「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2013/07/23

モテる男の手料理

今日は暑くなりそう。 私が休みの日に涼しくて、出勤日に暑いのは、納得いかない。 でも逆に、私が休みの日に暑くて、出勤日に涼しいだけでは、物足りない。 つまり、猛暑に皆が働いているときに私だけが、涼しい自宅で休んでいられるのが理想だ。

いつもの朝食とお弁当作りのあと出勤。 昼休みの時間帯は猛暑。外に出るのは危険そうなのでオフィスで過す。 午後には、激しい雨。まさに豪雨が通り過ぎていった。 雨の合間を見計らって、夕方退社。

帰宅してまずお風呂に入ってから、夕食の支度。 胡瓜もみ(ちりめんじゃこ、糸若布)、鶏皮の辛子ポン酢で贋ビールを飲みつつ、 「男の手料理」(池田満寿夫著/中公文庫)を読む。 鶏皮ポン酢がうまい。ちょっと手間はかかるが、非常に安上がりな口福だ。 のち、豚肉ともやしの炒め物、オクラと茗荷の味噌汁、御飯。 食後にパイナップルを少々。

たまに池田満寿夫の「男の手料理」を読むと心が洗われる。これは名著だと思う。
御飯の上に目玉焼きをのせてウスターソースをかけて食べるとうまい、とか、 茹で卵を乱切りして醤油をかけて食べると最高、 なんて素敵なことがどんどん書いてある。 たまに手のかかるものが出てきたなと思うと、 フライパンのサイズの巨大ギョーザとか。 しかし、それでありながら、今度の女房に変わって贅沢が分かるようにもなったと書く。 もう何年もパリに住んでいるのにフランス語ができないので、 女房がいないとレストランでまともな注文ができないとも書く。 モテる男の料理はこれだな、と思う。 芸術家にしてエピキュリアンたる男はこういうものであり、 その作る料理とはこういうものなのである。 私のようにちまちま鶏皮ポン酢やもやし炒めを作っているようでは駄目なのだ。 ああいう料理だからこそ、あんな顔して満寿夫はもてもてだったのだ。 そうに違いない。