著者は遺伝子学や微生物学を専門にする科学者なのだが、何げなく趣味に選んだ珈琲の魅力に取り憑かれて、アマチュアとしての愛情とエネルギーを珈琲の研究と調査に注ぎ込むこと幾年月、その結果を凝縮したのがこの一冊。コーヒーノキの植物学、コーヒーの歴史、おいしさの科学から始まって、焙煎、抽出の科学、健康との関係など、300頁ほどに盛り込まれた情報量がすごい。
この硬派な一冊の副作用として、昔、「ブルーバックス」の高等さうな数学に胸おどらせた子供時代をも思ひ出したことであつた。娯楽数学系は凄く充実してて高木茂男先生の「数学遊園地」とかガードナーの「数学ゲーム」(高木茂男訳)とか最高だつたし、本間龍雄先生のトポロジーの本とか、「現代数学小辞典」とかも興奮したよなあ。