「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2013/02/11

優雅な生き方

今日の読書は、 「ヨオロッパの世紀末」(吉田健一著/岩波文庫) など。 吉田健一にとって「成熟した文明」とは、 「優雅ということと人の気持を労るのを礼節と心得ることと快楽の充分に計算された追求」 といったものだったようで、 この文庫本の後書きでは、辻邦生がさらに短く「優雅な生き方を許す社会」、 と要約しているのだが、そういう成熟は今の日本の、いや、 世界のどこにあるのだろうかなあ、と。 そういう成熟は十八世紀のヨオロッパにあったのだが、 十九世紀に堕落し、日本はその堕落したヨオロッパを模倣したのである、 という流れが著者の歴史感のようであるものの、 それはたまさかの一つの切り口であって、 本質的には、単に成熟ということがひたすらに稀なことであるだけなのではないか、 という気もする。