東京もただ蒸し暑いだけではなく、段々と気温が上がり、真夏らしくなつてきた。往きの車中の「源氏物語」(玉上琢彌訳注/角川ソフィア文庫)は「蓬生」の帖を讀了。顔も体も不恰好な不美人だが、頑に家柄の古風を守る内気で純真な末摘花が、下々のものにまで見棄てられながらも待ち続けた甲斐あつて、光源氏に二条院へと迎へられる。やはり光源氏は流石にただの女好きではない。一度見込んだら最後まで面倒を見るところが偉い。やはり色の道とは究極のところ「親切」なのではないか。
夕方退社して帰宅。少し食欲が落ちて来た。冷凍の饂飩を茹でて、冷やし饂飩にする。夏バテ対策に食欲増進のため「蚕食鯨呑」(楊逸著/岩波書店)を讀む。