「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2012/09/17

うどんの美味

昨夜は遅くまで本を読んでいたので、今朝は少し寝坊。 珈琲で目を覚ましたあと、朝食の支度。 納豆、油揚げと若布の味噌汁、御飯。 午前中は書き物仕事をしたり、朝風呂に入ったり。 昼食に、いただきもののペスト・ジェノヴェーゼでバジルのスパゲティ。 ちょっと横になるか、と思ったら、 3 時間以上も寝てしまった。 旅疲れだろうか。 日が落ちる頃、夏らしい勢いのある夕立。 激しい雨が通り過ぎるのを待ち、 近所のスーパーまで買い出しに行く。 雨でちょっとは涼しい。帰宅して夕食の支度。

最後の休日だし、晩酌でもしてみるか。 冷奴(白葱)から、ペールエール一本を始める。 次は、茄子の胡麻油風味の網焼きに辛子醤油。 落ち着いたところで、子母沢流の豚肉のうどんすき。 土鍋に水と酒を茹でて豚肉を入れ、煮立てたところに、 うどんをさっと入れて、芯まで温まらないくらいのタイミングで即、 つまみ上げて、つけ汁で食べるというもの。 つけ汁は醤油1、味醂1、昆布だし4が、池波正太郎が子母沢寛から直伝された割合らしいが、 生醤油でも十分美味しい。 うどんをしゃぶしゃぶ風に食べるタイミングが要諦の料理なのだが、 私は土鍋に饂飩玉を放ったところで火を落として食卓に運び、 余熱で食べるようにしている。 ちなみに、茄子もうどんすきも「そうざい料理帖」(池波正太郎著/平凡社)で知った料理である。

子母沢寛とうどんと言えば、 「味覚極楽」の鎌倉円覚寺管長の話の聞書きに出てくるうどんが (それと握り飯も)、 やたらに美味しそうで、 結局のところ「美味しさ」とはそういうところに行き着くのではないか、 と思う。 つまり、何だかんだ蘊蓄を言って食通ぶったところで、 どこそこの店の何がうまいとか、珍しい何とかいう食材を現地で食べるだの、 どれもこれもどうでもよいことであって、禅寺の坊主に 「熱いうどんが何よりの珍味ぢや」とか「こうして自由に物を食うということは何よりうまい」 と言われてしまうと、ぐうの音も出ない。 つまり人としての差が出てしまうのだね。