夕食のメインに 「孫さんの炒り卵」という料理を作ってみる。 「ワンダーレシピ」(添田浩著/工作社)に紹介されている謎の料理。 材料は基本的に卵と生姜だけで、 卵を黄身と白身に分けて、また、それを合わせなおす、 という「再構成料理」の一例。 蟹味噌を調理したかのような、絶妙な味がするとか。
卵 3 個を白身と黄身に分け、 溶いた白身の方には針生姜を加え、 溶いた黄身の方に醤油と酢と砂糖を加える (分量は卵 3 つに対し、砂糖と酢を小匙 1、醤油を小匙 2弱)、 少量の油をひいたフライパンに白身の方を入れて、 周りから中央に寄せるように柔らかく混ぜ、 白身がかたまり出したところに、かけ回すように黄身を注ぐ。 今度はぐるぐるっとかき混ぜ、 全体にかたまり切らないくらいの内に皿に移して、出来上がり。らしい。
この焼き方がポイントらしいのだが、 こればかりはレシピからちゃんと伝わってこない。 ここは「モデラート・カンタービレ」とか言われても、何が何だか。 しかも、イラストや写真が漠然としていて、出来上がりがイメージできない、 という、ないない尽し。 実演してもらわなければ、あるいは、 せめて実物を見ない限りは、本物の「孫さんの炒り卵」はできないのではないか。 と思いつつ、兎に角、やってみた。
結果、残念ながら、ただの「美味しい炒り卵」が出来てしまったのだが、 一度作ってみると、「ああ、そういうことか」と納得できた。 おそらく、ふわふわとした白身の上に、濃厚な赤い黄身のとろとろが、 ソースのようにかかり、一体とならずに混じりあった感じが正しい姿なのだ。 確かに、タイミングと火の入れ方と木べらの使い方が全ての料理と言えよう。 今すぐにでも再チャレンジしたかったのだが、 一日に卵 6 個を食べるのは過酷過ぎるし、 猫に与えるわけにもいかないので、次の機会をうかがいたい。