「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2016/12/29

チューリングの二番目に有名な論文

冬休み二日目。いつもの通り「古楽の楽しみ」を寝床で聞いてから起床。いつもの納豆定食のあと、いつものやうに ``Wheelock's Latin" でラテン語の勉強と「キューネン 数学基礎論講義」を少しづつ。朝風呂の湯船で「アンナ・カレーニナ」の續きを讀む。昼食までは、書き物仕事を少々。

昼食は焼きそば(豚肉、鶏肉、干し海老、キャベツ、人参、もやし、干し椎茸)とビール。だしであつさり塩味。焼きそばにビール、そして「アンナ・カレーニナ」。私のつつましい人生の、わびしい日々の中の、ささやかな幸せである。しかし、それ以上に何を求めることがあらうか。午後も「アンナ・カレーニナ」と、``Quantum Computing since Democritus" (S.Aaronson / Cambridge University Press)。

``Quantum ..." を讀んでゐると、「ここでこの本を數分(``a few minutes")ほど脇に置いて、チューリングの二番目に有名な論文を先に讀め」と書いてあつたので、そちらを讀む。実は、恥づかしながら今までこの原論文を讀んだことがなかつたのである。チューリングテストを提唱した論文として有名だが、その部分は「機械は考えることができるのか?」と言ふ曖昧で大きな問題に対し、縮小、具体化した問題として提出した形になつてゐる。元の問題については、九つの「ノー」派の意見に対しチューリング自身の見解を述べてゐるところが愉快だし、最後の章で「学習する機械」について述べられてゐることも興味深い。最近、世の中、人工知能とか深層学習とか賑やかだけれども、本質的にはチューリング以降ほとんど何も進歩してゐないやうな氣がするのだが……おそらくそれは私の認識不足であらう。

さすがに「數分」では讀めないもののかなり短いし、論文と言ふよりは一般向けの論説に近いものなので、讀んだことがない方には一讀をおすすめしたい。

夕食にチキンカレーを作る。赤ワインを一杯だけ。食後にチーズを少し。夜も讀書など。今日も良い一日だ。