「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2013/12/25

今年読んだ本ベスト

今年も無事に過ぎ去って行きそうだ。 読む本くらいしか日常の変化がないので、2013 年に読んだ本の個人的ベスト3+1。 特に今年出版されたとか、話題になった本では全くなく、 単に私が今年読んだ本の中のベストです。 間違いなく面白い、はずなので、年末年始の読書計画のご参考にいかがでしょう。

  • 「白い国籍のスパイ (上・下)」(J.M.ジンメル著/中西和雄訳/祥伝社ノンポシェット)
  • 「文章読本」(丸谷才一著/中公文庫)
  • 「自由はどこまで可能か」(森村進著/講談社現代新書)
そしてプラス1として、
  • ネロ・ウルフ・シリーズより悪の天才ゼック三部作 (R.Stout著/Bantam Books)
    • "And be a villain"
    • "The second confession"
    • "In the best families"

「白い国籍のスパイ」は以前 blog に書いたが、 第二次世界大戦時のヨーロッパを舞台に、主人公が料理の腕前を武器に次々に難関を切り抜けていく、洒脱なエスピオナージュ。 徹夜必至のエンタテイメントだが、残念ながら古本でしか手に入らない。しかし、もし入手できるなら幸福な数日間をお約束する。

「文章読本」は今年亡くなった丸谷才一が書いた文章指南の本。同じタイトルの過去の本のどれよりも実用的で、かつ深い。 現代日本語の上手な書き方を案内しながら、現代日本語を批判し、さらに、現代日本を批判する名著。 丸谷才一と意見やソリがあわなくても、読んだ方がいい。

「自由はどこまで可能か」は、著者が「天才執事ジーヴス」シリーズの訳者森村たまきさんの夫君だと知ったのがきっかけで読んだのだが、 そんな理由で思いがけなく良書に当たることもある。

プラス1として、英文の小説。スタウトは有名なシャーロッキアンでもあるので、 自分の作品でホームズ vs. モリアーティ教授をやってみたかったのだろう。 それをおいても、この三作は傑作だと思う。ハヤカワ・ポケット・ミステリに翻訳を期待したい。