どうしてこんなに眠れるのかなあ…… 月曜日は夏休み。 珈琲、ヨーグルト、オレンジ一つの軽い朝食。 朝風呂に入って、湯船の読書は 「不思議なミッキー・フィン」(E.ポール著/今本渉訳/河出書房新社)。 午前中は読書の続きと、お風呂そうじなどの家事。
米を炊いて、昼食の支度。鰻の蒲焼の残りと大和芋で鰻ざくとろろ御飯、 胡瓜の糠漬、切干し大根と浅葱の味噌汁。 少し食休みをしてから、午後も読書などして、のんびり過す。 そうこうしているうちに、夕方。夕餉の支度。 また鰻の残りを使って鰻巻き、鶏砂肝の大蒜炒め、自家製の麺つゆで素麺(浅葱と生姜)。
夜も読書など。「不思議なミッキー・フィン」、読了。 罪のないドタバタ式のユーモア小説で、細部の描写が古のパリの香りを伝えて芳しい。 吉田健一が誉めたおかげで、 日本ではエリオット・ポールの名前だけは良く知られているし、いくつか翻訳もあるが、 消えていく文化を伝える、消えていくタイプの、作家なんじゃないかなあ、という気がしないでもない。 実際、アメリカではほとんど絶版の模様。 かなりユニークな人物だったようで、 Wikipedia の "Elliot Paul" の項目も、 短いわりに味がある。
ところで、「ミッキー・フィン」の結末近くに、 「アメリカじゃあ探偵は何か知りたいとき瓶ビールをたらふく飲むって本当か?」 という台詞がある。 これは、ネロ・ウルフのことでしかありえない、と思って確認すると、 レックス・スタウトがネロ・ウルフをデヴューさせたのは 1934 年、"Fer-de-Lance"(「毒蛇」) でのことだから、「ミッキー・フィン」が出版された 1939 年に間に合う (なお、1939 年は第二次世界大戦勃発の年でもある)。 「ミッキー・フィン」の訳者あとがきによれば、 エリオット・ポールはスペイン内乱の悲惨を目にして、 自らの精神状態を保つため、強いて明るいユーモア・ミステリを書こうとしたそうで、 ミステリをほとんど読んだことがなかったポールは、 かのシェイクスピア書店から沢山のミステリ小説を借りて勉強したらしい。 それが 1938 年のことだと言うから、 その中にアメリカでヒットしていたスタウトの初期傑作群が含まれていて当然だろう。 エリオット・ポールは第二次世界大戦直前のパリで、スタウトのネロ・ウルフものを読んだ、はず。