「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2013/07/31

暗唱文

朝食のあと、ラテン語の動詞活用と引用文の暗唱カード二枚を作って、出勤。 一日に暗唱カード二枚が老人の限界かなあ、と。 「独習者のための楽しく学ぶラテン語」(小林標著/大学書林) の第 2 課より、 動詞 "sum" の現在形と未完了過去形の変化表と、「始めに言葉ありき」うんぬんの短文。 宗教はあまり好きではないのだが、 初学者向けの暗唱文にはウルガータ(カトリック公式ラテン語訳聖書)からの引用が多い。 やはり、極端に単純で、かつ、意味深い文章と言うと、そうなってしまうのはやむをえないのだろう。

午前、午後とお仕事。 水曜日はお弁当なしなので、昼食は近所でスープカレー。 昼食の帰りに神保町交差点を通ると、 F屋スーパーのあたりに何か、不穏なムードが漂っている。 近寄ってみると、弁護士名義で閉店のお報せが貼ってあり、 文章の中に「破産」という言葉が見える。 今日まで改装のための在庫一掃セールだったはずだが……。

夕方退社。すると、交差点の向こうに不穏な動きが。 どうやら近くのS大学の職員たちが大学当局の不当な扱いについて訴えているようだ。 どうも今日は街角の不景気なムードが目に入る一日だなあ。 たまたまだろうとは思うが。

帰宅。気温はそれほどではないとは言え、歩いて帰るには大変な蒸し暑さだった。 水分補給をして、一息ついてからお風呂。 湯上がりに、鶏砂肝の大蒜オイル煮で、冷たい贋ビールを飲みつつ、 ようやく生きた心地がする。 さらに、いただきもののオリーヴの実とチーズで贋ビールを終えたあと、落ち着いてから夕食の支度。 塩鮭を焼き、他に胡瓜もみ(糸若布、ちりめんじゃこ)、大和芋のとろろかけ御飯(浅葱)、オクラの味噌汁。 ついでに、明日以降のために山形名物の「だし」なるものを作ってみる。 本物を見たことがないのだが、大体こういうものだと聞いているので、 胡瓜、紐茄子、茗荷、オクラ、生姜を適当に細かく刻み醤油をかけて、適当に混ぜ、冷蔵庫に保存。

2013/07/30

薬味鮨

昨年からだろうか、うちの猫が、夏になると横に寝転がったまま水を飲む技を身につけたのだが、 これは日本の夏が過酷になっているせいなのか、 猫が賢くなっているのか、または歳のせいで堕落してきているのか。 ちなみに、キャットフードの方は普通に箱型に座って食べている。 そんな年老いた堕落猫のキャットフード代を稼ぐために、今日も出勤。

昼休憩に新刊書店で 「独習者のための楽しく学ぶラテン語」(小林標著/大学書林) を買った。 「はじめてのラテン語」(大西英文著/講談社現代新書)で、 大体ラテン語文法の雰囲気は分かったので、 いよいよ教科書できちんと勉強しようかと。

夕方退社して、食材など買い求めて帰宅。 お風呂上がりに、鶏砂肝の大蒜オイル煮を肴に、冷えた贋ビールを飲んで、庶民のささやかな口福を満喫。 その間に御飯も炊けたので、支度にかかり、 メインは薬味だけの貧乏ちらし寿司(茗荷、生姜、胡麻、大葉、ちりめんじゃこ)と、大和芋のとろろ汁(浅葱)。 歳のせいか、薬味の類が好きになってきて、 薬味だけのちらしも結構ご馳走だし、茗荷の握りとか乙なもんだな、と思う。 山葵巻きなんてのも悪くない。 食後にオレンジを少々。

夜は、ラテン語の勉強をしたり、 "And be a villain" (R.Stout 著/ Bantam Books) の続きを読んだり。

2013/07/29

ポールとスタウト

どうしてこんなに眠れるのかなあ…… 月曜日は夏休み。 珈琲、ヨーグルト、オレンジ一つの軽い朝食。 朝風呂に入って、湯船の読書は 「不思議なミッキー・フィン」(E.ポール著/今本渉訳/河出書房新社)。 午前中は読書の続きと、お風呂そうじなどの家事。

米を炊いて、昼食の支度。鰻の蒲焼の残りと大和芋で鰻ざくとろろ御飯、 胡瓜の糠漬、切干し大根と浅葱の味噌汁。 少し食休みをしてから、午後も読書などして、のんびり過す。 そうこうしているうちに、夕方。夕餉の支度。 また鰻の残りを使って鰻巻き、鶏砂肝の大蒜炒め、自家製の麺つゆで素麺(浅葱と生姜)。

夜も読書など。「不思議なミッキー・フィン」、読了。 罪のないドタバタ式のユーモア小説で、細部の描写が古のパリの香りを伝えて芳しい。 吉田健一が誉めたおかげで、 日本ではエリオット・ポールの名前だけは良く知られているし、いくつか翻訳もあるが、 消えていく文化を伝える、消えていくタイプの、作家なんじゃないかなあ、という気がしないでもない。 実際、アメリカではほとんど絶版の模様。 かなりユニークな人物だったようで、 Wikipedia の "Elliot Paul" の項目も、 短いわりに味がある。

ところで、「ミッキー・フィン」の結末近くに、 「アメリカじゃあ探偵は何か知りたいとき瓶ビールをたらふく飲むって本当か?」 という台詞がある。 これは、ネロ・ウルフのことでしかありえない、と思って確認すると、 レックス・スタウトがネロ・ウルフをデヴューさせたのは 1934 年、"Fer-de-Lance"(「毒蛇」) でのことだから、「ミッキー・フィン」が出版された 1939 年に間に合う (なお、1939 年は第二次世界大戦勃発の年でもある)。 「ミッキー・フィン」の訳者あとがきによれば、 エリオット・ポールはスペイン内乱の悲惨を目にして、 自らの精神状態を保つため、強いて明るいユーモア・ミステリを書こうとしたそうで、 ミステリをほとんど読んだことがなかったポールは、 かのシェイクスピア書店から沢山のミステリ小説を借りて勉強したらしい。 それが 1938 年のことだと言うから、 その中にアメリカでヒットしていたスタウトの初期傑作群が含まれていて当然だろう。 エリオット・ポールは第二次世界大戦直前のパリで、スタウトのネロ・ウルフものを読んだ、はず。

2013/07/28

吉田健一絶賛のミステリ

ああ良く寝た。 冷たいミルクで珈琲を割って、目覚しにする。 他にヨーグルト少々だけの、軽い朝食。 洗濯などの家事をして、朝風呂に入る。 昼食の支度。平日の朝食的メニューで、 冷奴(生姜、浅葱)、たらこ、納豆(ちりめんじゃこ、浅葱)、糸若布の味噌汁、御飯。 食休みの昼寝を少々。 午後も家事あれこれの他、 「不思議なミッキー・フィン」(E.ポール著/今本渉訳/河出書房新社) を読んだり。

「不思議なミッキー・フィン」の作者エリオット・ポールは、 吉田健一のお気に入りで(無論、吉田健一はポールをポオルと書くが)、 「最後に見たパリ」(E.ポール著/吉田暁子訳/河出書房新社)を激賞して、 「荷風の『ふらんす物語』などこれに比べれば寝言に近い感じがする」とまで書いているし、 この「ミッキー・フィン」から始まるミステリ小説の連作もあちこちで誉めている。 アメリカ国籍の若きディレッタントで究極の暇人ホーマー・エヴァンズが探偵役の主人公で、 第一次世界大戦後のパリを舞台に愉快な奇人変人、芸術仲間たちと浮かれ騒ぎながら、 奇妙な事件を解決したりする、というシリーズ。

吉田健一がこんなミステリ小説を読んで、にやにやしていたのかと思うと、ちょっと楽しいが、 これらのエッセイとミステリに共通するのは、 二つの大戦の間に挟まれた時期のパリとそこに暮らす人々の生き生きとした描写であり、 吉田健一にとっては、それは失われたパリ、そして、象徴としては、失われた東京でもあり、 失われつつあった文化の最後の輝きだったのかも知れない。

夕方涼しくなった頃に買い出しに行く。でも、やはり蒸し暑い。 道路の真ん中に近所の子猫が猫倒し、じゃなくて、横倒しになって、 通り過がりの人々にお腹を撫でられるままになっていた。 猫もこの暑さじゃ、やってられないだろう。 冷たいマタタビビールか何かをきゅーっ、とやって 「やっとれん」とか何かぼやきたいに違いない。

帰宅し頃に雨が降り出した。お風呂に入ってから、夕食の支度。 冷奴とポテトサラダで贋ビールを始め、メインは出来合いの鰻の蒲焼で鰻丼。 らっきょうの甘酢漬け。 夜も「ミッキー・フィン」など。

2013/07/27

東海道四谷怪談

昼食後しばらく昼寝ののち、身支度をし、 高橋葉介的なちょっとおどろおどろしい模様のネクタイを締めて、銀座に出かける。 シャンパーニュと食べ物を調達してから、歌舞伎座へ。

夕方から夜にかけ、歌舞伎座にて「東海道四谷怪談」を観る。 お岩を菊之助、伊右衛門を染五郎。言わずと知れた鶴屋南北の傑作、怪談の中の怪談である。 舞台の他にも、落語、小説、映画、TV ドラマにと、様々なヴァリエーションで取り上げられるので、 誰でも大まかな筋は知っているし、 歌舞伎で観たことがなくても、「髪梳き」や「戸板返し」などの場面が目に浮かぶ。 今回、菊之助はお岩と小平と与茂七の一人三役なので、 「戸板返し」の表と裏を一人で演じるし、大詰めで伊右衛門を討つ与茂七も菊之助。トリッキー。 さらに、大詰めの「蛇山庵室の場」の直前、 伊右衛門が見る一時の美しい夢である「蛍狩の場」が歌舞伎座では三十年ぶりに演じられる、 ということにも期待。 やはり、血と悪のグロテスクには、蛍狩のような儚げな美が表裏に寄り添ってこそ、 互いが際立つというものだ。

今回は桟敷席をとっていただいたので、 夏はやはり怪談だねえ、などと言いつつ、 合計四時間強を飲み食いしながらの観劇。

2013/07/26

白い料理

比較的に気温の低い日が続いていたのだが、今日は暑い。 いつもの朝食とお弁当作りのあと出勤。 午前、午後と静かにお仕事。 夕方退社。

帰宅してまずお風呂。 湯船の読書は「四谷怪談」(廣末保著/岩波新書)。 のち、夕食の支度。 豆腐と胡麻油と浅葱の白和え、ポテトサラダ、しらすと大根おろしに自家製ポン酢、糸若布の味噌汁、御飯。 作ってから気付いたが、料理が全て白い。こういう失敗もたまにある。 食後にパイナップルを少々。

そう言えば誰かから、ブルガリア料理はたいてい白く、 どの皿もかき氷みたいで食卓は真っ白だ、と聞いたことがある。 ブルガリアと言えばヨーグルトの白いイメージしか浮かばないので、 その時は「へぇ、そうなんだ。さすがブルガリア」と感心したのだが、 今、「ブルガリア料理」で画像検索してみると、 確かに彩り豊かとは言えないものの、そんなに真っ白じゃない。 からかわれたのだろうか(笑)。

2013/07/25

チェス盤の上の石二つ(解答)

昨日のパズル の解答。 不可能であることが、以下のようにパリティ(偶奇性)を用いて簡単に証明できる。

チェス盤の市松模様に注目し、二つの石が同色のマスにある場合を「偶配置」、 異なる色のマスにある場合を「奇配置」と呼ぶことにする。 異なるマスに黒石一つ、白石一つを置く方法は 64 かける 63 通りあるが、 このうち、偶配置は 64 かける 31 通り、奇配置は 64 かける 32 通りあって、後者の方が 64 通り多い。 一方、ある配置からどちらかの石を上下左右のどのマスに動かしても、 偶配置は奇配置に、奇配置は偶配置に変わることに注意せよ。 よって、この動かし方を続ける限り、 辿った配置における偶配置と奇配置の数の差は 0 か 1 にしかならない。 しかし、全ての配置では奇配置の方が 64 多いのだった。 ゆえに、全配置を一度ずつ辿ることはできない。

この問題の出典は、2001 年のモスクワ数学オリンピックだそうだ(その割にはちょっと易しめ?)。 私は Futility Closet で知った。

2013/07/24

チェス盤の上の石二つ(出題)

久しぶりにパズル。チェス盤が舞台なのは、パリティ(偶奇性)に注目しなさい、 というヒントであり、そう思うとパスタイムに丁度良いくらいの手頃な問題かと。

8x8=64 マスの普通のチェス盤の異なるマスに黒い石一つと白い石一つを置く。 ここから、どちらかの石を上下左右のマスのどれかに移動する、というステップを繰り返して石を動かして行く。 ただし、黒石と白石が同じマスに入ってはいけない。 この方法で、盤上の異なるマスに黒石一つと白石一つを置く全ての配置を一度ずつ辿ることができるだろうか。 できるならその方法を示し、できないならそれを証明せよ。 解答と出典は明日。

2013/07/23

モテる男の手料理

今日は暑くなりそう。 私が休みの日に涼しくて、出勤日に暑いのは、納得いかない。 でも逆に、私が休みの日に暑くて、出勤日に涼しいだけでは、物足りない。 つまり、猛暑に皆が働いているときに私だけが、涼しい自宅で休んでいられるのが理想だ。

いつもの朝食とお弁当作りのあと出勤。 昼休みの時間帯は猛暑。外に出るのは危険そうなのでオフィスで過す。 午後には、激しい雨。まさに豪雨が通り過ぎていった。 雨の合間を見計らって、夕方退社。

帰宅してまずお風呂に入ってから、夕食の支度。 胡瓜もみ(ちりめんじゃこ、糸若布)、鶏皮の辛子ポン酢で贋ビールを飲みつつ、 「男の手料理」(池田満寿夫著/中公文庫)を読む。 鶏皮ポン酢がうまい。ちょっと手間はかかるが、非常に安上がりな口福だ。 のち、豚肉ともやしの炒め物、オクラと茗荷の味噌汁、御飯。 食後にパイナップルを少々。

たまに池田満寿夫の「男の手料理」を読むと心が洗われる。これは名著だと思う。
御飯の上に目玉焼きをのせてウスターソースをかけて食べるとうまい、とか、 茹で卵を乱切りして醤油をかけて食べると最高、 なんて素敵なことがどんどん書いてある。 たまに手のかかるものが出てきたなと思うと、 フライパンのサイズの巨大ギョーザとか。 しかし、それでありながら、今度の女房に変わって贅沢が分かるようにもなったと書く。 もう何年もパリに住んでいるのにフランス語ができないので、 女房がいないとレストランでまともな注文ができないとも書く。 モテる男の料理はこれだな、と思う。 芸術家にしてエピキュリアンたる男はこういうものであり、 その作る料理とはこういうものなのである。 私のようにちまちま鶏皮ポン酢やもやし炒めを作っているようでは駄目なのだ。 ああいう料理だからこそ、あんな顔して満寿夫はもてもてだったのだ。 そうに違いない。

2013/07/22

月曜休み

少し寝坊して、7 時過ぎに起床。 珈琲、甘夏入りヨーグルトで目を覚ましてから、朝食の支度。 小さい豚丼、胡瓜の糠漬、大根と茗荷の味噌汁。 朝風呂に入って、 午前中は「生ける屍」(P.ディキンスン著/神鳥統夫訳/ちくま文庫) の続きを読む。読了。いかにもディキンスンらしい、と言うか、ディキンスンはいつもディキンスン。

ちなみに、このちくま文庫版「生ける屍」には、 俳優の佐野史郎氏の巻末エッセイがついている。 少し前に放送していた連続 TV ドラマで、佐野史郎氏が古書店主を演じていて、 そこで R.F.ヤングの短編集「たんぽぽ娘」がテーマになったのだが、 そのコバルト文庫版「たんぽぽ娘」と同じくサンリオ文庫版「生ける屍」も古書市場で非常に高額だった、 ということ以外に関連性はなさそう。

昼食は、秘蔵のパンツェッタを使ってカルボナーラ。 食後にしばらく昼寝。昼寝から覚めて、"Stochastic Processes" (K.Ito 著/ Springer)の予習や、 料理の仕込みなど。夕方になって、近所のスーパーに食材の買い出し。

涼しくなったかと思って外出したのだが、 気温はさほど高くないものの、湿度が猛烈。雨が近そうだ。 帰宅して、お風呂に入ってから、夕食の支度。 鶏皮の辛子ポン酢、実家産のじゃがいもと玉葱だけの単純ポテトサラダで、贋ビールを始め、 メインは豚肉と茄子とピーマンのグリーンカレー。

やはり、雨になった。 夜は "And be a villain" (R.Stout 著/ Bantam Books) を読み始めたり。

2013/07/21

「生ける屍」

いくらでも眠れるなあ。 8 時くらいまで寝てしまった。 朝食は珈琲、甘夏いりヨーグルト、ピンクグレープフルーツだけで軽く済ませておく。 洗濯をして、お風呂に入り、湯船の読書は "Three doors to death"(R.Stout著 / Bantam books) より "Door to death"。 湯船で読書することの唯一の問題点は、たまに栞を湯に落としてしまうことだ。 午前中は "Door to death" の続き。読了。

昼食は親子丼と、茄子の糠漬、大根の味噌汁。 食後にしばらく昼寝。そのあとは、 「生ける屍」(P.ディキンスン著/神鳥統夫訳/ちくま文庫) を読み始める。

たぶん瀬戸川猛氏の「夜明けの睡魔」だったと思うのだが、 ディキンスンのピプル警視シリーズをとにかく変な推理小説である、 と絶賛(?)している評論を子供の頃に読んで以来、 ディキンスンの翻訳はほとんど読んでいる(児童文学と聖書もの以外)。 その紹介のされ方というのが、 存在感の薄い主人公ピプルが、舞台設定だけは奇妙奇天烈な事件に遭遇しては何もせず右往左往し、 しかもシリーズが進むごとにおちぶれて歳をとり、 警察はクビになり、ボケはじめ、最後は療養施設で事件を解く、 という調子。だったと思うのだが、記憶の中で変質したのかも。 でも、これは読まずにおれないな、と、 当時から既に入手困難だったディキンスンを集めて読んだものだった。 今、思うと、知的な意味であまりに背伸びだったと思う。

夕方になって、掃除などの家事を片付け、お風呂に入ってから、夕食の支度。 と言っても、一昨日のレッドカレーの残りが今日のメインなので楽。 夜も「生ける屍」。

2013/07/20

幸せの秘密

ああ良く寝た。 珈琲、甘夏ジャム入りのヨーグルト、ピンクグレープフルーツだけの簡単な朝食ののち、 定例のデリバティブ研究部会自主ゼミに向かう。 伊藤オルフス大講義録より、一次元確率測度の空間の弱*位相と Levy 距離。 そのあとのランチは蕎麦屋にて、海老天つけ蕎麦。

帰宅して、午後は主に読書など。 「幸福の計算式」(N.ポータヴィー著/岡部直子訳/阪急コミュニケーションズ)、読了。 幸福感についての行動経済学の最新研究は、私の認識とほぼ一致している。 多分、ゴータマ・シッダールタの認識とも一致しているだろう。

例えば、結婚初年度の幸福感は、数十万円もらうことと同程度でしかなく、 しかも約二年間で消滅し(これは昇給の喜びに慣れるのよりも早い)、以降はややマイナスに(つまり、不幸に)なる、とか、 子供を持つと持たないより少し不幸になる、とか、 人は配偶者や子供と死別した悲しみにもわずか一年間で順応し、元の幸福度をほぼ回復する、とか、 一方、いくら時間をかけても順応できない最悪の不幸は通勤時間である、とか。 とは言え、人間はこのような事実と正反対の行動をし、そのことが幸せであり、生き甲斐だと信じる。 おそらく、進化論的な理由か、ショーペンハウアー言うところの「意志」のせいだろう。

お風呂からあがって、 米を炊いている間に、いただきものの梅醤(うめびしお)と山葵を和えたもので冷えた贋ビールを始める。 夕食のメインは、鶏肉とピーマンとキャベツのタイ風炒めものかけ御飯。 日本の夏の幸せは、ホットなタイ風炒めものかけ御飯と、クールな飲み物。

2013/07/19

縦に夏休み

今日はちょっと涼しめかな。いつもの朝食をとって出勤。 昼は近所にて会食の予定なので、お弁当は休み。 出勤して静かにデータ処理。 夕方退社して、近所で散髪をし、カレー屋で夕食を済ませて帰宅。 髪を切ってもらいながら、 "Three doors to death"(R.Stout著 / Bantam books) より "Door to death" を読み進めた。

今年は縦に夏休みをとることにした。 来週から毎週月曜日は夏休みである。八月末まで毎週が三連休。 これに夏休みの効果があるのか、毎日の幸せに結びつくのか、身をもっての実験である。 この実験結果が日本の闘うサラリマンに与える影響は小さくないであろう、と確信するものだ。 とりあえず、最初の報告として、「金曜夜の幸福度はかなり高い」。

2013/07/18

レッドカレー

いつもの通り朝食を作り、お弁当を詰めて出勤。 曇り空で蒸し暑い。 最近の私は、近頃の日本の夏を乗り切るにはタイ(風)料理ではないか、 いう確信を深めつつある。そんなわけで、 既にタイ料理のレシピ本は複数持っているのだが、 昼休憩に古書店で 「私のタイ料理」(氏家昭子著/柴田書店) を買う。

以前からこの本には興味を持っていて、たまに古書店で手に取っていたのだが、 タイ料理のスパイスは石臼(「クロック」と言うらしい)でつぶさないと本格ではない、とか、 タイ料理と一口に言っても北、東北、中央、南、と四地方で違い、宮廷料理もまた別、 なんて難しいことが最初の方に書いてあるので、ちょっと敬遠していた。 しかし良く見てみると、シンプルなレシピがけっこうあって、 それほどおっかなくはない。 それに、勝手に適当なアレンジが加えられたものより正調のレシピの方が、 自分なりに変形したり簡略化した時に本物との差異が分かって有り難い。

夕方退社。午後から気温が上がり、真夏日に。やむなく地下鉄で帰る。 帰宅して、お風呂に入ってから、夕食の支度。 御飯が炊けるのを待つ間に、 大根の浅漬に梅肉、胡瓜もみ(ちりめんじゃこ、糸若布)で贋ビールを始め、 のち、鶏肉と茄子とピーマンのレッドカレー。 食後にピンクグレープフルーツを少々。

2013/07/17

ノルウェーの森の猫

先週に比べれば今日も涼しい。いつもの朝食のあと出勤。 水曜日でお弁当はなし、昼食は近所の餃子屋にて。 夕方退社。銀座へ向かう。

夜は、孤高のネットワークハッカー改め、独立系 SI 会社社長 N さんと、鮨屋にて会食。 N さんはこの春に個人事業を法人化して代表取締役兼社長に就任され、お忙しくしておられるようだ。 しかし聞いている分には、人脈を拡げるためと称しての娯楽的な予定ばかりのような気がするのだが、 もちろん、自分で自分を雇っているのだから文句を言われる筋合いはどこにもない。 ワイン講習会に、落語の会に、銀座バー巡りにと、景気刺激に尽力していただきたい。

それはさておき、以前は N さんに出張時の猫の世話を気楽に頼んでいたのだが、 これからはお忙しい社長に頼むわけにはいかないだろうことが残念だ。 ちなみに、N さんも昨年から猫を飼い始めた。 「ノルウェーの森の猫」と言う品種で、名前の通り極寒に耐えられるよう身体が大きく毛が長い。 雪原を歩くため指の間にも毛房をたくわえているとか。 この蒸し暑い東京での生活は大丈夫なのか、ちょっと心配ではある。

ja.Wikipedia の項目 に、この品種の「成長過程」の写真があるのだが、「一年弱」と「一年半」の間にかなりのギャップが。 その間に何か事件があったとしか思えない。

2013/07/16

Omit Flowers

珈琲、キウィ、ヨーグルトで目を覚ましてから、朝食の支度とお弁当作り。 出勤。北方から涼しい高気圧が入って来ているらしく、今週はそれほど暑さに苦しまないで済みそう。 夕方退社して、久しぶりに歩いて帰る。 しかし、日陰はわりと涼しいとは言え、夏であることには変わりない。 途中でちょっと後悔。

帰宅して、とりあえず水分補給。一息ついてからお風呂。 夕食のメインは豚肉の生姜焼き玉葱入りバージョン。 つけあわせに、トマトと千切りキャベツ。 長芋の味噌汁、御飯。

夜は 「はじめてのラテン語」(大西英文著/講談社現代新書)でラテン語の勉強と、 "Three doors to death"(R.Stout 著/ Bantam books)より "Omit flowers"。 "Omit flowers" 読了。 "Omit flowers" というタイトルが効いている。

2013/07/15

HHhH

今日も猛暑日だそうだ、噂に聞いただけなので詳しくは知らないが。 十時間ほど寝て、8 時過ぎに起床。 レモンを絞った冷水とヨーグルトで目を覚ましてから、いつもの納豆定食の朝食。

朝風呂に入ってから、 「HHhH — プラハ、1942年」(L.ビネ著/高橋啓訳/東京創元社) の続きを読む。 読了。リョサが「偉大な書物」とまで絶賛したそうだが、 そこまでとはいかなくても、非常に楽しめた。 「HHhH」とは "Himmlers Hirn heißt Heydrich" (「ヒムラーの頭脳はハイドリッヒと呼ばれる」)の頭文字、 すなわち、ヒムラーの右腕としてユダヤ人虐殺を指揮したラインハルト・ハイドリッヒ。 このハイドリッヒを暗殺すべくロンドン亡命中のチェコ政府が計画した「類人猿作戦」の顛末を描いた作品。 フィクションでもなく、ノンフィクションでもなく、ノンフィクションを書くというフィクション、と言ったところで、 喩えれば、ミラン・クンデラがナチスを題材にドキュメンタリを書いたらこんな感じかも、 と言うと著者に失礼だろうか。

昼食は、蒸し鶏とキャベツ千切りとトマトの冷やし麺。 食後二時間ほど昼寝。 二時間も寝てしまうと、午後はほとんど昼寝でつぶれてしまうのだが、 それはそれでいいじゃない。

夕食は、冷奴(茗荷、細葱、生姜)とオクラ茗荷和えでビールを始め、 豚肉とキャベツのタイ風炒めものかけ御飯。 フェデリコ・カルパッチョ氏の専任通訳の小暮修氏も言っていたが、 日本の夏はタイ風炒めものかけ御飯にビールだ。 今日もいい一日だなあ、と思いつつ、 "Three doors to death" (R.Stout 著/ Bantam Books)より、"Omit flowers" を読む夜。

2013/07/14

てんちゃ

ああ良く寝た。昼寝も二時間以上しているのに、いくらでも眠れる。 朝食の支度。 納豆(ちりめんじゃこ、細葱、茗荷)、胡瓜の糠漬、たらこ、オクラと細葱の味噌汁、御飯。 朝風呂に入ってから、洗濯などの家事。 一段落して、「HHhH — プラハ、1942年」(L.ビネ著/高橋啓訳/東京創元社) を読み始める。

昼食は、作りおきの惣菜類と、揚げ玉と柚子胡椒のお茶漬け。 てんちゃはしつこいかな、と思ったのだが、揚げ玉が上等なせいか、 むしろ、あっさりとして美味しかった。思いつきの柚子胡椒があう。 二時間ほど昼寝ののち、午後も家事と読書など。 夕方、雷をともなう激しい夕立。

夕食の支度。御飯を炊く合間に、 冷奴(茗荷、生姜)、胡瓜と玉葱とツナの和え物で、ビールを少々。 御飯が御櫃で蒸らされるのを待って、長芋とオクラのとろろ御飯(自家製ポン酢)、葱と大根の皮のスープ。 夜も「HHhH」を読んだり。 今日も良い一日だ。

2013/07/13

カレーとビール

ああ良く寝た。 8 時過ぎに起き出して、果物とヨーグルトなどの軽い朝食。 ゆっくり朝風呂。 午前中は鶏皮の下茹でなど料理の仕込みをしてから、 「編集者を殺せ」(R.スタウト著/矢沢聖子訳/ハヤカワ・ミステリ 1767) を読み始めた。 今日も猛暑なので、空調を使うべきなのだが、 昼食はカレーライスと冷えたビールの予定だったので、 そのためには自然の暑さも味のうちだと思い、 窓を開けて亜熱帯の気候を堪能。

さて、昼食。 玉葱と胡瓜とツナの和え物でビールを始め、 「編集者を殺せ」を読みながら、 御飯が御櫃で蒸らされるのを待つ。 のち、カレーライスで残りのビール。今日はいい日だ。

食後は空調の効いた部屋でしばらく昼寝。除湿万歳。 ほんの十五分ほどうたたねのつもりだったのだが、 気付いたら二時間半ほど寝ていた。 昼寝のあとの午後は、読書など。

夕食の支度。昨日から塩をしておいた鶏肉で蒸し鶏を作る。 冷奴(細葱、茗荷、生姜)、蒸し鶏と胡瓜とトマトの冷やし麺。 夜も静かに読書。 「編集者を殺せ」を読了。なかなかの佳作だった。

2013/07/12

アイスクリーム

今日も猛暑日。 幸せとは何か一度でも真剣に考えたことのある人ならば今頃、 前衛的なオブジェのような装置で茹で卵の殻をコツンコツンと割りながら、 ベリー類を散らした冷たいクスクスの皿を物憂げに眺めているのは、 朝食のオレンジジュースをミモザにするのはコードに反するのかしら、 と考えているだけだったりする、そんな高原のテラスの遅い朝なのだろうと思うが、 今日も味噌代を稼ぐために炎天下に出動だ。

オフィスに到着して、 冷水とアイスクリームで身体の熱を冷ましてから、 午前二時間、午後二時間働く。 外に出るのは危険なので、オフィスから一歩も出なかった。 夕方退社して、速やかに帰宅。 帰宅すると、「四季の味」の最新号と「編集者を殺せ」(R.スタウト著/矢沢聖子訳/ハヤカワ・ミステリ 1767) が届いていた。良い連休になりそうだ。

玉葱酢大豆、ツナと胡瓜と玉葱のサラダで冷酒を五勺ほど。 のち、自家製の麺つゆで素麺(生姜、細葱)。 小一時間ほど食休みしてから、近所のスーパーに食材の買い出しに行く。 日が落ちてもまだ気温は 30 度を越えているので、 外出したくはなかったのだが、 三連休を幸せに過すためにはやむをえない。

2013/07/11

オリヴェ

今日も猛暑日である。 正しい人生観を持った方ならば、今頃、 東南アジアって日本より涼しいんだねえ、なんて言いながら、 朝市で粥の朝食をとり、ドリアンを買ってホテルに戻ったら、 お客様、お部屋にそれをお持ち帰りになることは禁じられております。 もしよろしければ、こちらでお預かりしまして、 お好きな時にあちらのレストランでお出しいたしますがいかがでしょう、 なんて、イスラム風のユニフォームの美人が胸に手を置いてにこやかな笑顔で言うものだから、 おっとそれはエクスキューズミー、ここのシェフのニョニャ料理は最高だね、などと、 どぎまぎ答えているそんな最中だろうが、 私は今日もキャットフード代を稼ぐために炎天下に出動する。

いつもの通り、午前二時間、午後二時間、オフィスから一歩も出ずに働いて、夕方退社。速やかに帰宅。 お風呂に入って、湯船で「コクトーの食卓」(R.オリヴェ著/J.コクトー画/辻邦生訳/講談社)を読む。 そして何故か今まで全く気付いていなかったのだが、 表紙のコクトーの絵を見ていたら、ふと、このオリヴェというのはソースの本で有名なオリヴェではないか? と思い至り、あとで調べたら、やはりそうだった。 と言うよりむしろ、そうでしかありえず、何故気付いていなかったのか謎。

さて、夕食。 作りおきのポテトサラダと玉葱酢大豆で、税金の安い贋ビールを一杯だけ。 のち、トマトと胡瓜とツナの冷たい麺。 たれは醤油、味醂、酢、胡麻油で作った。 夜は、レックス・スタウトとラテン語。

2013/07/10

レモン・シャーベット

今日も猛暑。猫もソファの下で伸びている。 炎天下を出動。 まっとうな暮らしをしている人々は今頃、 道路でレモン・シャーベットを食べながら、 ホテルへ送ってくれる、 ヴィオロンセロより美しい辻馬車を待っているところだろうが、 日本はマヨルカ島のパルマではない。

午前、午後と低調気味にオフィスで過す。 昼食は近所のインド料理屋にてチキンカレーとナン。 ついでに新刊書店で 「HHhH」(L.ビネ著/高橋啓訳/東京創元社) を買った。 夕方退社して、素早く帰宅。

お風呂に入ってから、夕食の支度。 長芋の短冊に自家製ポン酢、茹で卵入りのポテトサラダで、贋ビールを一杯だけ。 のち、自家製の麺つゆで素麺(茗荷、生姜、細葱)。 食後に冷やした桃を一つ。

2013/07/09

水蜜桃

朝食とお弁当作りのあと出勤。今日も猛暑日。 まともな人たちは今頃、マルティニーク島の波止場から大型帆船が離れて行くのを見て、 「まあ、綺麗な、百貨店が動き出したみたい」なんて、 フェッラガーモのドレスを潮風にそよがせながら言っているところだろうが、 日本の労働者は 7 月だろうが 8 月だろうが炎天下を出社する。 それが、メッシホーコー・スピリット。

午前、午後とオフィスで働く。 この暑さでは外に出るのも危険なので、昼休憩もオフィスで仮眠。 夕方退社。素早く帰宅。

お風呂に入ってから、夕食の支度。 作りおきのポテトサラダ、胡瓜もみ(糸若布、ちりめんじゃこ)で贋ビールを飲みながら、 「食卓は人を詩人にする」(山縣弘幸著/潮出版社)を読む。 のち、豚肉の生姜焼き(玉葱入り)、らっきょうの甘酢漬け、とろろ御飯。 食後に冷やした桃を一つ。桃はいいね。

夜は、 "Three doors to death"(R.Stout 著/ Bantam books)より "Omit flowers" の続きを読んだり、 「はじめてのラテン語」(大西英文著/講談社現代新書)でラテン語の勉強をしたり。

2013/07/08

白和え

さて、出勤。 外に出ると、今日も昨日に続いて、猛暑。 梅雨が明けたら即猛暑で、少くとも今週はこんな調子らしい。 この暑さで働く人なんてあまりいないだろう。 みんな、那須高原とか、コモ湖畔とか、グラインドボーンとかに行ってしまったに違いない。 そしてこんな暑さでも満員電車で通勤して働く生真面目な労働者の健気さを思って、 お気の毒に、前世に何があったのかしら……なんて話しているんだ、 芝生でナイティンバーのスパークリングを傾けつつ、胡瓜のサンドウィッチをつまみながら。 ここのローストビーフも何と言いますか、以前のようではないように思いますの、 年寄の感傷でしょうねえ、良き日々は真っ先に消えて行きますわ、なんて言ってるんだ、そうに違いない。 次の選挙では共産党に入れよう、と秘かに誓う私であった。

出社して、心を落ち着け、静かにお仕事。 普段なら昼休みに神保町散歩に出るところだが、 熱中症で倒れて救急車で搬送されかねないので、ずっとオフィスで過す。 午後も同じ調子で過して、夕方退社しようと思った頃に、雷雨。 夕立の合間を見計らって退社。 雨に降られずには済んだが、外は天然のサウナ状態。

帰宅して、お風呂に入ってから、夕食の支度をしながらの夕食。 冷えたビールで、豆腐と葱の白和え。 水を切った木綿豆腐をつぶして多めに刻み葱を和えて、塩と胡麻油だけで味を整える、 という難易度の高い料理である (この料理は「贋食物誌」(吉行淳之介/新潮文庫)で知った)。 続いて、作りおきのポテトサラダ、豚肉の冷しゃぶと大根おろしに自家製ポン酢、 素麺(茗荷、生姜、細葱)を自家製の麺つゆにて。 夏の口福を満喫。

2013/07/07

盗まれた靴とスラれた弁当とヨーグルト

ああ良く寝た。電気代は節約したいものの、 老人は睡眠中に室温が 28 度を越えないよう気をつけろ、 と各メディアがしきりに忠告するので、 熱中症予防のため寝るときには空調している。 さて、今日も猛暑の一日だそうだ。軽い朝食のあと、洗濯などの家事。

朝風呂に入って、 「贋食物誌」(吉行淳之介著/山藤章二イラスト/新潮文庫) を読む。 夕刊紙の連載だっただけあって、くだらない話、特にエロ話ばかりなのだが、 ハードカバー版の初版が昭和四十九年だから今からは一昔前、 しかも著者がその時点から一昔前の思い出話をするから、 一昔前と二昔前の話、ということになり、世相の違いや類似が面白い。 今日読んだところには、買ったばかりの靴を家の三和土から盗まれて、 もっと金持ちのところから盗めばいいのに、と思ったという話があった。 昭和二十年代の思い出で、靴一足が月給くらいだったそうだ。 イラストの方には山藤氏が、同じ頃に通学の満員電車で弁当をスラれた、という思い出の絵を描いている。 母親が働きに出ていたため自分で作った麦飯の日の丸弁当だっただけに、 「その日の空腹は心底こたえた」そうである。

結局、貧乏人が貧乏人から奪うのは一種の近親憎悪なのではないか、 という内容なのだが、何故かそのエッセイのタイトルは「ヨーグルト」。 やはりその頃、安岡章太郎が勤務中の吉行淳之介に電話をかけると、 吉行氏が「その電話の近くにミルクホールがあって、ミルクは一杯二十円である。 ところでな、もう五円フンパツすれば、ヨーグルトというものが食べられる。これは旨いぞ」 と答えたそうだ。 そのことを安岡氏がその後もしきりに蒸し返した、という記述があることだけが、タイトルの理由である。 何故、この発言がしきりに蒸し返すに値するのかというところに、滋味があると思う。

朝風呂のあと、自家製のレモネードなど飲みながら読書をしているうちに昼時。 昼食の支度。塩鯖、胡瓜もみ(糸若布、ちりめんじゃこ)、炒り卵と細葱の冷たいチリソース麺。 夏には冷たい麺類だねえ、と暑さと冷たさを堪能したあと、 28 度に設定した部屋でしばらく昼寝ののち、午後も読書と家事。 ふと思い立って、本の整理(もちろん作業中は 28 度に冷房して)。 すると、なんということでしょう、並び換えただけなのに五百冊ほど床にあふれ出す始末。 バナッハ=タルスキの実例構成に成功したらしい。

夕食の支度。 実家の畑産のキタアカリにバタ、豆腐と刻み葱の白和え、茄子の糠漬、じゃこ入りとろろ御飯。 夜は、 "Three doors to death" (R.Stout 著/ Bantam books) より "Omit flowers" の続きを読んだり。

2013/07/06

ボルヘスとポー

ああ良く寝た。快適に熟睡。 軽い朝食ののち、デリバティブ研究部会の定例自主ゼミに出かける。 伊藤先生オルフス大講義録で中心値と散布度の定義とその応用。 A堀先生がフランスからのインターン学生を連れて飛び入り参加。

ゼミのあとのランチは南インド料理。 でも、フランスからの学生さんの好物は、ココイチのカレーライスだとか。 日本式のカレーライスは意外に、世界展開できるのかも知れない。 レストランから外に出ると、ついに気温 35 度の猛暑。 これはいかん、と、さっさと帰宅。貧しいながらも、涼しい我が家。

午後はのんびり 「ボルヘスと不死のオランウータン」(L.F.ヴェリッシモ著/栗原百代訳/扶桑社) を読んだり。 そうこうしているうちに夕方。 お風呂に入ってから、夕食の支度。

正確に言えば、夕食の支度をしながら夕食。 米を炊いている間に、冷奴(茗荷、生姜)から始め、 続いて、胡瓜もみ(糸若布、ちりめんじゃこ)。冷酒を五勺ほど。 焼き立ての塩鯖を食べているところに、御飯ができた。 長芋のとろろ御飯、玉葱酢大豆、細葱の味噌汁。

夜は「ボルヘスと不死の〜」の続き。長編とは言え、短い作品なので、すぐに読了。 この設定での本格ものを期待していたのだが、 ボルヘスの書くメタ・ミステリの、さらにパロディ、という感じ。 でも、なかなか楽しめた。 それにあやかって、ボルヘスの「バベルの図書館」の第11巻、 「盗まれた手紙」(E.A.ポー著/富士川義之訳/国書刊行会)より、 短篇「群集の人」などを読む夕べ。

2013/07/05

ボルヘスとオランウータン

今日は昨日よりさらに、蒸し暑く。 呼吸し難いくらいの湿度の高さ。 いつもの朝食とお弁当作りのあと、低調気味に出動。

昼休みに古本屋で 「ボルヘスと不死のオランウータン」(L.F.ヴェリッシモ著/栗原百代訳/扶桑社) を買った。 アルゼンチンで開かれた E.A.ポーの研究集会で殺人事件発生、 かのボルヘスが探偵役、という胸踊る設定のブラジル発ミステリ。 もちろんこのオランウータンは、あのオランウータンだろう。 扶桑社は意外と面白いものを出すなあ、 と思うものの、2008 年刊のこれが既に品切れのように、 すぐ手に入らなくなるのが欠点。

夕方退社。夜は神楽坂にて会食。

2013/07/04

塩鯖

昨日と同じように今日も厚い曇り空。 今日はさらに湿度が高く、息苦しいような気がする。 いつもの通り珈琲、甘夏のジャム、ヨーグルトのあと、 納豆(ちりめんじゃこ、大葉)、たらこ、茄子の糠漬、油揚げと切干し大根の味噌汁の朝食をとり、 お弁当を詰めて出勤。

神保町の交差点で、 「大きな音で申しわけございません!大きな音で!○○党の××です!大きな音でっ、すみませんっ!」 と拡声器で絶叫している車を見かけ、「ああ、また選挙かー」と気付く。

夕方退社。 地元のスーパーで食材を買って帰る。今日は長芋が安い。 帰宅して、お風呂に入ってから夕食の支度。 長芋の短冊に自家製ポン酢、刻み葱を詰めた油揚げの網焼き、塩鯖。 冷酒を五勺ほど。塩鯖うまい。 ちょっと迷ったのだが、やはり一匹分買って良かったな……。 さらに、自家製の麺つゆで素麺(細葱、生姜)。

夜は "Three doors to death" (R.Stout 著/ Bantam books) より "Omit flowers" と、 「はじめてのラテン語」(大西英文著/講談社現代新書)。 今日も静かで良い一日である。

2013/07/03

雨の香り

曇り空。気温はそれほど高くないが、蒸し暑い。 この週末に猛暑が来襲するらしいので、今から憂鬱だ。 水曜日はお弁当作りを休むので、のんびりした朝。 いつもの納豆定食の朝食を済ませて出勤。

水曜日は道草日。あれこれお勉強など。 昼食は近所でサラダとカツカレー。 夕方早めに退社。 雲が厚く、温かい風が吹いている。 雨の匂いがするな、と思っていたら、 神田川のあたりでぱらぱらと降り始めた。 確かに「雨の匂い」としか言いようのない香りがあると思うのだが、 時や場合や人によりけりで、成分で捉えられるものではないような気もする。 でも確か、雨の香りの香水があったと思う。 どういう調香なのだろうか。

帰宅して、お風呂に入ってから、夕食の支度。 昼食のカツカレーが重かったので、夜はあっさり、 ポテトサラダと冷やし蕎麦(大葉、茗荷、揚げ玉、茹で卵)。 食後に甘夏を一つ。 "Three doors to death" (R.Stout 著/ Bantam books) より "Omit flowers" と、 「はじめてのラテン語」(大西英文著/講談社現代新書)。

2013/07/02

お相伴

良い天気だが、今日のところはまだそれほど暑くはない。 寝坊してしまったので、珈琲、ヨーグルト、キウィだけの朝食。 慌ててお弁当を詰めて出勤。

午前中は一週間の反省などして、午後は定例のミーティング。 夜は、弊社オフィスにて関連会社の某 H 社の設立一周年記念パーティ。 H 社はテレビも含め各メディアにじゃんじゃん取り上げられてブレイク中だ。 こそっと乾杯に連らなって、お相伴にあずかる。

2013/07/01

未来命令

かつて、ある哲学者が、人間の全ての不幸は、 一人で家にじっとしていられないことに起因する、 と言ったそうだが、 生きるためには外出せざるを得ない……と、 哲学的になりがちな月曜日。 労働力を切り売りせねば生きられぬこの身の切なさよ。 いつもの納豆定食の朝食。お弁当を適当に詰めて出勤。 夕方、退社。

帰宅してお風呂に入ってから、夕餉の支度。 米を炊いて、煮干しでだしを引き、 その間に今日のメインの鯖に塩をしておく。 冷奴(大葉、茗荷、生姜)で冷酒を五勺ほど。 炊き上がった米を御櫃に移してから、鯖を焼き、 他にポテトサラダ、卵かけ御飯(ちりめんじゃこ、大葉、茗荷、自家製ポン酢)、 糸若布と油揚げの味噌汁。 食後に甘夏を一つ。

夜は、"Three doors to death" (R.Stout 著/ Bantam books) より "Man Alive" と、 「はじめてのラテン語」(大西英文著/講談社現代新書)。 ラテン語の命令法には現在形の他に未来形の「未来命令法」があるようだ。 今ここで〜しなさい、という現在形に対して、 これからの未来において〜しなさい、という意味なのだが、 言われてみれば、この二つを区別するのは自然な気がする。