「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2017/01/20

映画「ゼロの焦点」

歸りの電車で考へ事をしてゐたら、違ふ駅で降りてしまひ、しかもその途端に遅れが始まつたやうで、次の電車がなかなか來ず。

歸宅がかなり遅くなつてしまつたので、先に夕食。熱燗で身体を温めつつ、お土産の握り鮨。ヴィデオで映画「ゼロの焦点」(野村芳太郎監督/1961年)を觀る。暗い……雪の北陸が暗過ぎる。そして映画全体の長さの三分の一以上が解決編で、探偵役と犯人が断崖絶壁で語る語る、語りまくる。破調と言つてもいい構成だが、「羅生門」のやうな深さと凄みがある。主役の女優三人がどれもいいが、高千穂ひづるの顔の怖さと、有馬稲子の顔の可憐さが出色。多分、名画。少なくとも今の日本人にはこの映画は作れまい。