いつものように昼休みに神保町を散歩していると、 某古書店の前の道路に出された本棚の一番下、 地面のあたりから私を呼ぶ声が。 レオナルド・ダ・ヴィンチの「マドリード手稿」だ。 もちろんオリジナルではなく、40年ほど前に岩波書店が出したもので、 ファクシミリが二巻、解説が一巻、手稿の文字部分の翻訳が二巻で、全五巻のセット。 ちなみに、今までに発見されているダ・ヴィンチの手稿のオリジナルは、 唯一の例外を除いて美術館や図書館に人類の宝として保存されている (例外とは、ビル・ゲイツ三世が私有する「レスター手稿」)。
しばらく、古書店の前で悩む。 五巻そろいで一万円。安い。確か、出版時は十万円くらいだったはずだ。 しかし、函が欠けているし、一冊は背が少し壊れている。 ビニールでパックされていて、中身は見られないが、 おそらく状態が良くないのだろう。 うーん、これは安いのか、高いのか。 かなり迷ったのだが、一応は見送って、社に戻った。 すると、それを知った弊社の CEO が、 やはり買っておきたいと言うので、再度、古書店に行く。
やや「黒魔術の手帖」的なファッションをした店番の女の子に、 ビニールを剥して中身を確認させてくれ、と要求し、 全巻を一通りぱらぱらと眺めて、CEO 勘定で購入。 そんなわけで、今弊社に来ると「マドリード手稿」が見られますよ。