通勤の車中で讀んでゐた「配当」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ文庫)が少し残つてゐたのを、冬休みの讀書に集中する前に片付ける。昨日讀了。BASIC のプログラムが出て來たり、電話回線越しにプログラムを「録音」したり、今は昔的な感じがするものの、当時良く勉強して書いたのだらうなあ、と。しかし出來はもう一つ。はつきり言へば、平均以下の作品だと思ふ。年の離れた兄弟二人それぞれが活躍する二部に分けた効果も謎だし、馬鹿であるが故に危険な乱暴者と言ふ悪役の造形が小さ過ぎる。つまりただのチンピラ相手にディック・フランシスのヒーローが二人がかりは變だ。
「エムズワース卿の受難録」(P.G.ウッドハウス著/岩永正勝・小山太一(編・訳)/文藝春秋)、讀了。やはりウッドハウスは良い。ウッドハウスは偉大だ。私は普段、憂ひの玉箒、と言ふ言葉を八海山純米吟醸とかヱビスビールとペアにして良く使つてゐるが、ウッドハウスに使つてもけして不適切ではないと思ふ。