「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2013/07/27

東海道四谷怪談

昼食後しばらく昼寝ののち、身支度をし、 高橋葉介的なちょっとおどろおどろしい模様のネクタイを締めて、銀座に出かける。 シャンパーニュと食べ物を調達してから、歌舞伎座へ。

夕方から夜にかけ、歌舞伎座にて「東海道四谷怪談」を観る。 お岩を菊之助、伊右衛門を染五郎。言わずと知れた鶴屋南北の傑作、怪談の中の怪談である。 舞台の他にも、落語、小説、映画、TV ドラマにと、様々なヴァリエーションで取り上げられるので、 誰でも大まかな筋は知っているし、 歌舞伎で観たことがなくても、「髪梳き」や「戸板返し」などの場面が目に浮かぶ。 今回、菊之助はお岩と小平と与茂七の一人三役なので、 「戸板返し」の表と裏を一人で演じるし、大詰めで伊右衛門を討つ与茂七も菊之助。トリッキー。 さらに、大詰めの「蛇山庵室の場」の直前、 伊右衛門が見る一時の美しい夢である「蛍狩の場」が歌舞伎座では三十年ぶりに演じられる、 ということにも期待。 やはり、血と悪のグロテスクには、蛍狩のような儚げな美が表裏に寄り添ってこそ、 互いが際立つというものだ。

今回は桟敷席をとっていただいたので、 夏はやはり怪談だねえ、などと言いつつ、 合計四時間強を飲み食いしながらの観劇。