昔、学生時代に家庭教師のアルバイトで高校生に数学を教えていたのだが、 彼女が高校生の確率の問題によくでてくる言葉「同様に確からしい」 を常に「どうやら確からしい」と言い間違えるのは、 仕方ないかも知れないなあ、と当時から思っていたことである。
以下は、 Futility Closet で知った問題。 太郎君はビー玉を一つ、次郎君は二つ持っていて、 これから自分の持っているビー玉を目標に向かってはじき、 目標物に近い方が勝ち、というゲームをする。 二人のスキルに全く差がないものとすると、 次郎君が勝つ確率はいくらか。
第一の答: 太郎君のビー玉と次郎君の二つのビー玉(AとBとしよう)は、 以下の場合に分けられる。 目標物に一番近いビー玉は太郎君のビー玉であるか、 次郎君のビー玉Aであるか、次郎君のビー玉Bである。 明らかに、この三つの場合は同様に確からしい。 このうち二つが次郎君の勝ちだから、次郎君が勝つ確率は 3 分の 2。
第二の答: 以下の場合が考えられる。 太郎君のビー玉は次郎君のビー玉のどちらよりも目標に近いか、 次郎君のビー玉Aよりは目標に近いがBよりは遠いか、 次郎君のビー玉Bよりは目標に近いがAよりは遠いか、 次郎君のビー玉のどちらよりも目標から遠いか。 明らかに、この四つの場合は同様に確からしい。 このうち三つが次郎君の勝ちだから、次郎君が勝つ確率は 4 分の 3。
さて、正しい議論はどちらでしょう? そして、間違っている方の議論を訂正してください。 簡単な問題なので、答は特に紹介しません。 なお、この問題の出典は、Futility Closet によれば、 "Calcul des Probabilités"(J. Bertrand, 1889) だそうです。 有名な数学者ベルトラン(J.L.F.Bertrand, 1822--1900) による、確率論の古典ですね。