「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2017/01/22

「野獣死すべし」

休日用の簡単な朝食。三十分ラテン語の勉強をしてから、朝風呂。そのあとは家事とその合間の讀書の一日。珈琲豆を切らしてゐて、三日ぶりに珈琲を飲んだら、物凄く美味しかつた。しかも飲んだ後、三十分くらい頭が妙に冴えてゐた。一日最大でも三杯に止めているのだが、カフェイン中毒なのだらう。禁酒日の前に、禁珈琲日を週に一日くらゐ作るべきかも。晝食は焼きそばとビール、夕食は出來合ひの豚カツでカツ丼と沢庵、毛蟹の殻でだしをとつた味噌汁。

「野獣死すべし」(N.ブレイク著/永井淳訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)、讀了。古典的名作だが、やはり良くできてゐるし、モダンでもある。前半が殺人計画を実行しようとする男の視点での手記、後半は黄金期ミステリらしいスノッブな名探偵が登場しての第三者視点という対照的な構成が、物語の内容と本質的に関係してゐるところが、今讀んでも新しい。

二部あるいは三部構成で語り手や視点を切り替へるミステリ作品はしばしばあるが、その構成を自然に見せることが難しい。また、ミステリである以上、作者の企みが何かあるぞと讀者は身構へて讀む。そして、もちろん企みがあるので、作者としてはさらにハードルが高くなる。その意味で、なかなかこの作品ほどうまく処理できないものだ。