「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2014/12/04

ロールスロイス20/25とタリスカー

ようやく冬らしくなってきた。エアコンディショナーとガス床暖房のどちらが効率的か実験中。

「二人のサード子爵」(B.デナム著/加地美知子訳/ハヤカワ・ミステリ 1487) 、読了。親子二代がそれぞれの時代に巻き込まれた事件を、章毎に交互に書いていく構成で、過去と現代で変化したものしないもの、鏡合わせ的な効果が面白い。「1944クラブ」を巡って、父親はノルマンディー上陸作戦がらみのスパイ事件を追うことになり、息子は産業スパイ的な盗難事件の犯人に疑われる。釣りについてや、年代もののロールスロイス(Rolls-Royce 20/25 の二人乗りコンヴァーチブル・クーペ)の修理の執拗で過剰な描写もチャーミングではある。

英国の上院枢密顧問官というエリート政治家が書いたミステリーとして当時はかなり評判になったはずだが、今まで聞いたこともなかったし、インターネット上には感想の一つも見当たらない。私自身は、「ミステリー風味 グルメの世界」(西尾忠久著/東京書籍)に「例のタリスカーが一瓶手にはいりましてね」という引用とともにちらりと出て来たことで知った。エンタテイメント系の翻訳小説はすぐに忘れ去られてしまうのだなあ。ネット時代以前のものは特に。