騎手の片腕の探偵、シッド・ハレー誕生の巻。確か、D.R.クーンツが娯楽小説の書き方として、まずヒーローを苦境に陥れて、次にさらなる苦境に陥れよ、というようなコツを紹介していたが、確かに「大穴」でのシッド・ハレーには苦難に継ぐ苦難が与えられる。まさに王道と言えよう。実際、傑作だった。

ところで、その意味では原題の "Odds Against" を「大穴」と訳したのは、ちょっと悩ましかったのでは、と思ったり。

2015/03/18

社長業

今日も温かい一日。春が来たのだろうか。

いつも通りに出社。昨日、弊社にとって大きな節目となる決定があり、今日、某産業新聞の小さなスペースにそのニュースが出ていた。ううむ、自分の名前が新聞に出るようなことがあるとは……人生何が起こるか分からないものだ。それはさておき、これから春に向けて、あれこれと忙しくなりそうだ。私は社長に向いているのだろうか、いやそもそも、社長の仕事って何なのだろう、などと思いつつ主に雑用をこなして、夕方退社。

帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。出来合いの鰻の蒲焼で、鰻丼。のらぼう菜のひたし、大根の千切りと麩の味噌汁。蜜柑を一つ。

夜は「大穴」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1010)を読んだり。

2015/03/17

春の陽気

朝から温かかかったが、気温がぐんぐん上がり、昼間は春どころか初夏くらいの陽気。

今日は珍しくスーツを着ていたので疲れた。特に革靴が。夕方オフィスに戻って来て、関連各所にご挨拶メイルを書いてから退社。

帰宅して夕食の支度。鶏と厚揚げと白菜と春菊の水炊き。白ワインを少々。蜜柑を一つ。夜は「大穴」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1010)を読んだり。ディック・フランシスはいいねえ。

2015/03/16

厚揚げ

月曜日。三月も後半に入った。天気予報によれば今週はかなり温かくなるようだ。春は遠からじ。

夕方退社。小雨が降り出した。帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。厚揚げを網で焼いて生姜醤油。冷酒を五勺。厚揚げうまい。私の食生活においてはひょっとしたら、米よりも大豆の方が重要かも知れない。のち、豚肉生姜焼き、キャベツの千切り、御飯、大根の千切りの味噌汁。蜜柑を一つ。

夜は「大穴」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1010)を読んだり。

2015/03/15

猫の手

相変わらず何の予定もない、良い日曜日。猫の手を借りて、そのクロースアップ写真を撮ってみたりするくらい暇。「わが王国は霊柩車」(C.ライス著/中村能三訳/ハヤカワ・ミステリ 880)、読了。次は「大穴」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1010)を読み始める。

一日、猫と寝転がってミステリを読んで過し、夕食はチリの白ワインと鶏鍋。あとは雑炊。うまい。

2015/03/14

数学の日とマカロン

ああ良く寝た。珈琲と林檎一つだけの簡単な朝食ののち、午前中は定例のデリバティブ研究部会自主ゼミ。参加メンバとランチのあと、神保町へ。オフィスで時間をつぶしてから、早い時間の神田の蕎麦屋にて Y さんと会食。Y さんは四月からワシントンDCに移られるので、その壮行会。

今日 3 月 14 日「数学の日」は弊社の創立記念日なので、オフィスにマカロンを買って行った。そもそも「数学の日」を選んで設立日にしたのだが、今日が「数学の日」なのは円周率 3.14... にちなんでのことらしい。じゃあ、パイでも買うかと思ったものの、切り分けるのが難しそうなので、同じく丸いお菓子のマカロンで。

2015/03/13

サンタンダー

ようやく週末に辿り着いた。色々と心配なことはあるが、明日のことは明日自身が思い患うであろう。

夕方退社して、徒歩で帰る。帰り道でロブションのヱビスと日本酒(「開運」の純米)を買い、サンタンダーという名前のピンク色のチューリップを買って、帰宅。風呂に入ってから、夕食の支度。チューリップを愛でながら、蒸しブロッコリと茹で卵のサラダ、チキンカレー、ビール。いい夜である。

夜は「四人の署名」(A.C.ドイル著/深町眞理子訳/創元推理文庫)を読んだり。

2015/03/12

チキンカツ

今日も良い天気。温かくなったり寒くなったり、花粉が襲ってきたりで、オフィスのメンバも体調を崩しがちのようだ。

夕方退社。帰り道の肉屋でチキンカツを買って帰る。風呂に入ってから夕食の支度。チキンカツと長葱と卵でカツ丼。他にノラボウ菜のひたし、大根と麩の味噌汁。食後に林檎を一つ。チキンカツの残りはソースをかけておいて、明日のお弁当のおかずにするんだ……という思いが今日の小さな幸せ。

夜は、「四人の署名」(A.C.ドイル著/深町眞理子訳/創元推理文庫)を読んだり。

2015/03/11

のらぼう菜

良い天気。気温が低くて空気がぱりっとしている。

水曜日なので昼食は近くの中国料理屋で麻婆丼。夕方退社。帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。のらぼう菜の茎の塩茹で辛子マヨネーズ和え、白ワインを一杯だけ。高野豆腐と卵の煮物、焼き海苔、御飯。

昨夜、届いた野菜の中に「のらぼう菜」があった。背が高くて茎の部分の長い菜っ葉で、苦みや癖がなく、特に茎の部分が美味しいものらしい。「らしい」と言うのは、実は今朝、味噌汁の実にするまで食べたことがなかったからだが、確かに他の菜の類にはない柔らかく優しい味わいだった。

2015/03/10

野菜

寒いような、温かいような。冬のような、春のような。

一日、オフィスで粛々とお仕事。昼休憩に、古本屋で「シャーロック・ホームズ ガス燈に浮かぶその生涯」(W.S.ベアリング=グールド著/小林司・東山あかね訳/河出文庫)などを買った。

夕方退社。自宅で配達待ち。親切な方がまた立派な野菜を送ってくれると言うので。到着次第ただちに、それぞれ正しい方法で冷蔵庫や冷暗所に保存する。

2015/03/09

ディック・フランシスと競馬

月曜日。さあて、税金を払うために今週もばりばり働くかな。午後からは雨。

夕方退社。帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。常夜鍋。あとは饂飩にした。白ワインを一杯だけ。

夜は「煙幕」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1200)を読んだり。フランシスは非常に力量のあるエンタテイメント作家だと思うのだが、それだけに、なぜそこまで競馬にこだわるのか不思議だ。手を変え品を変え、あれこれ異なる設定を考えてくるわりに、主人公のキャラクターはいつも同じだし(「忍耐強く、力強く、時間を厳守し、プロフェッショナルで、清教徒的」)、兎に角、競馬をからめてくる。時に、無理矢理なくらい。

もちろん、超一流の騎手だったフランシスが、誰よりも競馬業界に詳しいことは分かっているが、馬抜きでも面白いものが書けたはずだし、もっと良いものが書けたんじゃないか、という気がしてならない。

2015/03/08

「生野」のイソベ

いつものことだが、良く寝た。今日も朝から雨が降り、寒い一日。春はまだ遠そうだ。

珈琲とヨーグルトだけの簡単な朝食。洗濯をしてから風呂に入り、湯船で「汽車旅の酒」(吉田健一著/中公文庫)を読む。昔の食堂車の料理があんなに旨かったのは安い調味料をふんだんに使っていたからだろう、あれは西洋風の砂糖醤油の味だ、なんてところに、吉田健一は正直だなと思う。食堂車のハムエッグスに辛子やソースをたっぷりかけると、「不思議に正直な味がして、実にいい。」なんて文章にぐっとくる。

昼食まで玉葱のピクルスで白ワインを一杯だけ飲みながら、「血統」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1073)を読む。ブロッコリのオムレツなども作って食べ、自然に昼食に移行し、最後はイソベで終える。イソベは大阪の「生野」という鰻屋のメニューとして小島政二郎の「食いしん坊」(河出文庫)に具体的な描写が出ている。鰻の白焼のお茶漬けのようなもので、おそらく「イソベ」という名前はもみ海苔から来たのだろう。御飯と鰻の白焼のざく切りを交互に丼に盛り、もみ海苔をして真ん中に山葵を乗せ、その上から澄まし汁をかけていただく、という料理である。ただし、「生野」という店もイソベというメニューも現存しているのかどうか知らない。

このイソベを小島政二郎はあまり誉めていないが、読むからに酒を飲んだあとにあっさりと食べるのに良さそうである。鰻の白焼が手に入ったので作ってみたら、味は全く予想通りで、大変けっこうだった。小島政二郎は大の甘党で酒は飲めなかったらしいので、この手のものに点数が辛いのかも知れない。

夕食は牡蠣と春菊の味噌焼き、御飯と若布の澄まし汁。D.フランシス「血統」、読了。

2015/03/07

土屋流、牡蠣と春菊の鍋

いつもの如く、何の予定もない週末。ヨーグルトと珈琲だけの簡単な朝食。朝風呂に入って、「汽車旅の酒」(吉田健一著/中公文庫)を読む。酒と毛抜き鮨を持って八高線に揺られてのんびり「何もない町」こと児玉町に行く話にうっとり。この毛抜き鮨はやはり神田小川町のあの鮨屋のものなのだろうなあ。

湯からあがって早めの昼食。板わさとだし巻きで冷酒を五勺。昼間から飲む酒はのどかでうまい。人間が上等になった気がする。のち、焼き鮭、御飯、油揚げと長葱の味噌汁。午後は食材の買い出しや読書など。「血統」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ・ミステリ 1073)。

夕食。実は私は牡蠣があまり好きではない。嫌いでもないが、牡蠣フライ以外は積極的には食べないという程度。しかし、「おとこ料理讀本」(矢吹申彦著/平凡社)に、「土手鍋の百倍はうまい」と書かれている簡単な牡蠣と春菊の鍋が気になって、試してみた。レシピというほどのこともない単純な料理で、土鍋に張った濃いめの昆布だしを酒、醤油、塩で淡く味つけし、牡蠣と春菊を煮て食べる。けして煮過ぎないでしゃぶしゃぶくらいのイメージで煮食いするのと、一味唐辛子を振って食べるのがミソ。お供はソーヴィニョン・ブラン。

この鍋料理は矢吹氏がコピーライターの土屋耕一氏から直伝されたものと言う。そして、確かにうまい。私でもこれだから、牡蠣好きの方には素晴しい料理かも知れない。お試しあれ。ちなみに、この鍋のあとの雑炊は滅茶苦茶うまかった。

2015/03/06

三月大歌舞伎

冬に逆戻り。寒い一日。午前午後とミーティング続き。やれやれ(私にしては)多忙な一週間が過ぎた……と思い、早めに退社して歌舞伎座へ。「三月大歌舞伎」夜の部を観劇。

今月は昼の部と夜の部を通して「菅原伝授手習鑑」をかけている。夜の部は第四幕から六幕で「車引」、「賀の祝」、「寺小屋」。梅王丸、松王丸、桜王丸をそれぞれ順に、愛之助、染五郎、菊之助、など。

昼の部は仁左衛門の菅丞相が見物だが、一月に二回も歌舞伎観劇は贅沢過ぎるのではないかなあ、と悩み中。

2015/03/05

冬再び

また冬に戻った。コートを来て家を出る。

夕方、外でミーティング。参加者の半分くらいがマスクや専用眼鏡をしていて、どうやら花粉に悩まされているようだった。終了後そのまま帰宅。遅くなったので料理をせずにメインは缶入りのカレー。他に、ポテトサラダ、赤ワインを一杯だけ、パイナップル少々。

風呂に入って、湯船で「汽車旅の酒」(吉田健一著/中公文庫)を読む。ふらっとどこかに旅に出たいものだなあ。気が付いて見たら汽車に乗っていたという風で。

2015/03/04

春の陽気

朝方に随分雨が降っていたようだ。朝は寒いくらいだったが、ぐんぐんと気温が上がり、昼間はまさに春。調子が悪いのは確かなのだが、寒暖差のせいなのか、体調のせいなのか、花粉のせいなのか、単に眠いのか、良く分からない。

水曜日なのでお弁当作りは休み。昼食は神保町の洋食屋にて。

夕方退社。帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。油揚げに葱を詰めて網で焼き、冷酒を一合ほど。長葱と蒲鉾入りの玉子丼。パイナップルを少々。

2015/03/03

汽車旅

また冬に戻って寒い一日。ミーティングが朝、昼、夕方と続き、やや疲労。

昼休みの散歩の途中に新刊書店で「汽車旅の酒」(吉田健一著/中公文庫)を買う。「旅行をする時は、気が付いて見たら汽車に乗っていたという風でありたいものである」。まったくそういう風でありたいものであるなあ……(遠い目)。

帰宅して夕食の支度。また板わさで冷酒を五勺。塩鮭、焼き海苔、卵かけ御飯、油揚げと長葱の味噌汁。食後にパイナップルを少々。夜は「恐怖の谷」(A.C.ドイル著/阿部知二訳/創元推理文庫)を読んだり。

2015/03/02

池田弥三郎「私の食物誌」

寝坊して、月曜日はやはり低調だなあと思いつつ、寝室から居間へ。カサブランカは随分と持ってくれたが、そろそろ終了の気配。慌てて朝食を澄ませ、お弁当を支度して、出勤。また春の陽気でコートがいらないくらい。冬と春を行ったり来たりの上に、花粉症のシーズンも開始で、オフィスでは体調を崩している人が多い。

昼休みに、古本屋で「私の食物誌」(池田弥三郎著/新潮文庫)を二百円で買った。一年三百六十五日の一日毎に、暮らしの中の食べ物の話を四季の風物や人々との交遊の回想を交え、一ページずつ書いたもの。なかなか味のある本である。しかし、こういうおっとりとした本は時世にあわないのだろう、とうに品切れして古本屋でしか手に入らない。

ちなみに今日の三月二日は「ひしもち」。「節句」は「節供」と書くのが正しい、という柳田国男の説から始まって、三月三日や上巳の祓えとひしもちとの関係はよく分からないが、山中共古によれば儀式の本家の小笠原家の紋によったものかも知れない、などということが書かれている。また、民俗学では鏡餅もちまきも菱餅も全て、心臓を象ったものとされているそうである。

帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。板わさで冷酒を五勺ほど飲みつつ、一日の反省。板わさはいいね。のち、塩鮭を焼いて、御飯、油揚げと葱の味噌汁の一汁一菜。食後にパイナップルを少し。

2015/03/01

蛤と深川丼

7 時起床。昨日の食事が荒れていたので、今日の朝食はヨーグルトと珈琲のみ。昼食はポテトサラダと、帆立のカレーライス、白ワインを一杯だけ。

冷たい雨の中、外出したくはなかったのだが、冷蔵庫が空なのでしようがない。食材の買い出しに近くのスーパーに行く。雛祭りの御澄まし用にびっくりするくらい高価な蛤がずらりと並んでいるのを横目に、浅蜊の剥き身を少量買う。

夕食は板わさで冷酒を五勺ののち、深川丼(浅蜊と長葱)。深川丼とは貝類と葱の汁かけ御飯である。最近は浅蜊が普通だと思うが、元来は青柳を使ったもので、下層労働者向けのファーストフードだったそうだ。また、確か池波正太郎が蛤の深川丼について書いていたはずだ、と思い書架を調べてみた。

池波氏が書くには、昔は陰暦三月三日の雛節句から仲秋の八月十五夜まで蛤を口にせぬのがならわしだったため、ゆえに、蛤には逝く春を惜しむ風情がある、とのことである。昔は蛤は庶民の食べ物で、池波氏が子供の頃は、蛤の炊き込み御飯や深川丼を良く食べさせられたそうだ。しかし、昭和五十五年の文章に既に、「いまの蛤は、何しろ高い。とても庶民の口には入らぬ。(……中略……)それほどに、蛤らしい蛤が滅びつつあるわけだろう。」とお書きになっている。蛤の深川丼はうまいだろうなあ。