ようやく週末に辿り着いた。 納豆と目刺しのお決まりの朝食で済ませ、作り置きのお惣菜を適当に詰めてお弁当を作り、出勤。 金曜日らしく低調な一日。
昼休憩に古書店で「料理人の休日」(辻静雄著/S.チェンバレイン画/鎌倉書房)を買った。 今は、新潮文庫版や復刊ドットコム版などでも読めるが、 それぞれ独自に編集されているため同じではないし、美しい装丁が復元されているわけでもない。
夕方退社して、近所の洋食屋でビールを飲みながら、「料理人の休日」を読む。 フォワ・グラの食べ方について、など。 「普通は薄皮をとり血抜きをしてコニャックをかけて数時間漬けておき、graisse d'oie で弱火で小一時間火を通す。 それからテリーヌに入れて、冷えたら、さきに煮るときにつかった graisse de cuisson を注ぎ入れて、さます。 いくらか脂がさめておちついたら、この上からうすくラードをかけて、ひやし、フタをしておいておくのだが、火を通すのをさっとやると、ビフテキでいうオー・ブルーという状態のままでとどまり、うす切りにすると、うっすらと血がにじんでくる。 そのおいしいこと、人間の知恵が生んだ僥倖としかいいようがないくらいだが……」
と、いうのが普通の食べ方だそうだ。 しかし一七〇〇年頃には紙にくるんで灰の下でじっくり焼いたりもしていたとのこと。 また、岩塩に漬けるという料理法もあるらしい。 一日漬け、二日漬け、と深さによって味わいが違う。 大蒜漬けというのもあり、十数個の大蒜を丸ごとフォワ・グラと一緒にして火を通したのを冷やして出すとのこと。 意外にも強い匂いはせず、ほのかな大蒜の香りがどことなく漂うのだとか。