「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2017/03/01

花さく春に

三月弥生である。今日も朝から夕方までほどほどに働いて、とぼとぼと歸る。歸り道の花屋で桃の花が目に留まつたので、蕾が多めの枝を三本ほど買ひ求める。春が近いと思ふと、縮んでゐた心も延びるやうだ。

歸宅して風呂に入つてから夕食の支度。切干し大根の煮物、大根と人参の寒天寄せ、湯葉の刺身で冷酒を五勺。のち、三月に入つたことを祝ひ、歸路で買つた握り鮨。桃を愛でつつ、冷酒をもう少し。

愛読書の「和漢朗詠集」(三木雅博訳注/角川ソフィア文庫)によれば、桃は中国の花と言ふイメージが強く、梅や櫻に比べて和歌に詠まれない、と、三千年になるといふ桃の今年より花さく春にあひそめにけり、の歌の註釈にある。確かにそれはさうかも知れないが、桃の節供も近いことだし。