「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2012/07/14

悪党の蘊蓄

昨夜は蕎麦屋でビールをグラスに一杯と酒を一合ほどと、 久しぶりにけっこう飲んだせいだろうか、 随分と寝てしまった。珈琲とヨーグルトと果物だけの朝食。 朝風呂に入って、湯船で 「The500」(M.クワーク著/田村義進訳/ハヤカワ・ミステリ 1861) を読む。

朝のうちに読了。なかなか面白かった。 訳者は解説でロビイスト版の「法律事務所」(グレシャム)と書いていたが、 ロビイスト版の映画「ウォール街」と言う方が、そのものズバリの気がする。 脇役だが、戦争犯罪者で大富豪のセルビア人「ラド」のキャラクタが面白い。 コロンビアに隠棲していて、 夕食の支度に使うハーブを庭で摘みながらその芳しさについて講釈し、 美味しいタルタル・ステーキの作り方のコツを説明しながら自ら牛肉を骨からさばき、 食卓の席につけば、 地中海地方の鳴禽類のうちでグリルしてもっともジューシィなのは何か、 クストリッツア監督の初期作品のうちでもっとも辛辣なのはどの作品か、 正式のサゼラックを作るのに最適なライ・ウィスキィはどれか、 ノンストップで蘊蓄を語り続ける。そんな極悪人。 もちろん、(極悪な)仕事の話はディナが終わってからだぜ。

早めの昼食。 実家から送られてきた古物(ひねもの)の素麺を茹でて、 薬味は海苔と大葉と茗荷と生姜。 他に、鯖の味醂干しの残り、じゃこ入り胡瓜もみ。 食後、しばらく昼寝。 午後も読書など。 「ハーモニー」(伊藤計劃著/ハヤカワ文庫)を読む合間に、 「ゲーデルの定理 利用と誤用の不完全ガイド」(T.フランセーン著/田中一之著/みすず書房)。

夕方、少し涼しくなってから、食材を求めに外出。 帰宅して夕食の支度。 鶏挽肉のバジル炒めかけ御飯に目玉焼き乗せ、胡瓜の糠漬。 お風呂に入ってから、冷やしたグレープフルーツ。 夜は、「チューリングを読む」(C.ベゾルト著/井田哲雄・他、訳/日経BP) を読み始める。