今日は自宅での仕事をサボって、オフィスに遊びに行く。 昼食はもちろん、神保町のどこかの店のカレー。 午後は定例のミーティングに出た他は、 特に仕事らしいことはせず。 夕方退社して、近所の洋食屋にて夕食。 今日も、小学校の校長先生のような、 小柄で怖そうな眼鏡のマダムが、ビシビシとフロアを仕切っておられた。
帰宅してお風呂に入り、 湯船で 「食は広州に在り」(邱永漢著/中公文庫) を読む。邱永漢は今や、 亡くなったことでもあるし、世間での位置付けは 「お金儲けの神様」みたいなところだと思うが、 直木賞だって受賞している小説家である。 また、美食家としても有名で、 食関係の著書では何と言っても、この「食は広州に在り」だろう。
邱永漢自身が、「食は広州に在り」では漢学の素養を一所懸命見せびらかしていたね、 と、どこかで書いていたと思うのだが、読んでみるとそうでもない。 その頃は、正宗白鳥が井上靖を「漢学の素養がない」と叱ったりしていた時代だったのだから、 というような文脈だったと記憶しているが、 そんなに漢学の素養をひけらかしているようでもなく、 むしろ逸話を楽しげに次々開陳していく若々しさが好ましい。 若者は自慢気なくらいで丁度良い、としたものだ。 邱永漢が「食は広州に在り」を書いたのは三十代前半くらいだから、 その頃から「酒の肴・抱樽酒話」(青木正児著/岩波文庫) みたいな博覧強記と格調高さだったら、それこそ嫌味だったのではないか。