月曜日。すっかり寒くなって、コートに襟巻に手袋の完全装備。
午前中は外でミーティング、サラリーマンの町で昼食をとり、午後はオフィスに戻る。週の頭で低調。夕方退社。帰宅して風呂に入ってから夕食の支度。湯豆腐で日本酒を五勺、のち親子丼、蜜柑。
「策謀と欲望」(P.D.ジェイムズ著/青木久恵訳/ハヤカワ・ミステリ 1559)。「アナバシス」(クセノポン著/松平千秋訳/岩波文庫)。
「アナバシス」は私の心の古典で、「人生は一つの撤退戦である」が私のモットーなのだが、読み返すたびに、と言うよりは歳をとるたびに、ますます心に染みるようになってきた。私達がこの世に生まれ落ちることは、ペルシア帝国のどまんなかにギリシア兵が否応なく取り残されるようなものであり、私達の幸福とは長い撤退戦の中でたまさか故郷に似た海を見つけて「タラッタ、タラッタ」と泣くことなのではないか。そして私たちが蝗は蝗でもマシな蝗として生きる術を与えてくれるのは規律と様式、すなわちルールとスタイルだけなのではないか。