今日は G.K.チェスタトンの誕生日だそうで東京創元社が、ブラウン神父ものの短篇の中でどれが好きか、とツイッターで問いかけていた。
もちろん、こういうときに「見えない男」とか「奇妙な足音」とか言っちゃ負けで、それはアガサ・クリスティで何が傑作かと訊かれて「アクロイド殺し」とか「オリエント急行の殺人」と答えるのと同じくらい負けなのだ。かと言って、どこも感心するところのないマイナー作品を挙げればいいのではなく、地味ながら独特の輝きを放つ佳品を指摘してこそ、マニアもしぶしぶ納得するのである。例えば、「通路の人影」とか「イズレイル・ガウの誉れ」あたりが「正着」になるだろうが、それでも裏のかき方が凡庸過ぎる、と思われかない。そこで、まあ私なら……ええと……「ヒルシュ博士の決闘」?
今日もまるで夏だ。西日の中を帰宅して、風呂。湯船で「ディナーで殺人を」(P.ヘイニング編/創元推理文庫)よりガストン・ルルーの「胸像たちの晩餐」を読む。湯上りに胡瓜と胡桃味噌のもろきゅうでビールを一杯だけ飲みつつ、「たった一人の反乱」(丸谷才一著/講談社文芸文庫)を読む。今日も恙無く一日が終わりそうで、けっこうなことだ。今日も一日が小川のように流れて行く。夕食はスパゲティ・ナポリタン。この前作ったところなのだが、何故かまた食べたくなって。