歳も歳だし来年は「シブミ」を持った老人を目指そうかな、と思い立ち、冬休みの課題図書はトレヴェニアン。未読の三作、「アイガー・サンクション」(上田克之訳/河出文庫)、「バスク、真夏の死」(町田康子訳/角川文庫)、「夢果つる街」(北山太郎訳/角川文庫)を古本屋で買い揃えておいた。
「アイガー・サンクション」から読み始める。主人公は芸術学部の大学教授で、天才的な美術鑑定士で、高名な登山家で、報復的暗殺専門のパートタイムの殺し屋で、女性にモテモテで、教会を改築した大邸宅に住んでいて、地下室には印象派の一大コレクションを持っていて、そんなハイライフの費用は暗殺報酬でまかなっているという、普通の人が書いたら阿呆らしくなりそうな、中学生が書いたラノベみたいな設定だが、そこはトレヴェニアンなので説得されてしまう。
この設定にぐっと来たのか、クリント・イーストウッド監督兼主演で映画化されているようだが、私は未見。