往きの車中の谷崎源氏は「真木柱」から「梅枝」の帖に入った。
今週は色々といつもとペースが違ったので、週末らしい気がしない。とは言え、帰宅して風呂に入ってから、餃子を焼いてビールを用意しながら、さて、「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」(J.ル・カレ著/菊池光訳/ハヤカワ文庫)をじっくり読み始めるかな、などと思っていると、やはり週末である。
「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」はスマイリー・トリロジーの第一作で、菊池光による旧訳と、第二作と第三作を翻訳した村上博基による新訳版がある。この新訳版の評判が大変よろしくない。菊池光は人によって好き嫌いの激しい、かなりクセのある訳者だし、三部作で訳者が揃っている方がいいだろうしで、新訳に期待する声は高かったように思う。その反動だろうか、新訳が出てみたら、あとの二作と同じ訳者とは思えないほど酷い、という不評が主なようだ。そこまで酷いなら、かえって読んでみたい気もするのだが、私が持っているのは菊池光訳なので、とりあえずは旧訳を再読することにした。