一合ほどワインを詰めた水筒を持つて出て、木挽町辨松で幕の内弁当を買ひ、歌舞伎座へ。晝の部を観劇。
橋之助の芝翫襲名の他、お子さんたちが橋之助、福之助、歌之助をそれぞれ襲名。夜の部は襲名披露の口上がある他、玉三郎が藤娘を踊つたりするのでほとんど席がとれないやうだが、晝の部は比較的空いてゐる。団体客も多いやうだ。
今回襲名の橋之助、福之助、歌之助三人で新作舞踊の「初帆上成駒宝船」から。續いて、七之助が巴御前を演じる「女暫」、児太郎がお染、松也が久松の「浮塒鷗」、芝翫が幡随長兵衛、菊五郎が水野十郎左衛門の「極付 幡随長兵衛」より「公平法問諍」。
七之助は声がもう一つ好みではないと思つてゐたのだが、今日、二階桟敷が西側しかとれなかつたので、花道でのやりとりを声だけで聞いてゐたら、意外に良く思へてきた。私が慣れてきただけかも知れないが。「公平法問諍」は始めの劇中劇の趣向がちよつと面白い。それはさておき、橋之助が芝翫だといふのがまだピンと來ない。女形と立役の違ひのせゐかも知れないが、今のところ親分役くらゐが丁度良い感じ。
祝ひ幕は有名デザイナ作だし、襲名祝ひの絵馬は芸能人の名前が目立つし、現代的な襲名披露と言へようか。最近は襲名続きのせゐか、歌舞伎は襲名ビジネスだなあと思へてしまふ。