今日もかなり寒い。いつものやうに働いて、夕方退社。最近の歸りの車中の讀書は「横断」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ文庫)。
この小説の中に、年配の女性が若い主人公のことを「ヤングマン」と呼ぶところがある。確か、同著者同訳者の「告解」の中でも、引退した老教授が主人公をヤングマンと呼ぶ箇所があつた。おそらく凡庸な訳者ならば、「お若い方」とか「若いの」とか訳すものだと思ふが、これをそのまま「ヤングマン」とするセンスが流石、菊池光。
私もそろそろ(無駄に)経験豊かな老人として若者と話す歳になつて來たので、是非、これを使つてみたい。「それが人工知能だと? アラン・チューリングの二番目に有名な論文を御存知かな、ヤングマン」とか、「インタネット? ほんの半世紀ほど前のことだがテッド・ネルソンと言ふ男がザナドゥ計画と言ふものを唱へておつたのぢやよ、ヤングマン」とか。