ルイス・キャロルことC.L.ドジソンの未発表の草稿 「円積問題についての単純な事実」第一章の翻訳を公開します (pdf ファイルへのリンク)。
かつて有名な数学者のもとには、角三等分問題や円積問題を解決した、というアマチュアからの手紙が良く届いたそうだ。 この二つともギリシア時代から知られている作図問題だが、現代ではどちらも不可能であることが証明されている。 しかし、よほど数学ファンの心を刺激する問題なのだろう、 こういう人々からの熱心なアプローチに苦労した数学者は多いらしく、 角の三等分に挑戦し続ける人たちを指す「三等分家」("Trisectors")という言葉まである。
与えられた円と同じ面積を持つ正方形を定規とコンパスで作図せよ、 という「円積問題」は三等分問題よりはやや知名度が低いものの、 やはり、多くの数学者がこの問題と、この問題に取り憑かれた人々に、悩まされた。 ドジソン氏もそうだったらしく、 彼はこういう人々を「円正方形化人」("Circle-Squarers")と呼んで、 彼等をまとめて撃退するために本を書こうとしていた。 それが、この「円積問題についての単純な事実」である。 しかし残念ながら出版には至らず、部分的な草稿しか残されていない。 その第一章は序文にあたる内容で、 書かれたタイミングからしても歴史的興味があるかと思い、ここに翻訳してみた。
ルイス・キャロルがどのように円正方形化人たちを説得しようとしていたのか、 その戦略については、翻訳文書をごらんあれ。 これで引き下がるような円正方形化人たちではない、と私は思うのだが……