「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2016/12/07

山羊肉

今日もこれで寒い方なのか。もつと冬らしくしてもらひたいのだが。軽井沢か富士吉田か青森あたりの気候が私にぴつたりなのではないか……と思ひつつ、出勤。

結晶の模様に凍りついた窓に朧げに浮かぶ銀世界、林檎の木に重く積もる雪、暖炉の前に伸びる老猫クロと盲目の犬(名前はオーディーン)、もう二週間人間とは話してゐない靜かな冬……心行くままに和漢朗詠集を、またはホラティウスをラテン語で、荘子を白文で讀む夕べ、今日の晩餐は塩漬豚肉とレンズ豆の煮込み、マンディアルグの「オートバイ」を思はせる鋼のやうに気高いリースリングの香り…………と言ふ充実した妄想時間を電車の中で過して、いつもの時間に出社。

今日の晝食で、この半世紀近い人生でおそらく初めて、山羊の肉を食べた。インドネシア料理には良く使ふものなのだらうか。いつもの時間に退社。

歸宅して風呂に入つてから夕食の支度。豆腐と絹莢の卵とぢに牛蒡天で冷酒を五勺。のち、筍御飯と里芋の味噌汁。食後に包種茶と小さな薩摩芋。