「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2013/07/28

吉田健一絶賛のミステリ

ああ良く寝た。 冷たいミルクで珈琲を割って、目覚しにする。 他にヨーグルト少々だけの、軽い朝食。 洗濯などの家事をして、朝風呂に入る。 昼食の支度。平日の朝食的メニューで、 冷奴(生姜、浅葱)、たらこ、納豆(ちりめんじゃこ、浅葱)、糸若布の味噌汁、御飯。 食休みの昼寝を少々。 午後も家事あれこれの他、 「不思議なミッキー・フィン」(E.ポール著/今本渉訳/河出書房新社) を読んだり。

「不思議なミッキー・フィン」の作者エリオット・ポールは、 吉田健一のお気に入りで(無論、吉田健一はポールをポオルと書くが)、 「最後に見たパリ」(E.ポール著/吉田暁子訳/河出書房新社)を激賞して、 「荷風の『ふらんす物語』などこれに比べれば寝言に近い感じがする」とまで書いているし、 この「ミッキー・フィン」から始まるミステリ小説の連作もあちこちで誉めている。 アメリカ国籍の若きディレッタントで究極の暇人ホーマー・エヴァンズが探偵役の主人公で、 第一次世界大戦後のパリを舞台に愉快な奇人変人、芸術仲間たちと浮かれ騒ぎながら、 奇妙な事件を解決したりする、というシリーズ。

吉田健一がこんなミステリ小説を読んで、にやにやしていたのかと思うと、ちょっと楽しいが、 これらのエッセイとミステリに共通するのは、 二つの大戦の間に挟まれた時期のパリとそこに暮らす人々の生き生きとした描写であり、 吉田健一にとっては、それは失われたパリ、そして、象徴としては、失われた東京でもあり、 失われつつあった文化の最後の輝きだったのかも知れない。

夕方涼しくなった頃に買い出しに行く。でも、やはり蒸し暑い。 道路の真ん中に近所の子猫が猫倒し、じゃなくて、横倒しになって、 通り過がりの人々にお腹を撫でられるままになっていた。 猫もこの暑さじゃ、やってられないだろう。 冷たいマタタビビールか何かをきゅーっ、とやって 「やっとれん」とか何かぼやきたいに違いない。

帰宅し頃に雨が降り出した。お風呂に入ってから、夕食の支度。 冷奴とポテトサラダで贋ビールを始め、メインは出来合いの鰻の蒲焼で鰻丼。 らっきょうの甘酢漬け。 夜も「ミッキー・フィン」など。