「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2016/06/01

「鴎」

数表の升目を埋めながらお金の心配をするのに疲れ、その合間に久生十蘭の連作短編「キャラコさん」より「鴎」の一編を読む。

十蘭らしさが凝縮した傑作。物凄い時間の流れがあつと言ふ間に語られた途端に急停止して幕切れとなる。ここで物語を終へることのできる作家はおそらく十蘭ただ一人で、十蘭(と十蘭の愛読者)の美学ではこれ以上を語ることは蛇足なのである。キャラコさんのこの最後の台詞で小説家は言ふべきことを言ひ尽したのである。

いつもより少し遅くなつたが夕方退社して帰宅。冷奴で冷酒を五勺。のち、鶏肉と烏賊と海老の残りを使つてタイ風の野菜炒めかけ御飯。食後に中国茶を飲みながら線形代数の演習問題を数題解く。夜は「モンテ=クリスト伯爵」(デュマ著/大矢タカヤス訳/新井書院)の続きを読む予定。