切りの良いところで上がって、夕方から「鑑定士と顔のない依頼人」(G.トルナトーレ監督, 2013)を観る。期待以上に面白かった。"La migliore offerta" ("The best offer")というタイトルが絶妙なのだが、邦題は無難なだけでつまらない。何とかならなかったのだろうか。
「ベストオファー」とは言葉通り「最善の申し出」という意味だが、競売にかける方としては「精一杯の出し物、目玉商品」という意味にもなろうし、競る方としては「(その商品に)出せる金額の限界」ということにもなるだろう。
映画の中で独身の老人である鑑定士が部下に、女と暮らすというのはどんなもんかね、と訊くと、結婚三十年のその男が、結婚は鑑定に似ている、ベストオファーだから、という感じの答をする。ベストオファーねえ……