「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2013/10/12

メシュイという料理

ああ、良く寝た。まだ若干風邪気味。 朝食は珈琲と柿一つ。 午前中は朝風呂のあと、家事を少し。 人参の千切りの炒め物を作った。

昼食はやはり温かい麺類で、月見蕎麦。長葱としめじと海苔。 食後にしばらく昼寝。 午後は「チューリングの大聖堂」(G.ダイソン著/吉田三知世訳/早川書房) を読んだり、アナログ TV で「赤い霊柩車」の再放送を観たり、のんびり過す。 一体いくつになるまで、明子はんとドクターは「婚約者」だと主張し続けるつもりなのか。

夕方になったので、米を研いで浸水の間、自分も風呂に浸水。 湯船の読書は「食卓は人を詩人にする」(山縣弘幸著/潮出版社)。 私の食・料理関係の本棚の中でも、特に愛着のある一冊である。 一つの話題が一ページなので、どこからでも読み始め、読み終えられて結構だ。 今日、読んだところには「メシュイ」というアラビア料理のことが出ていた。 基本的には仔羊の丸焼きだが、うっとりするような詩情がある。

仔羊の内臓を抜いて、腎臓だけを腹に戻し、細かく刻んだ玉葱、塩、胡椒、バターも一緒に詰める。 そして、木片と洗った小腸を使って腹を閉じる。なぜなら鉄のピンは肉に嫌味をつけるし、紐の類は燃えてしまうからだ。 これを串刺しにして、地面に掘った溝に渡し、薪で焼く。有塩の溶かしバターを刷毛で塗りながら、炭火の遠火で。 ナイフで刺してピンク色の肉汁が出なくなったら出来上がり。皮はカリカリ、肉はこんがり。 各人が好きな部位を手でちぎって、指で食べる。一番のご馳走は、腎臓だそうである。 でもって、食べ終わると、薔薇で香りをつけたぬるま湯で指を洗う。 締め括りは、一杯の珈琲と一服のパイプ。 この料理の本当の味わいを知るには、砂漠の中、降るような星空の下で、 寡黙なアラブ人に囲まれて食べなければならないだろう。

夕食も手間をかけずに御飯だけ炊いて、レトルトのカレーライスにしておく。 粉末の鶏ガラスープの素で生姜と葱と人参皮のスープを前菜にし、カレーライスにはらっきょうの甘酢漬けを添える。 シラーズの最後の一杯も。食後に柿を一つ。