歌舞伎座で「八月納涼歌舞伎」の第一部を観劇。目当ては谷崎潤一郎原作の「恐怖時代」。お銀の方を扇雀、小姓の伊織之介を七之助、茶坊主の珍斎を勘九郎など。
東二階桟敷の奥の方で、「辨松」の幕の内1番を肴に生ビールを飲みながら、いかにも谷崎的な芝居を堪能。
発表当時に発禁になったのがもっともなデカダンスぶりが凄かった。少なくとも、こんなに登場人物の死亡率が高い舞台は、他に「そして誰もいなくなった」くらいしか思いつかない。蒸し暑い中、歌舞伎座まで出かけた甲斐があった。
歌舞伎座に「恐怖時代」がかかるのは、六代目歌右衛門が一日限りの舞台でお銀の方を演じて以来三十三年ぶりとのこと。内容が内容なので、また数十年はないような気がする。