「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2012/07/03

山椒

涼しくて良く眠れたせいか寝坊。 朝食は珈琲、ヨーグルト、果物だけにして、 お弁当を適当に詰めて出勤。 昨夜、無事に秘密の白うさぎが放たれたようだ。 審査に一週間ほどかかるらしい。出戻ってきませんように……。 昼食は持参のお弁当。 塩鮭、半熟茹で卵、胡瓜の糠漬、野沢菜、御飯。 午後から雨が降り出した。梅雨明けはまだらしい。 夕方退社して帰宅。

お風呂に入って身体を温めてから、夕食の支度。 夕食は、治りかけの風邪を最後に追い払うため、鍋料理。 長葱を一本の半分と出来合いの餃子とで鍋にする。 自家製のポン酢と山椒で。鍋のあとは葱と卵の雑炊にして、粉山椒。 夜も雨が降り続いている。

私は山椒が好きで、庭のある人には「是非、山椒を植えると良いよ (そして、旬の頃に実やら葉を送って欲しい、のこころ)」 と言ってみるのを習慣にしている。 しかし、やはり庭にはそれぞれ本人の計画や主張があるので、 「山椒は育て難い」とか「虫がつき易い」(なぜか山椒にはアゲハチョウがつきもの) と言って断わられる。 今、湯船で読んでいる「ほろにが菜時記」(塚本邦雄著/ウェッジ選書) によると、山椒と日本人の縁は古いらしくて、 日本書紀にも出てくる「はじかみ」とは生薑(生姜)ではなくて山椒なんだそうだ。 ちなみに、「ほろにが」に山椒の枝の擂粉木のことが書かれているが、 これは水上勉の「土を喰う日々」を引いたのじゃないかな、と思う。

さらに、このどちらの本にも出ていないことを書いておくと、 山椒のほとんどは和歌山で作られている。それこそ神代の昔から作られているのですよ。 ちりめん山椒の印象が強いせいか、山椒の産地は京都だと思っている人が多い。 そのちりめん山椒も、最初に作ったのは京都の一流料理人かも知れないが、美味しいのは和歌山産。 と言うのも、ちりめん、つまり和歌山で言う「しらす」だが、 これは加太の清浄で長閑な海で採れる加太しらすが最上で、 この海の幸と山の幸の山椒の素朴で鮮烈な出会い、すなわち、 「両方ともご近所でもらったので一緒に御飯にかけました」 という新鮮でおおらかなものが本当です。 私以外の人はそうは言わないかも知れないが、そうなんです。