「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2013/10/30

「枕頭問題集」の翻訳私家版

ディレクトリの奥深くに、かつて翻訳した C.L.ドジソン(ルイス・キャロル)の「枕頭問題集」のファイルを発見したので、 公開することにしました。

pdf ファイルは、こちら(pillow_problems.pdf) からダウンロードできます (Dropbox の公開サーヴィス)。 原稿を作成した LaTeX ファイルも、 GitHub リポジトリ github.com/kshara/Dodgson_translations にオープンソースとして公開しておきます。

もう随分と前のこと、某出版社の某編集者から翻訳を依頼されて、 "Pillow Problems" などドジソン関連の文書を翻訳をしたところ、 (よくあることだが)しばらくして音信不通、結局、うやむやにされてしまったもの。 "Pillow Problems" の翻訳は既に、「枕頭問題集」(柳瀬尚紀訳/朝日出版社エピステーメー叢書)があるし、 「ルイス・キャロル解読―不思議の国の数学ばなし」(細井勉著・訳/日本評論社)の中にも含まれている。 私の稚拙な翻訳、しかも初稿などハードディスクの肥やしにしておいても良いのだが、 何かの役に立つこともあるだろう、と思い直した。 また、ソースの方は、定期試験や入試問題のネタ探しをしている人には、 LaTeX から起こす手間が省けて便利かも知れない。

この私家版翻訳の欠点としては、今のところ図が全く入っておらず初等幾何学の問題が読み難いことだが、 著者が眠れない夜に頭の中だけで解いたのだから、図を見ないのがフェアというものかも知れない。 良い点としては、確率の問題に対して現代的立場からの私の注釈が入っていることをアピールしたい。 当時はルベーグ積分論やコロモゴロフによる確率の公理化以前の時代だから、確率の問題にはおかしな箇所が多い。 しかし、さすがキャロルはただものではない、という面もあって、 雑誌に投稿した記事や書簡からは、キャロルが確率の扱いに混乱しながらもその矛盾に迫っていることもうかがわれるのだが、 それはまた別の機会に。