「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2012/10/31

TOEICを受験してみた

午前中はオフィスでお仕事。 昼食は近所のインド料理屋にて。 チェーン店なので敬遠していたのだが、 先日の「神田カレーグランプリ」で準グランプリだったそうだし、 神保町のサラリーマンとしてはおさえておかねば、と思い。 結果、私の好みからすると味は、可もなく不可もなく、の印象だったが、 値段が安いので悪くはないかな、と。

午後の途中からオフィスを抜け出して、本郷へ。 ファイナンス関係の国際ワークショップに参加。 サバティカルでオックスフォードにいた時に学友だった P 君が香港から来日しているので、 挨拶がてら。 プログラムの最後まで聴講。 レセプションに来ればいいのにと P 君は言っていたが、 流石にゲストでもホストでもない上に、アカデミックですらないので、 遠慮してまっすぐ帰宅。 代わりに明日、ランチかディナでもご一緒しようと約束しておく。

ところで、今日のように英語での講演を聴いていても、 日常的な会話をしていても、何となく分かっているような気がしていたし、 実際、自分で英語で論文も出版しているし、 英語で講演もしてきたし、 自分ではわりと英語ができる方だと思ってきた。 最近、そんな私に衝撃を与える事件があった。TOEIC を受験してみたのである。

動機は特になく、一つ試しに、くらいの気持ちで。 受験前に本屋で TOEIC の参考書をぺらぺらと見てみると、 問題はリスニングもリーディングも非常に易しく思えた。 いくら何でも八割(990 点満点なので 800 点くらい)とれないなんてありえない、 と思った。 実際、大学にいた時は、学生たちが就職活動のために受験した結果を聞いて、 自信ありげに 700 点だったとか言われると、「中学生じゃないんだから」 と心の中で思っていたくらいである。 学生時代に受験したと言う知り合い(英文科卒)にスコアを聞いてみたら、 彼女は 680 点だったそうだ。 正直に言おう、私はそれを聞いて失笑した。 そんな私が 9 月に自分も受験してみて、 一週間くらい前だろうか、その結果が返ってきた。 スコアは、その学生やその彼女と大差のない、「755 点」。 しかもリスニングなんて、平均点くらい。

受験してみて分かったのだが、TOEIC は易しくない。 問題は易しいのだが、リーディングはやたらに問題が多いし、 リスニングはどうだったっけと考えている内に次の次の質問になっているし、 兎に角、反射神経と集中力の長時間の維持が重要で、何の対策もせずに八割とれたら、相当できる方だと思う。 それに、自分が思っているほど英語が聞き取れてもいなければ、 読めてもいなければ、理解してもいない、という哀しい事実が、受験すると分かる。 最近、楽天のような企業が TOEIC スコアを要求したり、 そういう「グローバル」な話題が出るたびに、 語学に長けた人は TOEIC を馬鹿にして、 「TOEIC なんて英語を使っちゃ駄目な人の足切りテスト」 とか、「サムスンの新入社員は 900 点以上」とか言うので、 こちらまでそんな気になってくる。 しかし、私が思うに、TOEIC はわりと難しいし、わりと良いメトリックだと思う。

私は 40 歳を過ぎたあたりから自分を直視できるようになってきて、 周りの人は皆、自分より頭が良く、賢く、有能だ、と思うくらいが丁度いいし、 事実それに近いのだ、と認識している。 それでも、正直な話、このスコアはショックだった。 まだまだ修行が足りないな、と思う初老の秋である。 こんなことにショックを受けているようでは、という意味で。